#14 英雄の歌、あるいはラグティス橋市外法行使誘発事案
「あれがラグティス橋です」
ティンドレットを朝に出立し、東に歩いて半日。太陽が真上に上っていた。
先を歩く神殿騎士ユーレンスが指すほうをリルたちが見ると、石造りの大橋が、川の上にかかっていた。
両端には徴税所があり、その周囲には厩舎や、修繕屋、安宿、飯屋、荷揚げ場が押し合うようにして並んでいる。そして、こちら側の橋詰には小祠があった。
「大きくてごちゃごちゃしてますね。橋って橋だけじゃないんですか」
ワヌレイがぽかんとした表情になっていた。
「渡橋税の納め、荷の検め、馬の替え、車輪の修繕。待ち時間の食事、祈る場所。そしてそれらを行う者に商いをする者。それが集まると、市ができるのです」
ユーレンスが解説を入れる。
「ほへえ。橋に市ができてるっていうより橋のために市ができてるんですね」
「うむ、人と物が止まり、集まる場所には市ができ、そこには税と祈りと揉め事がついてくる」
「おお。若様、ちょっと賢そうなこと言いましたね」
「ちょっとか」
「かなり賢そうです!」
「言い直してほしかったわけじゃない」
「たいへん結構。人の営みが手頃な大きさに煮詰まっているというわけです。さらには少々の怨みも焦げ付いている」
「小祠のことを言っているのですか? 怨霊を祀っているという俗信もありますが、川渡の女神に捧げられたものです」
「おお、信仰の解釈の幅というものでございますね」
「大雑把すぎます」
ユーレンスが辟易し、道化は、いつものように涼しい顔で笑っている。
テオもそうだが、真面目な者はああやって道化のからかいの標的にされがちで、苦労するだろうな、と他人事のようにリルは思った。
「旧巡礼宿は、あそこを渡った先にあるのだな」
「ええ。いまは倉として使われていますが、井戸があり、川港へも近い。小規模の兵を置くには悪くありません」
リルと護衛の数名の兵がこうしてラグティス橋まで足を運んでいるのは、新拠点の視察のためだった。今後、名声の増加に伴って兵が増えるとなれば、いつまでもティンドレットに居候しつづけるわけにもいかない。リルの軍隊を駐留させられる場所が必要だった。ユーレンスは、その案内役だ。
「名目上は神殿のものですが、実際には、長く管理が曖昧になっています。王家の徴税所も近く、商人組合も出入りしています」
「話を付ける必要があるということだな」
「竜殺しの名を得た方が所有するとなると、周囲にも王家にも意味あるものとして見られるでしょうね」
「ああ」
市に入ると、吟遊詩人が、リルを題材にした歌を歌っていた。本人がすぐ近くにいることには、気づいていないらしかった。
赤き翼が空を裂き
黒き煙が谷を呑む
されど若君、なお進む
銀の剣も折れぬまま
ああ、グレスの若君よ
巨きな腕で火を払い
竜の胸より朝を取り
北の村々、息をする
リルはうんざりし、マルは生き生きとからかった。
「これはこれは。若様、たいへんな人気でございますね。竜の胸から朝を取り戻したとか」
「そんなことはしていない。訂正させられないのか……」
「おやめください。民衆から夢を取り上げる王など、たいへん嫌われます」
マルにからかわれずとも、わかっている。
先日の宴で痛いほどに。
それはそれとして、こういうことがずっと続くのかと考えると、憂鬱な気分にはなる。王を目指しだしてから、ずっと憂鬱ではある。
頭をかかえるリルをよそに、ワヌレイはというと、少しだけユーレンスを見ていた。
神殿騎士の鎧は、華美でこそないがよく磨かれている。乱れない肩にかかる灰白の外套に、まっすぐな背筋、よく通る声。人混みの中にいても埋もれない清冽さがある。
自分よりも、リルの隣にいて、絵になるな、と思った。
「……どうかしましたか」
視線に気づいたユーレンスが振り返る。
「い、いえ。ちゃんとした騎士の人だなあと思って。ワヌレイは、こう、鎧に着られている感じなので……」
「そんなことは……」
ワヌレイを見下ろすユーレンスの言葉が止まった。
「やっぱり! うわあん!」
