焼き芋
ウサギが食べていたニンジンは、かなり大きかった。
きっと、ウサギが掘る→土が掘り返されて土壌が良くなる→ニンジン発育が良くなる→ウサギ ウマウマ→ウサギ更に掘る。
なんてサイクルで、ニンジン畑にでもなったのかしら?
共存共栄って感じなのかな?
この場所は覚えておこう、今度来た時にウサギが居なかったら、申し訳ないけどニンジン貰っちゃおう。
またしばらく歩くと、イノシンを発見。
これまた、穴を掘っている。
目的の物を見つけたのか、何かを引きずり出した。
「芋?」
よく見ると、サツマイモのようだ。
三個ほど食べたイノシンは満足したのか、森に消えていった。
焼き芋をたべたいな、まだ残っているといいな。
イモ、イモと、念じながら、イノシンが掘っていた辺りを更に掘ると、二個見つけることができたので、腰の網に入れた。
やったぁ、今夜は焼き芋だ。
岩山に戻り、再び縁に沿って歩きはじめた。
手をついて振動感知を行うと、識別出来ない距離から多数の生き物が、この場所が集合場所だとでも言うように、あちこちから来ていることがわかった。
これは不味いよね。
周囲を見渡したが、隠れられそうな物は何もない。
何か判らない多数の相手では、茂みに隠れるのは得策では無さそうだ。
真紀は岩山に昇ることにした。
十メートルくらい昇った所で、森から多数のウサギやらネズミやら小動物が飛び出した。
その後、小動物を追うように、ゆっくり身を表したのは、オオカミであった。
逃げる小動物の行き先を塞ぐように表れたのもオオカミ。
前後を挟まれた小動物達は横の森に逃げ込もうとしたが、当然のようにオオカミが表れた。
どうやら、オオカミ達は包囲せん滅作戦中のようである。
この群れのリーダーらしき、ひときわ大きいオオカミが一声鳴くと、ジリジリと包囲網を縮めていたオオカミ達が、一斉に飛びかかった。
一頭につき、一匹ずつ獲物を得たオオカミ達は、その場で食事を始めた。
リーダーは、口に一匹と前足に一匹の二匹を捕らえている。
その頃真紀は、三十メートル程の高さから、オオカミ達の食事風景を眺めていた。
数えるとオオカミは16頭いた、全員が食べ終えると、リーダーは前足で捕らえていた生きているウサギの首根っこをくわえて、森の中に消えていった。
どうやら、子供に与えるようだ。
他のオオカミ達も後に続いて消えていった。
せっかく高い場所に来たのだから、周囲を探る。
どうやらあと少しで、裏側が終わるみたいだ。
岩山を下り、手をついて振動感知を行い、慎重に進む。
先程は、運良く事前に見つけられたので、逃げる時間を得ることができたが、気がつくのが小動物が飛び込んで来てからだったら、逃げきれなかったかもしれない。
気を引き締め直して、探検を続ける。
でも、頭に浮かぶのは、焼き芋のこと。
ホクホクかなぁ?甘いかなぁ?
真紀は、そんな女子であった。




