予行練習 その2?
昼食後しばらく休んで、森に入ってみた。
小川から離れた所で、腹這いになり広範囲を探索してみると。
個別識別範囲外なので、良く判らないが、大型の生物があちこちに居ることが分かった。
岩山の周辺では、ほとんど居ないのに不思議である。
その中から大きな振動を一つを選んで、調査することにした。
ある程度まで近づいてみてから、詳細に振動感知してみると。
どうやら、オークとゴブリンで戦いをしているようだ。
二頭のオークと最低十頭のゴブリンが暴れている。
これは危ないと思い、調査を断念して離れようとした時に気が付いた。
近くに、背の高い木があり、登れば様子がうかがえそうだ。
音をたてないように慎重に木を登った。
どうやら、ゴブリンの巣にオークが突撃したみたいだ。
ゴブリンは、叫んだり、石を投げたり、コンボウを振り回したり、追い払おうとやっきになっている。
対するオークは、石が当たった所で、まったく動じずに近寄っていく。
ゴブリンは、すでに三頭倒れている。
大人のゴブリンは十頭居て、幼体三頭を守っているようだ。
そうこうする内に、一頭の大人のゴブリンが、幼体三頭を抱えて逃げだし、残り九頭がオークに向かって行った。
だが、オークは向かってくるゴブリンを無視して、幼体を持つゴブリンを追いかけた。
ゴブリンの持つコンボウは、オークの足を打ち付けていたが、ダメージが無いのか、足取りが乱れることなく。
幼体持ちのゴブリンの前に回り込み、コンボウを振るった。
三頭の幼体を抱えて、オーク達は立ち去った。
残されたゴブリン達は、絶命しているゴブリンを食べてから、この場から立ち去っていった。
真紀は、あまりに早い状況の推移に、木の上から動けずにいたが、その間も、頭だけは働かせていた。
ゴブリンにどれほどの力があるか判らないが、オークの丈夫さは、脅威的だ。
アタシの武器では対処できそうもない。
振動を感知したら逃げるしかないかも。
ゴブリンも単独だと、たいしたことはないけど、集団になると化けるのね。
石投げ役と、コンボウ役が居て、囮と考えて幼体を逃がす。
しっかり考えられた連携をしていたし。
ゴブリンの集団も要注意ってことか。
ファンタジーでは序盤のヤられ役だからだなんて考えていたら、あっさり食料にされてしまうってことなんだね。
今夜は、この森で夜営をしてみるつもりでいたが、予想を超えた出来事に、準備不足を感じて洞窟に戻ることにした。
振動感知をしながら慎重に戻る最中も考えることは、敵が集団の時の対処法と、オークの対処法であった。
洞窟にたどり着いて、少し冷静になった時に、オークへの対処に関してはいくつか案ができた。
今まで見たオークの身体つきは、すべて相撲取り体型であった。
あの体型ならば、木登りは出来ないであろう事は簡単に想像できた。
例え木の上に逃げられたとしても、その木を砕く力は間違いなくあるはずだ。
追われたら木に登り、体当たりされる前にネバネバ糸でからめとって、とか、木から木へ跳びうつるとか、とにかく高いところで勝負すればいいよね。
問題はゴブリンだよ。
木に登っても普通に追いかけてきそうだし、二頭、同時に襲いかかってこられたら対応できないよ。
この武器は、突き専用だもんね。
真紀は、木の棒に糸束をくくりつけただけの、ホウキを見つめ、ため息をついた。




