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朝食

あの子といっしょに一階に降りて行った。

あの子って呼んでも分かりにくいな。名前とまでは行かなくても何か呼び名が欲しいな。


「ああ、もう用意は済んでるよ。さっさと食べな。

 ああ、おはよう。まだ寝てていいんだよ。」

前半は私に当てた言葉で後半はあの子に当てた言葉だ。

ひどいっ、扱いが違いすぎる。


【おはようございます】

「まあ、丁寧な子だね。あんたも見習いな。」

前半はあの子に、後半は私にだ。

うん、やっぱり態度が違いすぎる。

というか念糸を見たリアクションが「まあ」だけとかお母さん動じなさすぎ。

それは置いといてやっぱりここはその態度の違いに断固抗議するべきだ。


「そんなこと言ってもお母さん、子供は親の鏡だよ。」

「・・・・・・・・勝手に用意したけど何か食べれないものや嫌いなものがあったら言ってね。」

【大丈夫です】

話題そらしたっ、話題そらしたよ。

しか嫌いなものがないって言ったあの子の頭を撫でてる。うらやましい。

私も撫でるっ。


だけど撫でようとした私に妨害が

「ほら、あんたはちゃっちゃとご飯食べて仕事しな。あんたがさぼるから仕事は山積みだよ。

 ああ、お嬢ちゃんはゆっくり食べていいからね。」

「あー、・・・・・・・了解。」

普段からまじめにやっておくべきだった。

関係ないけど私の仕事は魔道具作りだ。まあ、本職さんにはかなわないから内職程度だけど。

魔法の才能をほったらかして農業をするのもどうかと思ってね。


「あああーーーーっ!」

「どうしたんだい、急に大声出して。」

お母さんが咎めるように聞いてくるけどそれどころじゃない。


「笑った、今この子笑ったよ。」

無表情なこの子だけど今確かにちょっと笑ってた。

なにに笑ってたのかわからなかったけどとっってもかわいかった。

お母さんは向こうをむいてたみたいで見てなかったっぽい。ふふん、私を邪険に扱った罰だよ。


あの子の笑ってる顔はやっぱり別格だった。

無表情の時はその時でかわいいけど。

今も自分が笑ってたのか頬を触って確かめてるとことかも超かわいい。


これで今日お仕事頑張れるよ。

子供の顔を見て疲れが吹き飛ぶとかいう親の気持ちが分かったよ。


・・・・・・分かったんだけどさあ、なにこれ!私とあの子の朝食が違いすぎるよ!

私の席にはお皿にぽんとちょっと焦げた食パンが置いてあるだけ。

あの子の席にはどっから引っ張り出してきたのか分からないけどなんかかわいらしいお皿の綺麗な焼き色がついたパンが会ってご丁寧にジャムまで塗ってある。

・・・・・ジャム?


「あーーー、おかあさん、そのジャムっ!」

私が行商さんから買ったすっごく高いジャム。見つからないように奥の方に隠してたのに!

いつか特別な時に食べようって残してたのに!


「ああ、使ったよ。」

「使ったよ、じゃないよ!楽しみにしてたのに!」

「いいじゃないか、それぐらい。」

あの子はジャムの塗ったパンにかぶりつこうとしてたんだけど、

私とお母さんのやり取りを聞いて固まる。

そしてちょっとためらった後パンを戻しておずおずといった感じでお皿ごと私の方に差し出してくる。

うう、罪悪感が。


「あんたっ、小さい子に気を遣わせてるんじゃないよ。

 大丈夫だから、食べていいのよ。」

「そっそうだよ、子供は遠慮したらだめなんだよ。」

あわててとりなす私たちにあの子はちょっとためらった後皿を元の場所に戻した。


【半分こ】

と思ってたらあの子はジャムの塗ってるパンを切れに半分にして片方を私に渡してきた。

うーむ、ここで断るのはなんか違う。

「ありがとう、優しいね。」

受け取って頭をなでると目が細まって気持ちよさそうにしてる。かわいいっ。


一応私のパンも半分にちぎっているかと聞いてみたけどいらないらしかった。

まあ、まだ子供だもんね。そんなに食べないよね。

それにしても楽しい朝食だった。・・・・・・ジャムはなくなっちゃったけど。

まあ、あの子のかわいいところも見れたしプラスかマイナスで言えばプラスだね。


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