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文化祭の織姫 ③

新キャラ登場です。

廊下には、刃物を持った男が娘はこの学校の教師に殺されたんだ! と騒ぎ散らしていた。一般客は居ないはずなのに、この男何処から入ってきたのだろうか。

皆、怯えて動けないでいる中、真っ赤な着物を見に纏った女性が男の前へと飛び出した。


「全く、学生の祭典という良き日になんという不届き者じゃ。主のいうことが真ならば、法によって裁くべきじゃろうに」

「お前に何が、わかるんだ」

「わからんのう。主の思考は理解に苦しむ」


逆上した男が女性の方へと、刃物を向けながら走って行く。私は、危ないと叫び女性のところへ駆け寄ろうとすると華道くんに手首を掴まれ無言で引き寄せられる。

えっと思っているうちに、女性は見事な身のこなしで男の刃物を蹴り落とし、背負い投げをした。周りにいた人たちがポカンとしている間に、女性はテキパキと手を縛り上げ事態を聞きつけて来た教師たちに男を引き渡す。

唖然として誰も動けずにいる中、最初に動いたのは椿だった。


「何故こんなところにいるのですか? 宇都美先輩」

「おや、椿嬢と後ろに居るのは華道じゃな。久しいのう」

「益々美しさに磨きが掛かりましたね、宇都美さん」

「主も相変わらずじゃのう」

「質問に答えてください。今日は一般客の立ち入りは禁止されているはずですが」

(わし)らは、一般客ではないわい。依頼で此処で来たのじゃ」

「依頼?」


此処まで聞いて、私は控えめに椿に話しかける。


「あの、この人たちと知り合いなの?」

「嗚呼、そういえば視霊は会ったことなかったわよね。この人、私の研修時代の指導員だった霊媒師よ」

「えっ、指導員? この人が? 私たちと歳変わらなさそうなのに?」


椿は、一瞬うんざりした顔をしたが、直ぐに無表情になった。


「見た目だけは若いけど、私たちよりも二回り以上年上よ」

「えっ!」


私は、改めて女性を見つめる。赤い着物に、長い黒髪、頭の天辺に大きな赤いリボンを付けた女性はどう見積もっても二十歳前半、いや下手したら十代に見える。小首を傾げる姿なんて少女そのものだ。


「これ、女の歳を詮索するものではない」

「お言葉ですが、貴方は男でしょう」

「えぇっ!?」


この日一番の大声が出た。男? この人が? この美しい女性が男? 何もいうことができずにグルグルと思考が回る。


「なに、性別など些細な問題じゃ。自己紹介がまだだったのう。儂は、福辻宇都美(ふくつじうつみ)。気軽に宇都美ちゃんと呼んどくれ視霊」

「‥‥‥はい、よろしくお願いします。えっと、私の名前ご存知だったんですね」

東満星(うち)では、有名人じゃからのう。要視霊、人との関わりが苦手な椿嬢が一目惚れして連れてきた助手。知らぬ方がおかしいじゃろう。のう、微笑(はにかむ)、主もそう思うじゃろう」

「宇都美様の仰る通りだと思います」


突然、宇都美さんの後ろからぬっと無表情でスーツ姿の人物が出て来た。今まで存在に全く気が付かず、おぉうと変な声を出してしまう。


「嗚呼、驚かせてすまんのう。ほれ、自己紹介くらいせんか」

小鳥遊微笑(たかなしはにかむ)と申します。宇都美様の助手を務めております」

「あっ、ご丁寧にどうも」


相手が深々とお辞儀をするのに、合わせて私も頭を下げる。


「もう、自己紹介は済んだわね。それで、依頼ってなんなのよ」

「はぁ、主の慌て癖は変わらんのう‥‥‥学校側からの依頼で来たのじゃ」

「あっ、やっと見つけた!」


また、声を掛ける人物がひとり、春風先生だ。なんだか、どんどんと人が増えていくなと思いながらも急いできたらしい春風先生を見つめる。

春風先生って、どんなに暑い日でも肌を見せるような格好をしてないなぁ。今日も長袖、膝下くらいのスカートに黒のタイツを身にまとっている。夏も終わりがけとはいえ、見ているだけで暑そうだ。まぁ、暑さでいえばシャキとした服装で男装している私たちとガッチリと着物を着込んでいる宇都美さん、全員に言えることなのだが‥‥‥つまり、この場にいる全員が暑そうで見ているだけで体感温度が暑くなりそうだった。

矢張り暑いようで、先生は少しだけ汗ばんだ顔を手で仰いでいた。


「福辻さんですよね? お出迎えに伺ったのですがいらっしゃらなくて焦りましたよ」

「すまんのう。じっとしておれん性分でな」

「えっと、お二人が今回の担当ですか?」

「儂らは所詮伝書鳩よ。今回の担当は、椿ということで決まった。ということで椿、仕事じゃ」

「もしかして、態々そのためだけに来たのですか? 貴方のような方が?」

「天音様に仰せつかったからのう。断るわけにもいかんだろう。それに、多分あの人なりの心遣いじゃ。大方、儂に椿の文化祭を見せたかったのであろう‥‥‥儂は指導員だったからな。さて、儂らの仕事は終わったし天音様の望む通り文化祭を楽しむとするか。春風、後は頼んだぞ」

「えっ、ちょっと!?」


嵐のようにやって来た宇都美さんたちは、来たときと同じように突然いなくなってしまった。困ったように笑った春風先生が、此方を向き悪いけど屋上まで来てくれる? と申し出た。

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