不自然な止まり方に意味を見出して、ワヌレイはがっくりとうなだれる。
「ええと。ですが、護衛としてリル殿をお守りできているのでしょう。では、それで十分ではありませんか」
「あ、ありがとうございます……」
認めてもらえた嬉しさと、やっぱり立派な騎士からは程遠く見えているのだろうなという気後れが複雑に混ざって、視線が下がる。その先に、神殿騎士の腰に下がる白い札があった。
「……ところで、ユーレンス殿。それ、何ですか」
「記録札です。通常の約定術なら、何にどんな約束を結ばせたかが薄く残る。札はそれを記録します」
「外法もわかるんですか?」
「外法は、むしろ記録できないことが多いですね」
「わからないんですか」
「はい。ただ、わからなかった箇所が白く抜ける。つまり、記録できなかったことだけは残ります」
「すごいような、すごくないような……」
「実務とは、だいたいそういうものです」
「書けなかったことを書く札でございますか。神殿らしい、たいへん誠実な敗北で」
「あなたは黙っていてください」
「はい」
さらに歩くと、川魚を焼く匂いが、人混みの中を流れてきた。
香りを辿れば、鉄串に刺した川魚を焼く屋台があった。炭火の上で脂が落ち、塩と香草の匂いを漂わせている。
それに最初に反応したのはトルカだった。彼もワヌレイ同様、リルの護衛として随伴していた。
「この市、飯屋が多いですね」
「人と荷が止まれば腹も減る。自然なことだ」
「橋待ちの商人と巡礼者が多けりゃ、そりゃ食い物も売れるか」
「なるほど。実情を確かめる必要がありそうですね!」
ワヌレイがやけに元気よく言って、トルカが白い目を向けた。
「食いたいだけだろ……」
「民が何を食べているかを知るのは、大事なことだと、ワヌレイは思います。食料事情の、調査です」
ワヌレイは真面目な護衛の顔をしようとしていたが、しようとしていただけだった。
リルも呆れていた。
「ちょっと賢そうなことを言ったな」
「かなり賢いことを言いました!」
「単に食いたいだけと言え」
「それもちょっとあります」
「ちょっと?」
「かなりあります」
リルはため息をついた。
「一本だけだ」
「ありがとうございます!」
ワヌレイが顔を輝かせ、リルが嘆息する背後で、トルカが腕を組んでいた。
「若、護衛の統率としてどうなんですか、それは」
「……俺に言うな。ワヌレイに言え」
「言って止まるものなら、止めてます」
「そうだな」
「若様の士気も上げていきましょう。若様も食べますよね?」
屋台に向かいかけていたワヌレイが振り返る。
「いらん」
「でも民が何を食べているかを知るには……」
「そもそもまだ俺はあいつらの王ではない」
屋台へ向かうワヌレイに、リルは不承不承続くことになった。
ユーレンスはどちらが主君なのかわからないな、と思った。
トルカは、俺やユーレンスや道化には勧めようとしないんだなと気づいたが、黙った。
川魚の串は、思ったより熱く、一口食べて、ワヌレイは目を丸くしていた。
「あつっ。おいしいです。あ、毒ではありません。安心です」
「護衛らしく毒見の仕事をしたということにしようとしているな」
「若様も食べますか」
ワヌレイは串を差し出しかけて、途中で「あ」と気づいたように串を半回転させた。
「いらん……」
「毒はないですよ!」
「毒の有無ではなく、俺が食う理由の話をしている」
「ほら、視察ですから……」
「視察ならなんでも許されると思っているのか」
結局、リルもそれを口にした。
川魚の癖を、強すぎる塩と香草でごまかしているが、悪くはない。
その様子を見て、ワヌレイはなぜか少し満足そうにした。
「若様、こういうものも召し上がるんですね」
「食わせておいて何を言う」
「本当に食べるとは思ってなくて」
「俺を何だと思っている」
「若様は若様ですけど」
「答えになっていない」
ワヌレイはふいに沈黙し、串に残った魚を見つめだした。
「……残り、食うか?」
「いいんですか? じゃなくて……なんか、変だなって。いえ。若様がこういうものを食べてるの、変ではないんですけど、変な感じがします」
