念糸の使い方 *シャーリーさん視点
私が起きるともうあの子は起きていた。
早いなあ。私これでも農家の娘だから結構早くに起きてると思うんだけど。
「おはよう。」
私は返事がないと分かってるけどあいさつをする。
【おはようございます】
ん?私の目の前に文字が現れた。
何なんだろうこれ?私は寝起きの回転の遅い頭で考える。
おはようございます?
【どうかしましたか?】
「いやなんでもないよ。なんでもないんだけど・・・・・・・・。」
私の目の前で文字が一回ばらけるとまた形を直して文字になった。
これってもしかしてもしかしなくてもこの子が文字を作ってる?
これって無属性魔法の〈念糸〉だよね。私もできるけどこんなに精密に動かすこと出来ないんだけど。
はあ、こんな年端のいかない子がこんな技術を持ってるなんて。自身なくすなあ。
「えーっと意思疎通できたんだね。」
そう昨日これをしなかったのはどういうことなんだろう?
【練習しました】
へっ?もしかしてこの技術を一晩で覚えたの!?
というか昨日お風呂場で寝ちゃってたから実質私が起きるまでの間の時間だけで!?
これはなんというか・・・・・・・。
「・・・・・・すごいね。」
【ありがとうございます】
というかこの子むっちゃ礼儀正しい。
かわいらしい容姿と、あんまり表情が変わらないっていうとこにむっちゃくちゃマッチしてる。
抱きしめたい。
【急に抱き着いてくるなんてどうしたんですか?】
視界の端にこんな言葉が映ってる。
あっ、もう抱き着いてた。
「ごめんごめんあまりにもかわいらしくって。」
【そうですか?普通だと思いますよ】
まさかの無自覚。
だめだ。この子将来悪い人に騙されちゃうかもしれない。
私がちゃんと見てないと。
「つらいかもしれないけどこの村に来るまでのこととか教えてくれるかな?」
そういうとこの子はさっきまで念糸をきれいに素早く動かしてたんだけどそれが止まった。
やっぱり言いにくい事だったか。
もうちょっと時間を空けたほうがいいかな?
そう思ってると〈念糸〉が動き始めた。
【武者修行です】
私は思わず目をこすった。
へっえっなに武者修行って。それはないでしょう。こんな幼いのに。
あー、冗談か。この子表情が変わりにくいからわからなかった。
もうこっちは真剣に聞いてるのに。
・・・・・あ、もしかして言えないことでとっさに嘘をついたのかも。
それでこんなにとんちんかんな答えになったのかも。
うーんそれじゃあ無理に聞くことはできないなあ。
まあ村のみんなが必要だと言ったら詳しく聞くことにしようか。
「じゃあお名前を教えてくれるかな?」
名前を知らないと呼びにくいからね。
【ない】
「そっそう。」
今まで丁寧な言葉遣い(念糸使い?)だったのにこの質問だけ二文字だけ。
相当つらいことがあったんだろうね。
名付け親になることも考えたんだけど軽々しく決めることはできないもんね。
・・・・・・・・それに最悪の場合は考えないでおこう。
「そういえば両親はどうしてるの?」
私はいやな考えを吹き飛ばすように聞く。
【いないです】
「そうもう死んじゃったの。つらいこと思い出させてごめんね。」
【ちがいます、多分親というもの自体いないです】
親がいない?どういうことだろう?
「シャーリー、もう朝だよ。早く起きといでー。」
「はーい。」
お母さんに呼ばれてる。早くいかないと。
「じゃあいこっか。」
【はい】
まあ詳しいことを聞くのは後でいいか。
とりあえずはごはんだごはん。
だいたいこの主人公が起きたのはお風呂で寝てから二時間ぐらいです。
だから実際は練習する時間はたっぷりありました。
それに門番さんの家でも捕縛の仕方ですが念糸の使い方は練習してましたので習熟も早かったのです。
それとシャーリーさんの言ってる念糸と主人公の使ってる念糸は別物です。
主人公の技術はあくまでスキルとして手に入れたものです。
シャーリーさんの思ってる念糸は魔法技術として長年の研究で作られたものです。
ですので単純な比較はできません。
最悪の場合というのは村で育てることができずに見捨てるということです。
まあまずありませんが。
9/21念糸に括弧(〈念糸〉)をつけました。




