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風の精霊シルフとエルフの姫(中編)

「このまま、ドワーフ王国に向かいますか?」


 私達はダークエルフの兵士達から遠く離れた場所に降り立ち、今後について話し合っていた。


「ドワーフの王国へと続く道は、兵士達が待ち構えているに違いない。エルフの里に友人がいるので、頼らせてもらおうと思う」


「エルフは、ダークエルフやドワーフとあまり仲が良くないと聞いたことがあるのですが、それは大丈夫なのですか?」


 グランデルの提案に対して、私は一般的な疑問を投げかけた。


「エルフ全体としてはそういう傾向はあるかもしれないが、その友人は大丈夫だ」


「そうですか。でしたら、馬車の中に荷物も半分以上置いてきてしまいましたので、そのエルフの友人に頼らせてもらって、仕切り直しの時間を持ちましょうか」


 馬車も荷物もない中で闇雲に動くよりも、しばらく立ち止まって準備し直した方がいいと判断した。

 それに、ブラグラも、まさか仲が良くないエルフの里に、私達が隠れているとは思わないだろう。


 ◇


「急に頼ることになってしまい、申し訳ない」


「いえいえ、私がグランデル様の頼みごとを断るはずありませんわ。それよりも、こんな小屋でしか迎えられず、こちらこそ申し訳ありません」


 グランデルの友人でありエルフの姫でもあるエスカーネが、エルフの里の外れにある小屋へと案内してくれた。


「いや、ダークエルフの私がエルフの里まで行くと騒がれそうだからな。逆に、ここの方がありがたい」


「そう言っていただけると、ありがたいです」


 エルフの姫がダークエルフのグランデルをどうして助けてくれるのか。

 そこだけが分からなかったけど。


 二人が話している雰囲気を見て、私はその理由を悟った。 

 どうやら、エスカーネはグランデルに好意を寄せているようだ。


 まあ、グランデルがそれに気づいている様子はないのだが。


「私を訪ねて来てくださったことは嬉しいのですが、どうして急に来られたのですか?」


「ああ、実は……」


 グランデルが今までの経緯を話し始めた。



「そ、そんな、まさか、ブラグラ様が……」


 グランデルの話を聞き終えた後、エスカーネは悲しい表情をして、そう言った。

 男性の気を引くために、悲しいふりをする女性もいるが、エスカーネは心から悲しんでいるように見えた。

 

 グランデルも、ダークエルフなので見た目は気が強そうに見えるが、根は心優しい人物だと私達は知っている。

 純粋な性格のエスカーネが、グランデルに惹かれる気持ちは何となく理解できた。


 エスカーネのような純粋な性格ではないんだろうけれど、私にも本気で愛した人がいるから。


「ん、どうした? 俺の顔をジロジロと見て?」


 鈍感なのは二人とも同じみたいだけど。


 私はそんなことを思いながら苦笑した。

後編に続きます。

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