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旅の道中

旅は快適でした。

魔物が出てきてもはっきり言ってこちらは過剰戦力ですし。

それにシャドー系のモンスターが影の中で周囲の警戒してますから、奇襲対策もばっちりです。

シャドー系には聴覚、嗅覚、味覚、触覚に値するものがなく、

代わりに影で相手を感知することができます。

この世に生きるあらゆるものは影を持っているので、光があるところで(つまり影ができるところ)、

シャドー系の警戒を抜けて襲いかかってくるのは不可能です。

一応レイス系は影がないもののシャドー系は魔力を感知することもできるので、対策もばっちりです。

さらにダンジョンのモンスターは睡眠の必要がないので、夜であろうと、

その警戒がなくなることはありません。

だから夜であろうと、見張り番を立てる必要がなくて助かっています。


後、一応ですが、アンニカさんの影の中にもシャドー系の魔物をふせさせることに決めました。

内訳としてはシャドーパラディン一体と、下位のシャドー系の魔物を何体か。

シャドーパラディンは純粋に戦力として。

下位のシャドー系は、気配とかがほぼないので、奇襲の一瞬の壁、と言う用途でつけています。

戦闘になってアンニカさんが場の聖別をしたらそれだけで死んでしまいますし。


そんな感じに魔物の活躍もあって、女子供の二人旅ではある物の、道中も気楽に進めました。


【で、探し物はどんなものなんですか?】

「えーっとそれがですね、形は定まってないんですよ。」

【形が定まってない?】

「はい、もともと実体はないモノでしたので。」

道中歩きながら聞いた説明によると、探しているモノは何らかの物質に隠れてる可能性が高いそうだ。

力の塊とでもいうようなもので、物の中に入り、その物に何らかの力を付加するのだという。

建物に入れば壊れにくくなったり、木に入ればその木の周辺では土の質が良くなったり、また人の中に入ったりするとその者の寿命が延びて強くなったり、と言ったような様々な効果があるらしい。

しかもその効果は一定ではないようなのだ。

例えば剣に入った時、ある剣だと炎が出て、また違うある剣では冷気を発したり、さらに同じ剣だとしても一回出てまた入った時には違う効果が出たりと言う感じに。




【じゃあ、アンニカさんが探し物の場所を感じるしかないんですね。

 さすがに不定形の物は探しようがないですし。】

「そうですね。基本的にそうなります。」

【私のできることは怪奇現象とか、強い武器を持っている人とか、

 不思議な道具のうわさを集める程度ですかね?】

「私しか分からないのでそうなりますね。

 けど本当にいいんですか?私の探し物に一方的に付き合わせてしまうことになりますけど。」

【子供の一人旅は何かと面倒なので。それに私の現在の目的は旅をすることですから。】

正確には他の人との触れ合いだけど、アンニカさんと一緒にいる=旅をする、だから嘘ではない。

「そうだとしても手伝わせてるのは事実ですし

 ・・・・・そうですっ!

