秘密がバレちゃった
そう言えば、アランさん達が出発してから十日経つけど、まだ帰ってこないなぁ。
冒険なんだから予定通りに行動出来ないのは当然なんだけど。心配だなぁ。
支店長と話をしてから、午前中は砦の外に出て傷薬や体力回復薬の効果のある薬草採集をして午後からネズミ駆除の依頼を受ける日々を続けている。
ネズミ駆除の指名依頼の消化速度は落ちるけど、支店長も承認してくれたので問題なしなのです。
最近、強い個体のゴブリンが増え始めたせいで、傷薬の需要が高まり薬草採集の依頼が急増しているのも一因らしいが、鑑定スキルを駆使して採集を続けている。
砦の近くは同じ様な依頼を受けている人が多いので、アタシは馴れた川沿いの森の中で採集している。
必要数は確保できたので、そろそろ砦に戻ろうと思っていた時に、ゴブリンの集団の振動と覚えのある振動を感知した。
まさかと思い、反応のある方向に向かうと、森と草原の境でゴブリン十頭とアランさん達が対峙していた。
アランさん達は七人パーテイだったはずなのに、四人しか居ない。
何故だろうと考えている時間は無い。そのままアランさん達の加勢に駆け込む。
走りながらホウキに気を流し、アランさん達とゴブリンの間にたどり着いた時に、思いきりホウキを水平に振る。
それだけで、至近に居たゴブリン二頭は胴を切断され、少し離れていたその他ゴブリン達は吹き飛んでいた。
吹き飛んで転がっていたゴブリン達は始め呆然としていたが、すぐに立ち上がり振り向くことなく、草原の奥に逃げていった。
見づらくなるほど離れた事を確認したところで、アランさん達に駆け寄る。
四人とも、その場にうずくまっていた。
ここでアタシが慌ててはいけないと、心を落ち着かせて、全員の怪我の具合をみる。
魔術師の二人、キャサリンさんとジェニファーさんは疲労しているだけで、大きな怪我はない。剣士の二人、アランさんとケニーさんは全身打撲で腫れ上がりアランさんに至っては足に刺し傷まである。
途中で治療も出来なかったのか、傷口はむき出しで血が流れ出ている。
このまま放置してはまずいと思い、まだ他人に使ったことはなかったが、水筒を取り出し、傷口をすすぎ洗い回復包帯を巻いた。
巻き終えた瞬間、包帯が光り輝き包帯は消えた。傷口を見ると出血は止まっていた。更に包帯を巻くと傷口がふさがった。
これでひと安心と、顔を上げたら、治療をされたアランさんも含めて四人とも愕然としていた。
しまったと思ったが、もう遅い。慌てて言い訳しようとしたが、絶対秘密にしようとしていたので、何も言い訳が浮かばずアワアワとしか言えない。
一方アランさん達は、愕然としたままで、身動きひとつしない。
草原の風が優しく吹いた時に、いち早く我に返ったアランさんが取りなしてくれた。
「また助けてくれてありがとう。色々話したいことがあるけど、今はギルドに報告する事が最優先だから、砦に向かおう。
マッキーさんの態度を見ると、その包帯の事は秘密なんだね。了解した。
助けてくれた恩人の為だ、包帯の事は誰にも話さない事を約束する。皆も良いか?」
キャサリンさんもジェニファーさんも、ケニーさんも、一斉に頷く。
アランさん本人も気になっていると思うのに、我を殺して取りなすなんて凄い男だ。
先日、偉そうに活を入れていた自分が恥ずかしい。
アランさん達は歩きだしたが、ジェニファーさんとケニーさんは足を引きずるように歩いている。
アランさんに声を掛けて二人の足首に包帯を巻く。
包帯が消えたので、二人に足の調子を確めてもらう、屈伸したりジャンプしたりして確認してもらったが問題無いようだ。
みんなで再び歩き出した。その間も警戒は怠らない。アランさんが歩きながら話してくれたが、オークが大軍になっていてゴブリンを追い払っていて、ゴブリンは生息域を追われ集団化している。
仲間の三人は、オークの大軍の規模を確認しようと十分な距離に潜んでいた場所に、オークに追われたゴブリン達がなだれ込んで来たせいで一度は怪我を負いながらも逃げることに成功したが、怪我のせいもあり、迅速に撤退など出来ない。治療をしようと立ち止まっているところを再びゴブリンに襲われ戦闘になってしまった。
ゴブリン達もオークから逃げる事で必至であるので、襲い掛かってきたのは集団の一部であったが数の暴力にはやはり勝てずに、足に怪我をしていた三人はその時に殺られてしまった。
残った四人で撤退戦を続けていたが、先程の集団の前の集団の中に、ナイフを持っていたゴブリンに投げつけられ、連戦で疲れきっていた身体では避けられずに刺さってしまった。
その集団は、痛みを堪えながらも一度追い払うことが出来たが、再び数を揃えて襲ってきた。
絶体絶命の状況なので、三人で囮になるため、足に怪我をおっていないキャサリンを逃がすタイミングを計っていた時に、マッキーさんが来てくれたと言うことらしい。
その後も、三、四頭のゴブリンが現れたが、アタシが迅速に処理して夕闇の中、砦にたどり着く事が出来た。
門兵さんに状況を伝え門を開けてもらい。冒険者ギルドに直行した。
受付さんに支店長を呼んでもらい。待っている間にギルドに常備している傷薬で治療をしていた。
支店長は直ぐに現れて、アランさんに耳打ちすると、アタシに待機を指示して四人を奥の間に連れて行った。




