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ドリーム・エクスプレスに乗って  作者: 三羽高明


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3/7

知恵試しドラゴンのなぞなぞ(1/2)

 しかし、それからしばらくして、次のトラブルが発生します。


「夢の門に着いたの?」


 不意に汽車が止まったので、ヤマトは顔を輝かせました。


 汽車の時計を見れば、まだ5時を回ったばかりです。


 ヤマトはいつも6時半に起きます。つまり、6時半までには夢の国から出ないといけないのですが、どうやら余裕で間に合いそうだと分かり、一安心しました。


 けれど、ルカは「終点には早過ぎません?」と言っています。機関室から車掌さんがやって来ました。


「お客様、想定外の事態が発生いたしました」

「え、何? またムーマが何かしたんですか?」

「いいえ、本件はムーマとは無関係です。窓から前方をご覧くださいませ」


 ヤマトは言われたとおりにします。


 ドリーム・エクスプレスは、岩だらけの荒れた丘で停車していました。辺りに転がる岩の中でもひときわ大きなものが、線路の上に置かれています。これでは列車が先に進めません。


「ムーマたちのイタズラだ!」


 ヤマトは血の気が引きました。時計は5時を1分過ぎたところです。


「僕が起きるまで、後1時間と29分しかないのに! これじゃあ門へ行けないよ! 僕は一生、夢の国で過ごさないといけないんだ!」


「お客様、落ち着いてください。もう一度申し上げますが、本件はムーマとは無関係です」


 車掌さんの言葉を裏付けるように、岩がゆっくりと動きます。ヤマトはびっくりしてしまいました。


「あれって生き物っすか?」

「ドラゴンでございます」


 ルカの質問に車掌さんが答えます。


「この辺りには、色々なドラゴンが住んでいるのですよ。あれは、知恵試しの好きなドラゴンでしょうね」


 ドラゴンがのっそりと体の位置を変えて、こちらに頭を向けました。車掌さんが「知恵試しの好きなドラゴン」と言うとおり、賢そうな顔をしています。


「ドラゴンさん! 道を空けてください!」


 窓から顔を出し、ヤマトは大きな声で叫びました。するとドラゴンは「いいでしょう」と返事します。


「ただし、ワタシの質問に答えられればの話ですが」

「キヒヒヒヒ! 知恵試しドラゴンのなぞなぞだ!」


 上空のムーマたちが騒ぎます。


「ちょうどいい! こいつらがなぞなぞを解いてる間に、この先の線路に細工をしてやろうぜ! 行き先を谷にしてやるんだ!」


「谷に落ちてドリーム・エクスプレスはバラバラ! 打ち上げ台は壊れてめちゃくちゃ! 俺たちは人間をさらってウハウハ!」


「さあ、行くぞ!」


 悪だくみを終えたムーマたちは、線路の先に向かって飛んでいこうとします。ヤマトは「そんな!」と悲鳴を上げました。


 けれど、ムーマたちは計画を実行に移せませんでした。先へ行こうとした途端に、ドラゴンの尾でぴしゃりと打ち返されてしまったのです。


「ワタシの話を聞いていなかったのですか、このおバカさんが。ここを通りたければ、ワタシの質問に答えるのです」


 どうやらドラゴンの出すなぞなぞに答えなければならないのは、ムーマたちも同じのようです。


「さて、準備はいいですか?」


 ドラゴンに聞かれ、ヤマトは「はい!」と返事します。ムーマを追い払うために屋根まで登ったことを考えれば、なぞなぞくらいどうということもありません。


 ドラゴンは大きく頷いて、口から火を噴きます。それが文字の形になりました。


『アカン車掌。よし、野心家ぁ!』

『ルカ言った。「……ライオンくん。オイラ……」。竜、怒る』

『確かヤマト、「いい○○は格好いい!」とまやかした』


「○○に入るものは何でしょう?」


 最後の質問だけ自分の口で伝えると、ドラゴンはその場でゴロゴロと転がりながら、こちらの回答を待ち始めました。


「え、これが問題っすか?」


 ルカは目を丸くします。


「オイラ、車掌さんが野心家だったなんて知らなかったっすよ」


「ルカ様こそ、ライオンの話をしたせいで、ドラゴンを怒らせたことがあるのですか?」


 二人はヤマトの方を見ます。


「で、ヤマトくんが格好いいと思っているものは何すか? それがなぞなぞの答えっすよ」


「そんなこと言われても……」


 ヤマトは困ります。車掌さんが火でできた文字を見ながら、顎に手を当てました。


「ドラゴンは『まやかした』と言っております。『まやかす』とは、『嘘を吐く』という意味です。つまり、『格好いいと言っているけれど、本心ではそう思っていないもの』が答えかと存じます」


「う、うーん……?」


 余計に難しいことを聞かれ、ヤマトはますます困ります。ルカは「さすが野心家! 冴えてるっす!」と笑いました。


「私は野心家ではございませんが……」


 車掌さんは気を悪くしたように言いました。ルカは、「それなら、オイラだってライオンや竜の知り合いはいないっすよ!」と返します。


 二人のやり取りを聞きながら、ヤマトはあることを思い付きました。


「この問題、書いてあることをそのまま信用しちゃダメなんじゃないかな? だって、なぞなぞなんだよ? きっと、あの文章そのものに秘密が隠されてるんだよ」


 ヤマトが窓の外を見ると、上空でムーマたちもうなっています。どうやら、彼らも答えが分からずに悩んでいるようでした。


 でも、急がないと先を越されてしまうかもしれません。ヤマトが時計を見ると、ドラゴンと出会ってから、もう5分が経とうとしていました。

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メアは悪夢の女王様
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