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旅立ちの時

翌朝、日課を済ませてから武器作りを始めた。


日常の狩り程度なら、今までの武器で問題ないが、戦う選択をせざる得ない場合、とれる手段が少ないのが厳しいと、感じたからだ。



真紀は、自分の腕力が弱いと思っていて、今のホウキを振り回した所で、ゴブリン等に、ダメージを与えることなど出来ないと考えていた。



まず、長さ一.五メートル程の丁度よい握りの竹に包帯を巻く、滑り止め&強度アップである。


硬い糸を二十センチ程、飛び出るように、ベタベタ糸で縛るように張り付け包帯を巻き、更に硬い糸を配置して包帯を巻く。


途中で角度を変えて張り付けたりしたので、密度の薄い先の広がったホウキになった。


今までは、棒の横に束をくくりつけた形状であったが、棒の回りに配置したことにより、見た目は完全にホウキになった。


穂の根本には、格子状に硬い糸を配置して、ボウキを振り回した時にでも糸が刺さるようになった。


ファンタジー的には、トゲ付きのコンボウのような感じである。


突けば刺さり、払った時に切っ先が掠めれば、皮膚を裂き、穂の根本なら肉を穿く。



ほぼ竹の重量しかないので軽いため叩き付ける事には向いていないが、刺すことにだけ特化した武器となった。



リーチも若干長くなったのは良いが、携帯性は悪くなった。


基本は杖代わりに持つしかない。


今まで使っていたホウキは、柄を短くしたのでハタキのようだ。


ハタキは予備武器として、背中の腰側に横向きに装備することにした。




新しい武器の試験をすることにした。


対象は立ち枯れしている木。


軽く突いても払っても、簡単に穴が開いた。


穂先を掠めるように払えば期待通り、爪で引っ掻いたような後がついた。


結果は上々である。


次に同じことを岩にしたが、こちらは残念ながら穴を開けることは出来なかったが、引っ掻き傷は付けられた。


石をぶつけても、微動だにしなかったオークには効果が薄そうである。



その後も考えたが、無理は禁物、オークとの戦闘は避ける方向で対応するしかないと結論付けた。




新しい武器を使いこなす為、日々狩りを続け手に馴染む頃、再び予行練習をした。


蜘蛛の本能で知っていたが、寝るときは周囲に糸を張ることにより、何かが触れると眼が覚めることを確認した。



振動感知によって周辺には危険な生き物はいない事を確認して、眠りについていたので驚いて飛び起きてしまったのだが、糸に触れたのは、バッタ君。



相変わらず迷惑な……いや、糸警報装置の確認が出来たのだから良い奴である。



そんなこんな、毎晩のようにバッタ君に起こされつつ予行練習を十日間続けた。



明日、ここを発つことを決めて、最終日は洞窟の繭玉で眠ることにした。


久しぶりの繭玉は、気持ち良く、ぐっすり眠ることが出来た。



この洞窟とは、今日でお別れと思うと、感慨深く感じた。



ハリボテと繭玉は、そのままなので、立つ鳥後を濁しっぱなしであるが、気にせずに出発した。



何故ならば、自分が生活していた痕跡を残すため。


それはひとえに、自分の存在していた事実を残すため。


いずれ風化してしまうと考えられるが、もしかしたら誰かの目に入るかもしれない。


目に入っても、不気味な物を見たとかホラーな話しにしかならないかもしれないが、それでも人の記憶に残るかもしれない。


そんな事を考えながら、小川沿いに下り続ける。



この世界に来て、約三ヶ月。


真紀の冒険は今、始まった。





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