パーティ名は
アランさん逹に混ざって話しを聞くとやっぱりオーク討伐依頼の事であった。
星半分のアタシには参加資格さえ無いから、行ってはみたいけど、砦で、みんなの無事を祈るしか出来ないなと言ったところ。
クランを結成しないかと提案された。
なんとパーティ名は一人でも名乗れるそうだ。
クラン単位なら、ランクは高い方に合わされるので参加出来るらしい。
昔、誰もが憧れる有名な冒険者逹が居た。その活躍によってたくさんの人々の生活を救っていた。
そのパーティ名は『伝説』。
結成当時五人で後世に語り継がれる活躍をしようと冒険者になったと言われている。
その名に相応しい活躍をした五人であったが、長い戦いのさなか、一人また一人と戦場に散っていった。
しかし『伝説』パーティは仲間を増やす事なく、そしてとうとうリーダー唯一人になってしまった。
リーダーは一人になっても変わらず精力的に魔物を狩り続けていた。
幾年か過ぎ、高齢となったリーダーは戦場を退いたかのように活躍が聞こえなくなっていたが、ある事件が起こる。
その戦いは本にまでなり、後世にまで語り続ける事になった『ゼニトルマン』との戦いである。
当時のセントラル王国は傲慢な国であった為、周辺国家と中が悪く。
どの国も、セントラル王国の危機を傍観していた。
しかし、種族別け隔て無く何度も魔物からの脅威を退け続けてくれていた、パーティ名『伝説』の『エイ・ヨウ』氏に、自国を助けて欲しいと懇願されたことにより、今までの恩を返すべく周辺国家は動いた。
『ゼニトルマン』事件が解決し、セントラル王国が謝罪をし傲慢な態度を改めたので、それからこの地域一帯の平和が始まった。
一人パーティであったが『伝説』の名を捨てなかった『エイ・ヨウ』は周辺国家とクランを組み、最悪と戦ったと言う事実により、以後一人でもパーティ名を名乗って良いことになったとのこと。
アタシは、本のタイトルを脳内で漢字に変換して悦に入っていた事が恥ずかしくなった。
だってノーエイヨウとかノーアイデアとか推理小説みたいに謎解きしていて、自信満々に謎は全て解けた、タイトルは『伝説の英雄』だなんて思っていたのに、実は『伝説のエイ・ヨウ』さんの本だったなんて。
アタシは、あまりの恥ずかしさに頭を抱えていたのだが、それをパーティ名を考えていると思われたらしく。
「クランの名前は何にしようか、マッキーさんがパーティ名を考えている間に、俺らも考えようぜ」
って、クランを結成することは既に決定しているようで、話しを進めている。
オーク討伐に参加したくない訳ではないけど、一人でパーティ名って中二臭くて恥ずかしくない?
その事を聞いてみると、一人パーティ名は、自分の箔を付ける為や、嫌な二つ名が付けられた時に、打ち消したりする為によく使われているらしい。
そう言えば「マッキーにも二つ名があるぜ」と、ジェニファーさんが言い出した。
アタシは知らなかったので、どんな名前なのか聞いてみると。
女の子がネズミ駆除ばかりしているので、ネズミ駆女子とかネズミキラー、ネズミハンターとか、ネズミに係わる二つ名が広がりつつあるらしい。
アタシはギョッとしてしまっていたが。
後を引き継ぐように、キャサリンさんが。
「マッキーちゃんが白マントで、ちょこまか動くから、白ネズミとか、ネズミ捕ってるのだから白猫だろ、とかって酒場で聞くよ」だと。
ケニーさんは。
「姉御は姉御で良いんじゃないか?」とずれたことをいっている。
このまま放置していると、ネズミ関連の二つ名が定着しかねないぞと、アランさんに半ば脅されるように言われた為、真剣に考えることにした。
ちなみに、アランさんは青系の防具を着てスピード重視の戦いをしていたので二つ名として青い閃光と付けられたから、パーティ名にもしたと言うことだ。
それなりに格好よくて羨ましくも思ったが、もし自分から名乗るには、ちょっとアレっぽいから恥ずかしい。
その前に、恥ずかしくない二つ名ってあるのかしら?、二つ名っぽいパーティ名を考えている時点でアウトのような気がするが恥ずかしさに負けてはいけないと必死に考える。
今後の人生を左右するくらい重大な名前だもの。
そのまま夕飯も一緒になって食べたが脳裏にちらつく中二病の文字のせいで決まらない。
クラン名は色々候補が有るらしく、決めきれないからアタシのパーティ名で決める事にしたんだって。
責任重大じゃないか。
いっそのこと、蜘蛛女とでもしておこうか、でも誰も意味がわからないよね。身バレも甚だしい。
本気でどうするか、悩む、悩む、浮かぶのは『白い閃光』どこの真似だ『スーパーノバ』『ホワイトインパルス』どう考えても意味を話すのが恥ずかしい。って言うか、思考がおかしくなっている。
ここは一旦落ち着こう。
落ち着く為に、近くにある飲み物を口に含んだら甘くて美味しい。そのままグイっと飲み干してしまった。
キャサリンさんの、「それ私の」って声が聞こえたが、以降の記憶がない。
だって気が付いたら、自分の部屋のベッドにいたんだもん。
初めて口にした酒は美味しかったけど新生の身体はアルコールに弱いらしい。
コップ一杯で記憶を無くすなんて、アルコールは絶対禁止だよ。
二日酔いもなく朝、いつもの体操をし終えたタイミングで宿屋の親父が現れた。
朝御飯が準備できたのかと食堂に向かったら。
「白い風の嬢ちゃん、今日は祝いだからちと豪華だぞ」
と、意味の解らないことを言われたので、なんの事だと聞くと。
「覚えていないのか」と前置きして果実酒を飲んでしまった後の事を話してくれた。
どうやら、酔った後に『中二は恥ずかしいとか、中二は嫌だ』と言っていたらしい。
中二の意味はよく解らないが、それなら中二では無いとか言ってパーティ名を『白い風』と決めていたとの事だった。
酔っぱらいが決めたわりには、意外とまともだ。
宿屋の親父に『中二』ってなんだ?と聞かれたが、よく解らないと惚けておいた。
豪華な朝御飯を食べながら、今日は忙しくなりそうだと何となく感じた。




