1話
「ついたぞ」
そこは少し大きめの一軒家だった。
「入れ」
そう言われて入ると、これまた綺麗な人が出迎えてくれた。
「こんにちは~」
僕を連れてきた綺麗な人はTHE男って感じだったけど、今、出迎えてくれた綺麗な人はふわふわしてて、綿あめみたいな人だと思った。
「ウサギ、出迎え有難う」
さっき出迎えてくれた綺麗な人はウサギって言うんだ。変わった名前・・・
「今、変わった名前って思ったでしょ。顔に書いてある」
ウサギさんが僕に聞く。
「はい」
そう答えると、ウサギさんは少し驚いた顔をして僕を連れてきた綺麗な人に
「ホントにこの子がそうなの?」
と聞いていた。
「そうだ」
と僕を連れてきた綺麗な人が答えると、ウサギさんは少し笑っていた。
「僕がウサギって呼ばれてるのはね、寂しがり屋だから。ウサギは寂しいと死んじゃうんだよ。ねぇリヒト。この名前もリヒトがつけてくれたんだ」
僕を連れてきた綺麗な人はリヒトって言うんだ。二人とも変わった名前。
リヒトさんが
「寂しがり屋じゃなかったら、あんな仕事しないだろ」
って言うからどんな仕事してるのか聞いたら
「春を売る仕事だよ」
って悲しそうな眼をしてウサギさんが言ってた。
リヒトさんが
「お前の名前は?」
って聞くから
「朝陽 斗真です」
と答えると。
「本名じゃねぇよ、馬鹿」
と怒鳴られた。聞くとここにいる人たちは危ないから本名では呼び合わないんだそう。だから、自分で名前を決めろって言われた。
「lieで」
そういうとリヒトさんに
「昼寝が好きなのか?」
って聞かれた。
「そっちじゃないです」
って言うとウサギさんが面白そうに
「新人はいじめちゃだめだよ。ライくんのことお気に入りなの?」
ってかばってくれた。
新人ってことは、つまり僕はどこかの組織に入るってことで、どういうことなのかなと考えているとリヒトさんが
「ようこそ、Lairへ」
そう言って僕を家の中へ入れてくれた。