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1-17 新メンバー

「君達はどこに住んでいるんだ?」

「私達は来たばかりで、宿屋にいました」


「そうか。宿屋だと落ち着かないね。もしかすると、今俺とジーンが借りている家の部屋が空くかもしれない。ギルドにも聞いてみてもいいが」


「空く?」

 少し不思議そうにアイカが聞いた。


「あ、いやそのお、部屋の主がずっと帰ってこないんでね。毎日、日帰りしていた奴等が」

 少女達は思わず目を伏した。これだから、今は言いたくなかったんだが。


「わ、わかりました。聞いていただけたらありがたいですが、手持ちがあまり無いの。装備を整えたところなので。それもあって少し深追いしてしまったのです」


 新人パーティがよく全滅する原因の一つだな。彼女達はたまたま平原の端にいたので、逃げ延びたのだ。


「そのへんは考えよう。お金は貸してもいいし、どの道宿屋に泊まるのだって金はいる」

「そ、そうですよね。じゃあ、お言葉に甘えます」

 この2人だとレミーが仕切っている感じだな。アイカはレミーを頼っている風だ。


「あのう、パーティリーダーは誰なんでしょう?」

「一応登録した時には俺になっているけど。まあ何か決める事があったら、さっきみたいに皆で話し合って決めているよ。多分、全員同じ歳だよな?」


「私達は15歳です」

「俺達もだ」


 1人だけ精神年齢が一回り近く上だけどね。だが、かなりシャルに引っ張られて少年っぽいメンタルになってきている感じがする。今は2人の年齢を足して2で割って平均になる20歳くらいの感じだろうか。俺達は基本的に同一人物なんだけれど。


「基本的にうちは安全を優先しているから無理はしない。何しろCランクの魔物にさえ、俺達みたいなひよっこは蹂躙されるだけなんだ。本当なら洞窟ゾーンで大人しくしておかないといけない身分なのさ。だが、俺はこのメンバーなら平原でもそれなりにやっていけると思う」


 正直4人では心許なかったが、この2人を加えればなんとかやれそうだ。

「戻ろうぜ」


 クラウスが言ったので、俺達は洞窟ゾーンへと戻っていった。はっきり言って迷路もいいところだが、シーフがいればなんという事もない。特に、アイカはひょいひょいと進んでいく。


「おいおい大丈夫なのか?」

 俺もちょっと慌てる。洞窟を進むスピードではない。ジェンカも驚いているようだ。


「あはは。大丈夫ですよ。アイカのシーフとしての能力はたいしたものです。この速度でも迷路はきっちり見ているし、魔物も探知しています。ただ、あいつのように突然現れたら如何ともしがたいです」


「突然沸いた?」

 そんな馬鹿な。そんな事があるなら、何でもありじゃないか。


「え、ええ。アイカは何もないところから、あいつが沸いたと言っていました。自分の能力には絶対の自信を持っていましたから、かなりショックを受けていました。あの子の能力があったから先へ進んでいたのもあるのよ。あと私の魔法もね。でもあの魔物はそれを両方とも無効にしてしまった」


 なんてこった。レミー達のパーティにとっては最悪の相手だったんだな。うちも俺が異世界上がりの人間じゃなかったら厳しかったかもしれない。


「それは帰ったらギルマスに報告の案件だな。洞窟ゾーンでやられたら初心者パーティが全滅しちまうぜ」


「ええ、まだ頭の中で整理がついていないわ。アイカがいなかったら何があったのかもわからないところよ」


 ひでえな。いきなり何の情報もなくあんな化け物とやりあうのは勘弁だぜ。今回は前もって話が聞けていたから、突然でも瞬間に作戦が練れた。弱点までわかっていたからな。


「シャル、気をつけよう。しばらく下まで降りるのはなしだな」

「あ、ああ。ギルドで話を聞いてみようぜ。どっちみち報告に行くんだ」


 アイカは30分ほどで地上に俺達を連れ出してくれた。

「凄いわね、あたしには真似ができないな」

 さすがのジェンカも降参だ。


「何、お前は剣が使えるから先頭に立っての露払いもある程度はできるし、アイカに遊撃はやらせられない。アイカは弓士だからな。なかなかいい2枚看板のシーフだと思う。探索や誘導はアイカメインで、ジェンカは偵察や遊撃をこなす感じで行こうぜ」


 ジェンカだって優秀なのだ。この間もバラクテスを先に見つけてくれた。心の準備もないのなら俺にも闘えなかっただろう。


 俺達はすぐにファンジョンから出ると、冒険者ギルドへ行きギルマスに面会を求めた。

「あら、バラクテスを倒して公爵様を救った英雄のご帰還ね。あらあらあら。もうハーレムなんか作っちゃっているのかしら。女の子が4人に増えたのね。やるわねえ。これまた可愛い子ばっかり増やしちゃって、このこのこの。そのうち後ろから刺されても知らないわよ」


 とんでもない事を言うのは美人受付嬢のアリシアさんだ。王都にいる冒険者にとって憧れの的であるお姉さんだが、こういうありえない事を平気で口走るので有名だ。


「またアリシアさんったら。そういう事を言わないでください。俺はジーン一筋ですよ! この子達は訳有りで新メンバーになった子なんです。それにジェンカは前からクラウスの彼女ですからね」


 ドヤ顔でとんでも説を垂れ流す巨乳のお姉さんに、しっかり抗議しておいた。そうしておかないと、このお姉さんの脳内では本人が認めた事になっているのだ。被害者続出なのである。


「男は言い訳無用よ。はたから見たらそうとしか見えないのよ。いえ、そういう事に決まったわ。ところで、メンバーの加入手続きに来たの?」


 首をクルっと回し、豊かなロングのウエーヴのかかった金髪と、はみ出るんじゃないかというこれまた豊かなバストを揺らしながらアリシアさんが尋ねてくる。


 それを見て周りの独身冒険者達が生唾を飲んでいるのがわかったが、俺がこの人の事を苦手なのを知っているので、ジーンに抓られる羽目にはならなかった。クラウスはちゃんと抓られている。


「それもあるんですが、ギルマスに報告があって。7階に入ったところでいきなりCランクの襲撃を受けたそうで。手ごわい奴でした。Cランク最強クラスではないでしょうか。この前出たCランクかと思うほどに。しかもいきなり平原にポップしたそうです」


 アリシアさんも眉を顰めた。

「なんですって。何も無いところから沸いて出たの? しかも7階に入ったあたりで?」


「はい。私たちのパーティは逃がしてもらった私達2人を除き全滅しました」

 レミーが泣きそうな声で証言した。


「まあ!」

「それは本当か、シャル」

 突然、後ろから声をかけてきたサムソンさんが聞いてきた。


「はい、本当です。あ、この間はありがとうございました。あれから用心していますよ。おかげで今日も生き延びました」


「うん、いい心がけだ。いいスキルを持っているみたいだしな。ところで今日出た魔物は持ち帰ったか?」


「はい、見ますか?」

「ああ、解体場に出してくれ」


「わかりました。アリシアさん、ギルマスを呼んでください」

「わかったわ」


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