「どういうことだ」
「たぶん、ほっとしたんだと思います。若様がこういうのを食べて、熱いとか塩が強いとか、そういう顔をするのが……その、変ですけど、ほっとします」
ワヌレイはうまく答えられず、そわそわとしていた。
どことなく、様子がおかしかった。
自分とワヌレイの間には、何もない──と言えるほど、何もなかったわけではない。
だが、何かがあると言えるほど、何かを選んだわけでもない。
竜を殺し、宴で讃えられ、女を寝所に呼んだ。
その翌日に、こうしてワヌレイと串焼きをともに食べている。
そのことに思い至って、喉の奥の塩気がひどく不快になった。
ワヌレイの手前、顔には出さなかった。
「…………」
竜殺しの英雄とその護衛が串を分け合う光景を、ユーレンスはなんともいえない表情で見守っていた。
「神殿騎士殿。神殿への御報告をお考えで?」
その横に、いつの間にか道化がいた。
「まさか。何でもかんでも報告するほど、神殿も暇ではありません。……ただ、覚えてはおきます」
「いずれ来る、弾劾の材料になさるので?」
「私とて、人を裁くために覚えてばかりではありません」
ユーレンスは少し息を吐いた。
「あの方が、どのような時に少しだけ気を抜くのか。知っておくべきだと思っただけです」
*
西側の橋詰にある小祠の前では、巡礼者が手を合わせ、商人が賽銭を落とし、子供が供物の果実を盗もうとして母親に叱られていた。屋根の梁からは、人の頭ほどの大きさの青銅の香炉が三本の細い鎖で吊られている。巡礼者がくべた香草の煙が、川風に乗って橋へ流れていた。
その横をリルたちが通り過ぎようとした時、マル=シレスが足首の鈴をちりん、と鳴らせて立ち止まった。
道化は漠然と周囲を眺めていなかった。荷車の位置や人の流れ、橋番の不在、屋台の並びを見ていた。
「少々、整いすぎておりますね、偶然にしては、たいへん親切な舞台でございます」
リルの表情が険しくなり、ユーレンスも唇を引き結んだ。
もしこんな場所で仕掛けてくる者がいるとするなら。
「……帳外吏か」
「さて。そこまで申し上げるには、まだ材料が足りません」
その時、橋の西側で馬が暴れた。
一見、ただの事故に見えた。
荷車を引いていた栗毛の馬が、突然前脚を跳ね上げる。車輪が石に噛み、積み荷の木箱が傾く。橋へ向かう人の流れが止まり、後ろから押された巡礼者が悲鳴を上げた。
「トルカ!」
「承知してます!」
トルカが走り、ワヌレイが反射的に近くの子供を引き寄せた。
「下がれ! 荷車から離れろ!」
声が届いても、人がうまく動くとは限らない。
前の者が止まれば、後ろの者は押す。
橋を渡りたい者、荷を守りたい者、何が起きたかわからず振り返る者。人は、それぞれ正しい理由で間違った方向へ動く。
ユーレンスが小祠の石段へ上がった。
「神殿騎士ユーレンスです! 橋上の者は左へ! 荷車の周囲を空けてください! 子供を前に出さない!」
次の瞬間、橋の欄干が軋む低く嫌な音がした。
橋の中ほど、人が押し寄せた位置の欄干に、黒い筋が走っていた。
石材の隙間から、細い鉄片が抜け落ちる。
「仕込まれている!」
ユーレンスが叫ぶ。同時に、小祠の屋根の金具が外れ、吊り香炉が揺れた。
香炉の下にいる、先ほど供物を盗もうとしていた子供に母親がとっさに駆け寄る。
さらにその母親を避けようとして、別の老人がよろめく。
「あ、危ないっ!」
ワヌレイが走り、子供に手を伸ばす。リルはそれを思わず目で追っていた。
「……マル!」
リルが叫ぶより早く、道化は動いていた。
とはいえ、いつものように、白い手袋の指をわずかに上げただけ。
「皆さま、慌てるには少々早うございます」
その声は、騒ぎの中で不自然に澄んだ通りかたをした。
吊り香炉が落ちる。
欄干が砕ける。
倒れた荷車が人を押しつぶす。
老人が橋から押し出される。
──そうなるはずだった。
「今のところ、まだ、何も起きておりません」
落ち、砕けるはずのものが、停止していた。
時間が止まったようにも見えた。
しかし、そうではなかった。
