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ホウレンソウ

最速の一歩を踏み出さないのは、オークの後ろは森だからだ、ギャグの主人公にはなりたくない。


キャサリンさんとジェニファーさんが放った火の玉魔術は、オーク二頭に直撃し火柱を上げた。


火に包まれた事により熱いのか、はたまた息が出来ないのか苦しみ悶えているように見える。



なんかオークに火の玉が効いた所を見たのは始めてな気がする。



アタシは駆けるのはやめて立ち止まり、様子を見ることにした。




すると一分もしない内に、オーク二頭は倒れた。





その後、もう一頭出て来たが、様子見の為に構えたまま突っ立っていたアタシの横を火の玉が二発通過していき、オークを焼き付くした。


オークは立ったまま黒焦げになっていた。



もしかしてアタシってイラナイ子?




振動感知をすると倒れているオークはまだ生きている。


アタシは火が消えても、ほとんど動けないでいる、オークにホウキを突き刺すだけの簡単なお仕事をした後、体内から魔石を取り出して二人のもとに戻った。


キャサリンさんとジェニファーさんに魔石を渡していたら、アランさんとケニーさんも無事にオークを倒したようで、魔石を取り出していた。



キャサリンさんとジェニファーさんの持つ地域最高級の杖は、伊達ではなかったと言う事だ。


以前使っていた杖では、ダメージを与えるのがやっとだった為、三人でコンビネーションを組んで倒すのがセオリーだったらしい。

これは一般的なパーティにも言えることで、魔術はゴブリンには有効ではあるが、オークに対しては牽制用途でしかない。


この最高級の杖だからこそ、この火力。ベテランになればなるほど、杖を多数持って使い分ける技能が必要となるのである。

更に言うと、魔術には追尾性能は無いのでしっかり狙わないと当てる事も叶わない。

魔術師は現代で言うスナイパーの技術も必要なのである。



そんな話しを野営地に向けて移動をしながら聞いて、アタシはイラナイ子にならないように、偵察だけでもをしっかりやろうと心に決めた。



森から三キロ程離れた地点で、アランさんに許可を得て、上空から偵察を行った。


一番先に目に入ったのは、砦兵逹が準備している野営地である。これから六日間を過ごす場所である。


周りよりも少し高い丘の上に設営されている。


オークが接近しても発見は容易だ、隠れる必要が無いから出来る強気の陣地である。


次に目に入ったのは、野営地から北に五キロ程の所に二十頭以上居るオークの集団。そこから西に三キロ、更に三キロと離れた場所にも同じ様な集団が見える。更に北側には数えるのが嫌になるくらい、たくさんのオークがいる。


西に向かった冒険者逹はオークと戦っている。時折光が見えるのは火の玉魔術だろうか。更に西にもオークの大集団が見える。



えっと、これって。


偶々そう見えたのかな?

オークの基本行動パターンなのかな?


疑問を解消するには聞くしかなく、風魔法を止めて着地した。


偵察の結果をアランさんに報告して判断を仰ぐ。


アタシの勘違いなら良いのにと祈っていたが、アランさんも同じ結論に至ったらしく。


急いで野営地に向かうことになった。




日がまだ高い内に、野営地に着く事が出来たが、討伐隊隊長は『漆黒の鉄槌』『漆黒の斧』の両パーティを護衛として西の戦場の視察に向かったらしい。


もう一人の守護騎士である副隊長のマールさんが対応してくれたので、上空から偵察したオークの位置と規模を伝えた。


オークの配置は、あきらかに対人間を意識している。

人間が攻めてくることを想定していたに違いあるまい。

二方向から来るオークの大群に挟まれてしまえば苦戦どころか全滅は必至。

すぐに撤退すべきだと進言した。



マールさんは、暫し考えている様であったが。

「情報は有難いけど、少なくとも隊長と冒険者側のリーダーのダンさんが戻ってこないと、我々だけが逃げ出す訳にはいかない」


それは当然である。

こちらも、狩りに出ている冒険者逹全てを見捨てて逃げろと言うつもりはさすがになかったが、早急すぎたらしい。その事を謝り、謝罪を受け取ってもらった所で。

マール副隊長は、迅速に撤退が出来るように準備はしておこうと言ってくれた。



アタシ達は、マール副隊長に礼を言ってから席をはずし、夜営地の北側の警戒に着くことにした。


二十頭のオークがわずか五キロの地点に居るのである。


攻め込んでこられたらアタシ達だけでは防ぎきれないけど、砦兵達と一緒に戦えばどうにか出来るような気もする。


緊張感が漂う中、みんなが一息出来るようにアタシは単独偵察してくることを伝えた。


最速の一歩を踏み出せば百メートルは二秒程度。一分あれば三キロ移動できる。そこから一分偵察してすぐに戻るとすれば三分程。

余裕をみて、二百数える間に戻りますから、その間は休んでいて下さいと伝えた。


みんなは、きょとんとしていたが、行ってきますと言って気を足に集めて最速の一歩を踏み出した。


アタシは心の中でカウントアップ。五十五を数えたところで減速開始。

車は急には止まれないの標語通りだ。

きっかり六十を数えたところで砂埃を上げる事無く無理無く停止し。その場に寝転んで感度最大で振動感知を行った。


オークの集団は数時間前からあまり移動していない様で、約一キロ先に大きな反応があった。


距離が離れているので、個別感知は出来ない。


方向がわかったので、立ち上がって目視するが、草原はまっ平らでは無いので見ることは出来なかった。


振り返り、野営地の方向も見たが、こちらも見えない。


もしかしたら、野営地はオーク達には、まだ見つかっていないのかと思った。


もう一度、振動感知を行い集団が動いていないことを確認してから野営地に戻ることにした。



「ただいまです」


最速の一歩を踏み出して五十を数えてから、減速していたので夜営地の近くでは、小走り程度である。


手を振りながら近寄ったところ「まだ百二十くらいしか数えていないよ、まさか」と、緊張した面持ちで聞いてきた。


戻りが早いから、何かがあったと考えたらしい。


アタシは安心させる為にも、簡素に状況を伝えた。


日が暮れればオーク達も動かないだろうから、今動きがなければ今日の所は安心だろうとの事。

『青い閃光』のみんなは、安堵の面持ちを見せていた。


アタシは、他のパーティが、早く帰ってくると良いなと思う夕暮れ前であった。



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