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この王都のギルドにはBランクの冒険者は20人いるが、2つのタイプに分かれる。Bランクだけで固まりBランクパーティを作り自らの収益を目指す者達。
そして、自らがリーダーとなりCランク以下を連れてパーティを編成し後輩の育成に努めながらいくもの。
一見、前者の方がAランクに上がりやすいように見えるが、実際には逆らしい。Aランクには厳しい昇格用件があり、後者の方が選ばれやすい。そして人望もあるのだ。
ギルマスも後者のタイプで、それはもうイケイケで育成していたらしい。今の現役のAランクやBランクは全員、ギルマスが育てた人間だ。
Aランク冒険者は3人でSランクは今いない。その3人はかなり人望がある人達なので、彼らの中からSランクに上がった人が、次のギルマスになるのだと言われている。
サムソンさんは当然後者のタイプだ。そのタイプの人は8人いるが、サムソンさんが一番若いけれどかなり有望視されている。
だから俺も救われた事情があるんだ。前者の12人のBランクは4人ずつでBランクパーティを組んでいて、それはそれでスペシャルチームなので重宝されている。適材適所というわけだ。
「じゃあ、出します」
俺は例の黒焦げ野郎を床に転がした。
「こいつは、また」
「派手にやったもんだな」
いつの間にか来ていたギルマスも、サムソンさんの言葉を継いでそう評してくれた。
アリシアさんもそれを見て、ややきつめの感想を述べる。
「まあ、何をやったら、こんなにこんがりいくのかしらねえ。素材が台無しじゃないの」
「無茶を言わないでください。こいつの毛は魔法を弾くんですよ。たまたま火魔法が効くようだったから助かったけどさ」
これだからアリシアさんはもう。
「この傷跡は魔法じゃないな」
ギルマスがジロっと俺を睨みながら言った。
へっへっへー、『肥料』をちょっとまとめて大爆発させてやっただけですがな。あれも普通ならそうそう爆発したりはしない物だ。ちょっと混ぜ物をしてアンホ爆薬にしてやったのだ。
点火は、本来なら衝撃で爆発する銃の弾薬用の雷管薬を用い、今回は火魔法を使用してそれに点火したのだ。うまく伝爆出来てよかった。点火用の爆薬はネットで買えなかったんだ。
「これはグラムか」
サムソンさんはこいつの事をよく知っていたようだ。
「シャル、こいつの本当の倒し方はな。剣で斬るんだ。魔法を弾くからな。よほど強力な魔法使いならいいが、そうでないと無駄が過ぎる。
硬いのは確かだが、剣で斬るのが一番だ。できれば魔法使いにディスハードの魔法をかけてもらえれば最高だが、これはなかなか使い手がいないからな。
神官ではなく魔法使いのスキルだが、通常この手の支援魔法しか使えない魔法使いは需要も少なくて、大概はすぐ廃業してしまっているからな。
火魔法には比較的弱いから、案外とお前みたいな火魔法を使える魔法剣使いは相性が悪くない魔物だ。こいつは魔法使いだとBランク冒険者でも嫌がられるな」
もしくは、焼却ないしは爆殺ですな。ネットでロケットランチャーでも探すかな。いやロケット砲は近距離だとあまり役に立たないから、対物ライフルか火炎放射器かな。
このあたりは所持が難しい代物だから、なかなかネットで売っていないんだよな。火炎放射器なんか、国によっては所持しているだけで10年くらい刑務所行きになる。
戦車や戦闘機なんかはよく見かけるんだが。今度装甲車や戦車にトライするか。対空機関砲を搭載した戦車なんかもあるんだよな。
『50ミリ』2連装対空機関砲を積んだ戦車の売り物も見た。あれなら多分、こいつを木っ端微塵にしてやれるぜ。
弾が売ってるかが問題だ。20ミリ機関砲の弾ならあるんだけど。大砲なんかも薬莢なんかはよく見かけるが砲弾のネット販売は見ないなあ。
風魔法で弾丸を物理的に加速させてやる方法もある。今度アサルトライフルで試してみよう。魔法そのものではなくて、物理攻撃を増幅させるんだから行けるはず。
小銃用の徹甲弾は軍事用だからネットで販売していないだろうなあ。そんな俺の感慨をよそに、ギルマスから声がかかる。
「まあ、よくやった。あのあたりは新人もうろうろしている。被害が拡大する前に退治できてよかったな。
そうだ、お前の昇格も考えねばなるまい。お前はCランクプラスを見事に倒した。今回もCランクを見事に単独で倒した。それも、倒すのが困難なグラムをだ。
しかも硬いグラムにこれだけのダメージを与えるほどにだ。チームのリーダーも務め、パーティメンバーの安全を図る事ができるのも再三証明している。
特別に飛び級でDランクをやろう。ただし、それなりの責任は果たしてもらうぞ。他のメンバーはEランクとし、Eランクのパーティとする」
やったぜ、俺は笑顔でメンバーに向かって親指を立てた。
「ありがとうございます。この2人を編入するんですが、この子達がいてもEランクパーティでよいですか?」
「ああ、いいだろう。リーダーのお前がDランクなんだからな」
「それなら、ちょっとこの2人を試験してもらえませんか。なかなか優秀です。うちのメンバーと較べて遜色はありませんよ」
俺の申し出に少し考える風だったが、頷いてくれた。
「いいだろう。では修練場へ来い」
俺達はギルマスの後についていった。
「あ、あの? 私達はまだそんな経験を積んでいませんが」
「いや、次の昇格のために足並み揃えておきたいのさ。俺がCランク、他のメンバーがDランクでDランクパーティを目指したい。いい素材を取ってこれれば楽ができるし、稼げるから早めにランク上げをしたい」
そんな俺達を頼もしそうにサムソンさんが見ていたが、商売をしたいからって聞いたら怒るかな。あの人には内緒にしておこうっと。
修練場についたが広いな。ここは屋内スペースで100m四方ほどあり、かなりの広さだ。大勢の人間がトレーニングをしている。
冒険者になるための適性訓練もある。あまりに軟弱物を加入させても死んでしまうだけだから、一応検査をするのだ。
ジーンだって通ったくらいだから大丈夫だけど。能力の高さではなくて、ちゃんと生き延びられるかどうかを見るだけだ。
「お前は魔法使いだったな。撃ってこい」
「は?」
レミーは、ちょっと間抜けな顔をした。
「いいから撃ってこい。俺のスキルは、『他人のスキルを無効化する』能力だ。今日お前が出会った化け物だと思って全力でかかってこい」
なんてチートな。そりゃあSランクにもなるだろう。AランクやSランクの魔物にもなると、もうスキルや魔法の嵐のはずだ。それを全部無効化しちまうのか。
きっと他にもいろんな武技みたいなのを持ってるんだろう。魔力を通せば、修練次第で剣も魔法剣のように使える。
レミーも顔を引きつらせていたが、キッとギルマスを睨みつけると、兄の仇と言わんばかりに魔法を放った。今日俺が見たアイスランスの倍の大きさの氷の槍を遠慮のえの字も見せずに20本も纏めてぶち込んだ。
しかも、ぴったりとギルマスめがけて。それが打ち消されると、今度は四方八方から40本を。1本たりとも狙いは違っていなかった。
やるなあ。
「いいだろう、なかなかのものだ。お前はEランクだ」




