3話
「では、改めまして、ようこそLairへ!」
とりあえず、歓迎はしてもらえてるみたいだ・・・けど。
「何かすることないですか?」
何もしなくてもいいっていうのは僕にとっては結構酷なことだ。
「さっき、お前にいてくれるだけでいいって言ったよな」
それは聞いていたし、覚えている。でも、僕をここに連れてきたってことは何か理由があるわけで
「リヒトさん、何で僕をここに連れてきたんですか?」
すると少し困ったような顔をされた。
「あのね、ライくん。僕たちはライくんに何かしてもらうためにここに来てもらったわけじゃないんだ。ライくんに、カウンセリングを受けてほしいんだ」
なぜだろう。別に僕は精神的におかしいわけじゃないと思う。
「なんでですか?別に僕、どこもおかしくない!」
「おかしいわけじゃない。けど、お前の考え方は間違ってる。嘘をつくのは、悪いことじゃ、ない」
なんで、考え方が間違ってるなんて言われなきゃいけないんだ。
今日会ったばかりの人に。
「根拠が!根拠がないじゃないですか!」
推測でこんなことを言われるなんて何だか癪だ。
「目。目を見ればわかる。俺はこう見えても結構な人数をカウンセリングしてるんだ。だから、わかる」
目?僕はそんなにおかしい目をしてるんだろうか。
「僕はそんなにおかしいですか?嘘をつくのは悪いことじゃないなんて、そんなこと僕の周りにいた大人は誰一人として教えてくれなかった。だから、だから僕は、自分のことが嫌いで、嫌いにならなきゃダメだったのに・・・。別に僕だって自分のこと嫌いになんてなりたくなかった」
深い、ため息をつかれた。
「お前、必死になり過ぎ。何を言いたいのかよく分からんぞ」
そんなこと言われたって!そんなこと言われたってしょうがないじゃないか。だって
「僕、今までまともに人と関わってないんです。だから、どう喋ればいいのかわからないんです・・・」
さっきまで緊張のし過ぎで呼吸の仕方まで忘れてしまいそうだったのに
「だから、そんなこと言われても困ります」
完全に八つ当たりみたいなことを言ってしまった。