川音は続き、誰かの息も聞こえる。
香炉は吊られたまま、欄干は砕けず、荷車は倒れず、群衆は恐慌を忘れている。
ワヌレイは尻もちをついている。その腕の中にいる子供は泣いていない。泣くところまで、出来事が進んでいない。
「これは……」
リルはぞっとするものを感じた。
単純に重力が妙になったり、見えない手が崩落を食い止めた、というのとは違う。
止まったのは出来事そのものだった。
「約定が、ない」
ユーレンスは、提げていた記録札を検めて、さらに顔色を失う。
今のが約定術であれば、欄干や香炉や群衆に対し、個別に約定を結んだ痕跡が、札に示されるはずだった。それが、ない。
「私めはただ、今しがた起きかけた不始末に、まだ名前をつけないでいただいただけです」
道化はなんでもないことのように言った。
「……外法」
「大変立派な感想でございます」
ユーレンスのつぶやきに、マルは振り返らずに答える。
「全員、そこを離れろ! 橋から下がれ! 香炉の下に近づくな!」
しかし、リルがあっけにとられていた時間は短かった。
ユーレンスが荷車や欄干の周囲から人を離し、ワヌレイが子供を抱えたまま母親ごと小祠の石段から引き離す。
群衆の混乱はあるが、死者はなく、橋も落ちていない。
香炉は揺れながら、まだ吊られている。
そのさなかに、屋台の影にいた男が動いた。一目散に逃げ出すようなことはしない。ただ、自然な歩きで人混みへ紛れようとしていた。
「トルカ!」
「御意」
トルカが男へ飛びかかる。
ユーレンスが横から踏み込み、剣の峰が男の手首を打った。
男が袖の内から滑らせた短剣が石畳に落ちる。
「誰の命令だ」
リルが男に歩み寄り、見下ろす。
彼は荷運びの格好をしていた。
首には汗と埃を避けるための布を巻いている。橋市では珍しくもない格好だった。
目だけが見える。
「申し上げる名はありません」
「なら、おまえは何だ」
「帳外吏でございます」
男の喉が動いた。
「口を押さえてください。自決薬です!」
ユーレンスの声が鋭く飛ぶ。
トルカが反射的に男の顎を押さえた。
歯の間から、黒い粒が唾液に濡れて落ちる。
同時に、首に巻いていた布が外れた。
「……!」
片頬から首筋にかけて、硬い鱗のようなものが皮膚の下に浮いていた。
左目の瞳孔は縦に裂け、耳の縁は、人のものより少し長い。
「魔人……?」
ワヌレイが顔を青くして言う。
「……帳外吏です」
捕らえられた時よりも、毒を噛めなかった時よりも、帳外吏の表情に揺れるものが見てとれた。
呪われ、魔物になりつつある者。帳面の外にいる者。
嫌な線がつながるのを感じ、リルは拳を握った。
「荷車、橋、小祠、群衆、神殿騎士殿。記録札。たいへん親切な配置でございました」
マル=シレスが横から口を挟んだ。
「私めやリル様を殺すつもりなら、もっと狭い場所でよろしい。民や市街への攻撃が目的であれば、もっと雑でよろしい」
道化は帳外吏の落とした短剣を拾い上げ、手の中で弄ぶ。
「ですが、今回はどれでもなかった。殺すのではなく、見せる。傷つけるのではなく、使わせる。私めが外法を使い、神殿騎士殿がそれを見る。そういう筋書きでございましたね」
帳外吏の沈黙は、職務的なものだった。
「民を餌にしたのか」
「条件です。餌と呼ぶには、いささか書類の匂いが強うございます」
「誰の差し金かわかるか」
「短剣の柄に、“最後に手入れされた場所”を思い出させました。王家の徴税所の油と、同じ匂いがいたします」
リルは顔をしかめ、そしてユーレンスへと向く。
「聞いたか。まずオルディアス王家が裁かれるべきだ」
「それと、マル=シレス殿の外法使用は別です」
ユーレンスは顔色を変えずに言った。
「人を救ったんだぞ」
「人を救うためなら何をしてもよい、ということにはなりません。神殿に証言はいたします。人を救ったことも。看過できない術であることも」
リルは歯噛みする。自分の、施療院での行いに対しても跳ね返る言葉だった。
「王家の謀略にみすみす乗る気か?」
