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部屋中には甘く美味しそうな匂い。
茶色の綺麗な焦げ目。側面の分厚い黄色い生地。
それは出来たてホヤホヤのアツアツのパンケーキ。
幾枚も重なった分厚いパンケーキから微かに湯気が立ち、そこにバターの欠片がポトリと落とされ、その上にメープルシロップがツーとかかる。
溶けたバターとメープルシロップの雫が混ざり合いながら、真っ白いお皿へと滑り落ちていく。
しかしここはゲーム世界。
人工的に作り出されたそれが、実際にそこにあるとは限らない。
それでも、匂いはする。味もする。食べればお腹も膨れる。
バグったことによる不思議な世界。
紅茶と同じくらいパンケーキの好きな彼女は、他の誰も見たことの無い幸せそうな満面の笑みを浮かべ、しばらくの間出来立てホヤホヤのパンケーキをキラキラした瞳で見つめていた。
嵐の前の静けさ。




