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『では裁きますか。』
「え?いや、ちょ、まっ……。」
『いきます。』
きちんと宣言した彼女がタッチパネルを操作すると、牢の天井が消えて代わりに何故か滝が出現する。
「rrrぁぐggggggggggggggggggggガガガ…………。」
滝からは大量の水が勢い良く流れ込み、それに飲み込まれた彼は意味不明な絶叫を上げる。
本来なら、水中にいるのと変わらない状態の彼が声など出せるわけがないのだが、ここは仮想世界。実際は濡れてなどいないし呼吸もできる。
一方そんな状況を作り出した彼女は、平然と紅茶を飲んでいた。
こちらも、普通ならば鉄格子の間から流れ出た水が彼女にも襲いかかるだろうが、何故だか檻から出た水は空気へと溶けていく。
上から流れてくる圧倒的な水流に冷静さを欠いた彼は、他エリアに行けば逃げ出せると言うことにも気がつかずにただ絶叫しているだけだった。
この水量で『SD時計』を操作し脱出できるか?と言えば否だろうが、『SD時計』には緊急時に長押しすれば自身のFAへ帰ることができるボタンがある。
本来は戦闘中に危険な状態に陥った時に使うものであった。
しかし、戦闘をしない者が大半なので、その機能を忘れている人も多く史谷もその一人である為、もし他エリアへ行けば抜け出せる事に気づいても出れることは無い。
また、ハクはその機能を知っているが、大半の人がその機能の存在を忘れている事を知らなかった。
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数分後。
いい加減彼の絶叫にも飽きた彼女は、滝を消して牢の天井を戻した。
「ぁあああああ……あ??」
突如消えた滝に、2秒程ずれて反応した彼は首をかしげる。
「バカなのですか……?」
彼女は無意識に、ボソリと小さく呟いていた。




