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旅立ちまで

これまでのまとめ


記憶のないダンジョンマスターによるダンジョン作成

ダンジョンに入ってきた盗賊退治(初めての殺人)

引きこもる、ダンジョンの強化

人間社会へホムンクルスを紛れ込ませたり、星形のマークを付けたダンジョンの魔物を村の警備として置いたりと人間社会へのアピール、潜入

近くの村へ(初めての外出)

村人と仲良くなる

森で違和感を感じる

森で違和感の原因を探る

違和感の原因の場所を探り当てそこでアンニカさんに出会う

アンニカさんと一緒に旅に出よう、と話す


だと思います。大雑把なうえに私の記憶に残ってるものをピックアップしてみました。


「・・・・・よく寝てますね。」

「ああ、遅いから心配してきてみればこれだよ。幸せそうにしちゃって。」

「果たして私はこの子と一緒に行ってもいいんでしょうか?」

「さっきの話を気にしてるのかい?気にすることはないよ。この子が一緒に行くことを望んだんだろ。」

「・・・・・・・・・そうですかね?」

「そうだよ。おこしちゃ悪いし、下でお茶の相手でも頼もうか。今日は休みだと決めてるんだよ。」

「はい」





ドアが閉まって足音が階下に行ったのを確認して目をうっすらと開く。

もともと深い眠りにつく気もなく寝たから、アンニカさんたちが部屋に入ってきたときから起きてた。

そうして聞いたことによるとアンニカさんは何か気にしていることがあるらしい。

盗み聞きみたいで気分悪いけど、

向こうは私に伝える意図がなかったんだから聞いてないふりしてる方がよかったと判断した。

シャーリーさんはまだ眠っているみたい。

起こしちゃ悪いし、何もすることないから、このままもう一度寝よう。




ーーーーーーーーーーーーー



「ほんとに行っちゃうの?」

【はい】

「ほんとのほんとに?」

【はい】

何度も確認してくるシャーリーさんの頭をシャーリーさんのお母さんが小突く。

「何回同じことを聞くんだい。」

「いったー。何も小突くことないじゃん、お母さん。

 もしかしたら、ほんとにもしかしたら心変わりするかもしれないじゃん。」

母親に小突かれてるみたいだけど、シャーリーさんが元気になったみたいでよかった。

あれから三日。

シャーリーさんがいろいろ悲しがったから、別れの準備の期間としてそれだけかかった。

まあ、アンニカさんは急がないでいいって言ってたからそれに甘えた。


お別れに前にこれだけの時間をかけれたのはいいんだけど、

どうもアンニカさんがこちらに気を使いすぎてるような気がする。

三日前に言ってた事が関係してるのかもしれないけど、このまま気を使われ続けるのはどうもね。

けど私はあの会話を聞いてないっていう事になってるから、どうしたらいい物か。

まあ、時間が解決してくれるかもしれないけど。


【じゃあ、シャーリーさん。お元気で。】

「うん、たまには村に遊びに来てね。」

隠しごとしてるけどたまに遊びに来るくらいならいいか。

【はい、近くをよった時には】

「絶対だよ。」

【お約束はできませんが、その時には】

「いや、そこは嘘でも絶対って言うとこでしょう。」

【じゃあ、絶対】

「うー、なんか憮然としない。」

楽しい、ほんとに楽しい。

別れるのは物悲しいけどそれには私の秘密にしてることが多すぎる。

【それではまたいつか】

「うん、またね。」


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「よかったんですか?別れがつらそうでしたけど。

 私の事だったらいいんですよ。

 二人の方が旅は何かと便利ですし、楽しいですけど、最悪一人でも・・・・・」

気遣うように私の方を見てアンニカさんが心配してくれる。

【アンニカさん、気づかいは無用とは言いませんけど、別れは遅かれ早かれやってきます。

 アンニカさんには悪いですけど、旅について行くっていうのはいい機会だったんです。

 そうじゃないと、ずっとあそこにいたいと思ってしまいそうでしたから】

「いたらだめなんですか?」

【いえ、問題ないんですよ。ですが問題があるんです。】

「何かのとんちですか?」

【いえ、そのままです。あそこにいること自体に問題はないんですが、

 いることによって発生する問題があるっていう事です。

 そう、たとえば寿命とか】

すっとアンニカさんを見上げる。そこにはすこし悲しげな顔があった。

そしておそらくアンニカさんの瞳の中に移っているであろう私も・・・・・・。


おそらくアンニカさんはそれを経験済みなんだろう。

私は今までひきこもっていて人との交流がなかったから幸い今までその経験はない。

私も、アンニカさんも、普通の人とは流れる時間が違う。

どれだけの年月が流れたのか分からなくなるように。


【まあ、そういう事もありますけど、アンニカさんとの旅っていうのも楽しみにしてましたからね。】

私はしんなりとした場の空気を変えるように笑って見せる。

ふとアンニカさんの深く吸い込まれそうな瞳が目に入る。

私はいまちゃんと笑えているだろうか?




ーーーーーーーーーーーーーーー

「おかあざん」

「なんだい?」

「いっぢゃった」

「そうだね。けどそれもあの子が選んだ道だろう?

 それにあんたの事を気遣って三日もいてくれたじゃないか。

 すぐに出ていくこともできただろうに。」

「・・・・・・・」

「分かるだろう。あの子はもともと旅でここに寄っただけだよ。

 旅人は心と体を休めたら行ってしまうものなんだよ。」

「でも、でもこんなのってないよ、こんなに悲しいなんて」

娘が思いっきり抱き着いてくる。

やれやれ、こんな事なら最初から私が全部あの子の面倒をみて、

あんまりこの子に世話させる機会を作るべきじゃなかったかもね。

いや、それはだめか。この子にとってもあの子にとってもここでの日々は楽しかったんだから、

その出会い事態を否定するのはいけないね。

そもそも仮定の話など意味ない。

あやすように娘の頭を撫でながら慰める。

「でもあんたはちゃんと別れの時に涙を見せなかったじゃないか。立派だよ。

 ちゃんと笑顔も見せれてたし、別れとしては最高だったよ。

 それにいつかここにまた来てくれるさ。

 忙しかったら人はすぐに忘れてくけど、別段彼女達は生き急いでないからね。

 ちゃんとあんたの事もあの子の記憶に残るだろうさ。」

「・・・・・うん、そう。そうだよね。そう考えると気が楽になってきた。お母さんありがとね。」

「別に礼なんていいよ。親にとって子供はいつまで経っても子供だからね。」

「あーあ、あの子がいないのはさみしいなあ。

 まあ、仕方ない。いつかあの子がこの村に寄ってくれると信じて待つことにしようっと。」

気を取り戻したように笑って娘は家に戻って行った。




「はあ、意地っ張りなんだから。」

トントン、と肩をたたきながら私も家に戻って行った。

家に戻って行った娘の笑顔はどこかわざとらしかった。

まあ、あの子の事だ。しばらくは仕事に手がつかんだろうね。



お待たせしてすみません。

また、誠に申し訳ないのですが、ストックがなくなればまた長期の更新休止状態に陥ると思います。一週間周期です。

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