 その念糸でも会話は成立しますけど、音で伝えなければ不便な時もあるでしょう。

 音で意志を伝えれる様な魔法を開発しましょう。

 巫女でしたけど伊達にひきこもっていたわけではありません。

 魔法についての知識はばっちりです。」

【私としてはありがたいですけど、アンニカさんの目的を優先して下さいね。】

少し考えたけど、なんかアンニカさんが折れそうにないから結局提案を受け入れることにした。

「はい、頑張ります。では早速。」

張り切ってアンニカさんが腕を回す。魔法と腕をまわすのは関係ないと思うけど。それはともかく、

【料理ができたみたいですよ。魔法の開発は置いといて今はご飯を食べましょう。】

「あっ、はい。」



さて、今日の晩御飯は、

玉ねぎ、ナス、ピーマン、ズッキー二とベーコンをにんにくとオリーブ油で炒めて、

トマトを加えて香草とワインで煮て作ったラタトゥーユと、フランスパン。

後は数種類の木の実にワインを加えて煮て作ったあまじょっぱいソースのかかったステーキ。

ラタトゥーユはフランスパンに乗せて、ステーキはそのままめしあがれ、って言う感じかな。


「これ、本当においしいですね。それにしてもあのシャドーパラディンに料理ができるとは。

 と言うかシャドーパラディンをそんなことに使うなんて。魔物だけど一応聖騎士なのに。」

【まあ、使えるものは使えばいいんじゃないですかね。おいしいですし。

 それと。こんなわけで道中は食事の心配はいらないですよ。】

と返事するけどアンニカさんは食事に夢中でこっちを見てない。

・・・やっぱり音で伝える魔法は欲しいかも。




食材はシャドー系の中で影転移が使えるモノに持ってきてもらった。

さすがに町の中に影転移したらばれるかもしれなかったから、食材をホムンクルスに買わせて町の外へ、

そこに待機していた影転移持ちのシャドーに食材を渡させて、ここに戻らせる。

料理のための道具はダンジョンから影転移持ちのシャドーに持ってこさせた。

影転移は本当に便利だ。いろいろと制限もあるけど。


調理は私がした・・・・・っていう事はなく、高級料理店で働いているホムンクルスとシンクロして記憶を共有、そして私とシャドーパラディンとでシンクロで記憶を共有。

結果、高級料理店で働いているホムンクルスの記憶を共有したシャドーパラディンに料理させた。

別にシャドーパラディンじゃなくて、シャドーアサシンとかに料理させてもよかったんだけど、

レベルの高いシャドーパラディンの方が器用だったからシャドーパラディンに料理させた。


と言う感じだ。

このおかげで道中の食糧、料理、ともに問題ない。

ついでにダンジョンの中にお菓子も用意してあるので、デザートも完璧だ。

あれ、と言うかわざわざここで料理させなくても、ダンジョンで料理させて、

その完成品を影転移で持ってこさせればよかったのに。

よし、今度からそうしよう。


【じゃあ、ご飯も食べ終わりましたし、今後についてちょっと話しましょうか】

「はふぅ、・・・・・・・・あっ、分かりました。」

デザートの後に食後の紅茶を飲んでゆったりいているところに申し訳ないが、こういう話は早めにすましておくに限る。

【最初の目的地は近くの町、という事でいいんですね?】

「はい、不思議な現象のうわさを集めないといけませんから。

 それに私が近づかないとあるかどうか分かりませんし。」

そちらはホムンクルスに不自然にならない程度に集めさせる予定である。

情報屋に仕事を出してもいい。


【そういえば、どのくらいの距離ならあると分かるんですか?】

「えーっと、普通のぐらいの大きさの町なら中心にいたら、その町にあれば分かると思います。」

広いというべきか狭いというべきか。

町になくて、魔物の闊歩する町の外も範囲に入ると考えれば狭いか。

世界は広大だからねえ。

まあ、町の外で不思議なことを探すのであれば、ダンジョンの魔物達もおおっぴらに活動可能。

それが唯一の救いかな。


まあ、キリノア聖教国は無理だけど。あそこは魔物に対して厳しいからね。

いや、魔物は普通、人を襲う存在だからおかしくはないけど。私のとこの魔物がイレギュラーなだけで。

それでもテイマーとか召喚士の存在とかも認めてないらしいし、やっぱりあの国は魔物に対して厳しい。



【それじゃあ、これからの予定は適当にぶらぶらしながら、不思議な現象とかの噂を集めるっていう事でいいですか?】

「ぶらぶらって・・・・・まあそうですけど。

 そう、そうですね。何ですから思いっきり楽しんじゃいましょう。幸い時間はたっぷりあります。

 世界一周とかどうですか?

 探し物の事とかあんまり気にせずにいろんなとこを見て回って楽しみませんか?」

それでいいんだろうか?いや、私としては別にそっちでもいいんだけど。

それに私なら魔物達に情報収集させ続ければ、

旅を楽しんでいても情報は勝手に入ってくるから、特に気になる情報があったらそこに寄ればいいか。


【そうですね。場合に寄っては捜し当てるまで長い時間がかかりますし、

 それぐらいの気でいたほうがいいかもしれませんね。】

「そうと決まったら相談したいことがあるんですけど。」

【はい、なんでしょう?】

「私、演劇とかサーカスとかそういうものを見に行きたいんです。

 これまではエヴァレスト教の戒律のせいでいそういうのを見に行くことができなかったんです。

 でも、潰れたんだから守る理由もなくなったので見に行きたいんです。」

【サーカスとかでしたら、貿易都市とかどうでしょう?

 ああいう所は人が多くて、お客さんの需要が見込めるので結構大きなのがありますよ。

 演劇でしたら、貿易都市よりか首都とかの大都市の方がいいかもしれません。

 お金持ちが多いですから、質のいいのがそろってるらしいですよ。】


と言った感じにいつの間にかこの旅の目的は、アンニカさんのもの探しと言うか

観光になっていて、夜遅くまでどこに行こうか、とアンニカさんと話しあうことになったのであった。



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