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対決 世界の王

ヨミさんはなんで世界の王に喧嘩を売ったのだろうか。


五千万年前に来たのなら、この世界に進化した生き物が居たとは思えない。

今の人間種はまだサルだった筈だ、コミュニケーションを取る相手も居なかったであろう。

それはなんという孤独なのだろうか。

そして進化して行く様をを見守っていたに違いあるまい。


もしかしたらこの世界の言語形態が日本語なのはヨミさんが教えたから?

文字が英語なのはひらがなカタカナ漢字が難しい表記だったから?

一万年前なんて、元の世界でも文明の痕跡があるかないかくらいのレベルである。

複雑な文字なんて教えても覚えて貰えなかった可能性がある。

だからアルファベットニ十六文字を教えたのかも。

そして戦い敗れて、この世界の人間が一番知能を発達させる重要な一万年の間は封印されていたと。

だからこの世界は奇妙な事が多いのであろう。


一万年あれば遺失するだろうし、文字は自然発生的に獲得したのではなく、教えられたものなら教えられたもの以上に発達する事はありえない。

特に元の文字が日本語であるなら成り立ちを理解していないなければ発展は不可能だ。


色々すっきりした所だが、なんで魔術の文字が漢字なのか分からない。


その辺りは聞けていないのでヨミさんにでも聞こう。

もう世界の王と会話するのも嫌になったからだ。


後の疑問は時間軸のずれである。

五千万年前に来たはずのヨミさんはどう考えてもアタシと殆ど同じ時代から来ている。

話しのネタが理解できるのがその証拠だ。

それこそ五千万年前の人間ではありえない。

世界の王は未来の元の世界と繋ぐ事も出来るようである。

それともランダムなのかもしれないが。

魔元素は時間を越えることが出来る物質なのかもしれない。


かもしれないと考えていたが、記憶の中に漂う正世界の王の言葉を思い出した。


世界の王はアタシの事をコピーと言った。

と言うことは元の世界にはアタシが存在することになる。

したがって三千万年後に元の世界の例え同じ時間軸に戻れたとしても、アタシには帰る場所が無いと言うことになる。


この世界に骨を埋めることになると覚悟は出来ていた。元の世界に未練はないとも。

だがもしかしたらと言う小さな希望があったみたいだ。

そんな希望を残していたなんて思ってもみなかった。

でもその希望も無くなった。


ヨミさんは同じ結論に達したのかしら。


だとしたら協力しよう。


元の世界の被害者をこれ以上出さない為にも、三千万年も待っては居られない。


世界の王の長話を聞いた直後は頭が飽和していたようだ。

落ち着いて話しを纏めていたら世界の王の自分勝手ぶりが目立つ。

それだけの実力が

アタシは新たな思いの元、世界の王の目を見据えた。

雰囲気を感じたのか世界の王も見詰め返してくる。


先に声を発したのは世界の王だ。

「小娘よ。儂を襲うつもりか?」

アタシはこの段になっても戦う事を選択できない。

世界の王は絶対的強者だ。

いくら覚醒したからといっても世界の王の領域まで届くとは思えない。

だから

「世界の王よアタシことマッキーは願いがある」


そう言えば自己紹介をしていなかったなあと思い言葉を切ってしまった。

後で思えば一息に言ってしまえば良かったと後悔することになる。


「ほぉ、小娘が願いとは、良いだろう言ってみるが良いと言いたいところだが、願いには代償が必要だ。すでにお前には魔元素の塊の持ち出しを見逃す事と、物作りの能力を与えた。これ以上欲すると言うなら儂から出す試練を乗り越えてみろ。そうすれば願い事を聞いてやる。」

やっぱりそう来たか。

試練とは何だろう。

『儂を倒せ』とか言われなければいいな。

って、黒い石は魔元素の塊だったのね、それとやっぱり突然目覚めた能力は世界の王の力だったのね。それならばそう言ってくれれば嫌がらせの石像では無く感謝の意を込めて作ったのに。


「選択肢は二つ

ひとつは、儂と戦って倒せ。

ひとつは、儂の力に耐えて見せろ。

なに、戦かいを選んだとて殺さない程度には手加減くらいしてやる。儂を倒せなくて当然だ、力をつけてからまた挑戦するが良い。

力に耐える事を選択しても良いが、耐えられなかったら心が死ぬかもしれないぞ。

儂からすれば戦う事を選択して欲しいぞ。そうすれば暫くは良い暇潰しになるからな。」


やっぱり戦いが選択肢にある。しかも暇潰しだなんて。すぐに願いを聞く気はないらしい。アタシは今すぐにでも願いを聞いて欲しいのに。

戦いなんて三千万年掛けても勝てないだろう。ヨミさんだって五千万年掛けても勝てなかったのだから。

アタシは耐えることを選択した。


「小娘よ、死ぬかもしれないが良いのか?」


戦っても勝てないから、もう一つを選ぶなんて短絡思考かもしれないが、アタシは耐えきって見せる。だから。

「いざ勝負!」

アタシは気合いを込めてそう言った。



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