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風魔術(法)の応用

待っていてくれた四人に、支店長との会話の内容を抜粋して話しながら宿に向かった。


「それで、あんまりしつこいから 父親の名前を語尾につけて話したのよ」



「なるほど、だから タローです なんだ」とアランさんが言い。

みんなが笑っている間に宿についた。


宿で夕飯を囲んで食べているときに、ギルド本部と支店との間の連絡方法を聞いた。


ここでまさかの転移魔術が出てきた。


転移出来るのは本くらいのサイズの無生物だけで、決まった場所にしか送れないらしい。


緊急時は別として定期的に十五日に一度、まとめてこちらの情報を送り、本部からの情報も得るらしい。


ギルドカードとか、転移の魔道具とか、この世界は凄いものがあるんだなぁと驚いていたら。


驚いているアタシを見てアランさんが更に驚かせようと。

「蓋をすれば中の物が腐ったりしない箱の魔道具もあるらしいぞ」


それってあの金属箱の事かな。


「箱の魔道具があれば、新鮮野菜や肉が持ち歩けるのにね」

肉好きなジェニファーさんが続ける。


「そこは、聖水とか薬とか入れましょうよ。いざ使おうとしたら傷んでいましたってならないようにね」

慎重派のキャサリンさんが更に重ねる。


ケニーさんは、のんびり顔を酒で赤くしながらニコニコしている。


「金貨百枚とか、あり得ない超高級品だから欲しいとも思わないけどな」


もしかして金属箱も秘密にしなければならないのかなぁ?


って言うか、天井裏の柱にくくりつけているだけってまずいかしら。


御飯を食べ終えたら確認しに行かなきゃ。


そんな雑談をしつつ、明日からの予定を話し合う。


アタシは指名依頼のネズミ駆除が八件あるので、午前中は星半分の薬草採集をして午後からネズミ駆除を二件ずつするよ。


と伝えた。


アランさん達は武器防具をメンテナンスに出すらしく。二、三日はのんびりするそうだ。


もう少し飲んでいくアランさん逹と別れ、久し振りの部屋に戻ると。さっそく天井裏に入り込み、アタシの背負い袋が有るのを確認した。


中身の点検を兼ねて、入っている物を取り出す。


無くなっているものはないようだ。


先程の話しを思い出して金属箱を鑑定する。


魔道具の知識があるので効果が少し解った。


--------------------

・真空の金属箱

・物を入れる事が出来る。

生き物を入れてはいけない。

・能力 鍵を掛けることにより、箱の内部の空気が抜け真空状態となる。

---------------------


なるほど、そう言うことか。風魔術の応用で、空気を抜いているんだね。


真空パック状態なら中身が劣化しづらいはずだ。


そんな所では特殊な微生物くらいしか生きられないだろうしね。


中身を全て戻して、鍵を掛けることにした。空気が抜ける音がしたから、正常に動作したに違いない。


再びアタシの背負い袋にしまい直してから、天井裏の柱に縛り付けて、眠ることにした。





翌朝、宿屋の裏庭でラジオ体操もどきをしていたら親父が朝飯が出来たと呼ぶ日常が始まった。



ギルドで予定通り、薬草採集の依頼を受け、午後からネズミ駆除に走る。時間があれば、図書室で本を読んだりする日々を二十日程過ごした。


そんな日々での特記事項は、


オークの肉、あれだけ肉食動物が群がるのだから、少なくとも食べられない事はないと思っていたが。


ゴブリンとは違い、豚肉そのままの味で思いの外、美味しかった。


アランさん逹をけしかけて、また食べたいくらいだ。



風魔法による空中移動も、自由自在に移動は出来ないが、かなり安定した移動が出来るようになった。


今なら初めに勢いを付けなくても大きな川を余裕で飛び越えられるくらいだ。


ハンググライダーでも作れば、更に安定した飛行が出来そうだけど、風圧に負けない丈夫な布が無いと無理だよね。


アランさん達はメンテナンスを終えた武器防具で日帰りの狩りをしている。


ジョンさんの大剣はケニーさんが使っている。長剣よりも重量級の武器なので振り回すのは大変らしいが、これならオークにも有効なダメージをあたえることが出来ると張り切っている。



アランさんの武器は長剣のままであるが、切っ先の片側を出来るだけ薄く研いで貰ったそうだ。


オークに対しては、斬る事に特化した攻撃をしたいらしい。

全体を薄く研がないのは、刃先がこぼれやすいからだそうだ。その度に研ぎなおしていたらあっという間に短くなってしまうらしい。



キャサリンさんやジェニファーさんは変更なし。


何せ、この辺りでは最高級の杖だし。実際、強化個体のオークではない普通のオークなら、一撃で瀕死状態にする威力はあるそうだ。そのぶん連発できないから隙を減らすためにタイミングをずらして撃ち込む練習をしているとのこと。



みんな色々考えているんだね。



今日もしっかりネズミ駆除を終わらせたので夕方にギルドに戻ると、普段とは違い喧騒に包まれていた。


何事かと思って冒険者逹が見る掲示板を読むと。



ランク星二以上の冒険者はオーク討伐に参加するべしこの依頼は半強制。

不参加の場合は怪我、病気、依頼任務中で明日の昼まで戻らない日程提出済みの者は除いて銀貨三十枚の罰金。ただし評価基準外の強化個体が居ると予想されるためギルド評価に影響なし。

出立は明後日の日の出。集合場所は大広場。

食料や回復薬などの消耗品はギルドから都度支給。参加報酬金貨一枚、追加報酬一頭に付き通常の倍の銀貨二十枚。

守護兵騎士三十名同行予定。旅程は十日間を予定している。


ギルドは、ゴブリンではなくオークを討伐することに決めたのか。



この二十日間でオーク増殖を調べていたのだろうな。


星二以上と言うことだと、アタシはどんなに背伸びをしたって参加は出来ない。


完了報告をして報酬をもらい宿に戻ったら、真剣な顔をしたアランさん逹が何か話し合っていた。

邪魔したらいけないと考えて頭を軽く下げながら通り抜けようとしたら、アランさんに呼び止められた。


久し振りだけど、きっといつものパターンだよね。





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