「だからこそ、手順が必要です。王家がこのような手で外法を誘発するなら、なおさら」
「実に結構。縄目にも作法がございます」
「冗談で済ませられることではありません」
マルに一礼されて、ユーレンスは初めて不快そうな顔をした。
「ええ、ですから、冗談にしております」
*
その日、ラグティス橋市で死者は出なかった。
マルの外法が解けると、差し戻されていた世界の出来事は改めて起こり直し、香炉は落ち、欄干は砕け、荷車は倒れた。
しかし、外法によって生まれた猶予とリルたちの誘導によって、人々はそこから退くことができ、被害は最小限に食い止められた。
遠くで聞こえる竜殺しの歌は、すでに朝と違う歌詞になっていた。
橋の市にも火は走り
香炉は落ちて、石は割れ
されど道化が鈴鳴らす
「まだ、まだ何も起きておらぬ」
ああ、グレスの若君よ
竜を討ちたる若き星
ああ、犬耳の道化よ
橋を笑って救いし者
マル=シレスは、その歌を聞いて、ほんのわずかに眉をひそめた。
「民衆から夢を取り上げるな」
「……リル様」
「何だ」
「そのような場面でだけ記憶力がよろしいのは、王の器としていかがなものかと」
「たいへん嫌われるらしいからな」
珍しく不本意そうなマルに、リルは少し笑った。
しかし、笑ってばかりもいられなかった。
「人は、恐ろしい出来事をそのまま受け取れない」
ユーレンスは、封じた記録札へ手を添えた。
「だから、理解できないものほど早く歌にし、夢にし、奇跡にするのです。
外法や、禁忌であっても」
歌と記録。
同じ出来事は、もう別々の形で残り始めていた。
・ラグティス橋市視察。ティンドレットより東へ半日。
・同行者、トルカ、ワヌレイ、マル=シレス。
・神殿騎士ユーレンス、案内役として同行。
・旧巡礼宿を確認予定。
・当該施設、名目上は神殿管理。
・現状、倉として使用。管理曖昧。
・井戸あり。川港に近く、橋市および街道への接続良好。
・駐留地として使用可能と思われる。
・ただし、王家徴税所および商人組合の出入りあり。使用には神殿、商人組合、周辺管理者との折衝を要す。
・橋市にて、竜殺しに関する歌を確認。
・内容、事実と異なる箇所多し。
・リル=グレスが「竜の胸より朝を取った」との表現あり。
・訂正せず。
・橋詰小祠付近にて事故誘発工作発生。
・荷車の暴走、橋欄干の損壊、小祠吊り香炉の落下が連動。
・人為的工作の可能性高し。
・神殿騎士ユーレンス、欄干への仕込みを確認。
・トルカ、容疑者一名を制圧。
・ワヌレイ、子供一名を退避。負傷軽微。
・民間人死者なし。
・マル=シレス、外法を使用。
・落下、崩落、群衆恐慌、荷車転倒等の出来事を一時的に未成立化。
・当該猶予により民間人の退避が可能となる。
・外法解除後、吊り香炉落下、欄干損壊、荷車転倒。
・人的被害、最小限。
・物損、橋欄干、小祠香炉、荷車一台、積荷複数。
・神殿騎士ユーレンスの記録札、外法痕跡を確認。
・通常約定の痕跡なし。
・記録不能箇所の白抜けあり。
・ユーレンス、神殿への報告を明言。
・捕縛者一名、荷運びに偽装。
・自決薬を所持。ユーレンスの指示により未遂に終わる。
・本人、所属命令者について供述せず。
・名を問うも回答なし。
・「帳外吏」とのみ名乗る。
・顔貌に魔人徴候あり。片頬から首筋にかけて鱗状変質。左眼瞳孔異常。耳形状異常。
・ワヌレイ、「魔人」と発言。
・捕縛者、「帳外吏」と訂正。
・マル=シレス、短剣の来歴に干渉。
・王家徴税所または王家管理倉に由来する可能性を示唆。
・確証なし。
・ただし、工作目的はマル=シレスに公共空間で外法を使用させ、神殿騎士立会いのもと記録させることと推定。
・民間人を条件として用いた工作である。
・王家関与の疑い濃厚。
・神殿は王家工作の調査と別に、マル=シレスの外法使用を問題視。
・外法審問の可能性高し。
・同日夕刻、竜殺しの歌に橋市の出来事が追加される。
・マル=シレスを「橋を笑って救いし者」とする歌詞を確認。
・マル=シレス、不快を示す。
・訂正せず。
・死者なし。
・ただし、記録は残った。




