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中身はナニワの男子ですけど、婚約破棄されたので北国の氷を全部「金」に変えてやりますわ! 〜絶世の美女、商売魂で極寒の地を制す〜  作者: 星島新吾
アイス・イン・ワンダーランド後編

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ナニワの令嬢はバカンスを楽しむようです。

 遊ぶと決まってからの私の行動は早かった。

 まずスタッフ全員に経緯を伝達して、今日を勝手に有給休暇にしたことを詫びる。


 それでも『働かせろ』っていうメンバーがおったから、彼らには十二時から三時にかけてのホットタイムだけを中心に働くように呼びかけた。


 彼ら曰く、今日働かず今後金で困った時、あの時自分は何をしていたのだろうと一生後悔するから、とのこと。


「まぁ……あとは全部自動で動いてもらえるように、環境は整えたから……後はどのぐらいしっかり動くかのテストやな」


 そんなことを考えながら、私はお店をスタッフたちに任せて海の家を発った。

 浜辺を歩きながら、船がとめてある波止場へ向かう。

 その間に私は自分のお腹をチェックした。


「よし……ちょっと出てる」


 割れた腹筋も昼食で少しマイルドになっていた。

 脚も緊張すれば太ももに陰影が出来てしまうけれども、全身を弛緩させて心をゆる~くしておけば、少しは何とかなるやろう。


「さすがに体脂肪一桁は切ってないと信じたいけど……大丈夫やんな」


 一番怖いのは、フロストに水着姿を見られて「うわっ、ムキムキッ……」なんてちょっと引かれることや。


 そして丁度その沙汰が今から下るところやった。


「───すぅー、ハァー……」


 船着き場に到着後、自分達がレンタルした船の前で、ビーチェアを置いて寝転がる。

 海からの輻射熱に一際強い磯の香りが鼻に突く。

 眠れそうもないので、私はサングラス越しに水着を再確認した。


 今回は流石にマイクロビキニやない。

 黒いパレオスタイルの布面積が比較的穏やかなハイウエストなタイプで出陣した。


「前は誰かのために着て来たけど、今回は遊びやし。やっぱこういうのが落ち着くな」


 ふぃ~、と椅子に寝転び、トロピカルな青いジュースが入ったグラスに口をつける。

 お店で販売予定の試験品や。


「んー……まあまあの味」


 二度目はないな、なんて思いながらグラスをテーブルに置く。

 それからしばらくパラソルの下でゴロゴロしてたら、フロストが欠伸をしながら船着き場に到着した。今日は彼もハーフパンツに赤と緑のアロハシャツとご機嫌な恰好をしている。


「おぉ、来たなぁ~!」


 ビーチチェアから手を振って彼を迎える。

 集合時間より少し前に来る人、私は大好きや。


「サーシャは待ちきれなかったって感じだ」


「当たり前や。もうお昼の三時やで?」


 私はビーチチェアから立ち上がる。

 それからニャー、とウミネコが鳴く港でフロストたちと待つこと三十分。

 他に呼んだスタッフたちも続々と集まってきていた。


「サーシャ、その水着よく似合ってる。安心して見てられるよ」


 最高だ、とフロストはどこか安堵の表情で私の恰好を評価した。


「マイクロビキニの方がおもろかったかな」


「……あれも似合っていたけれど、俺は今の落ち着いてる方が、やっぱり好きだな」


 全力でマイクロビキニを阻止しようとするフロスト。

 あれはあれで周囲の視線がおもろいからやっぱりアリやったな、なんて思いながら、スタッフをみる。

 みんなちゃんと水着で来たようやな。結構結構。


 けど約一名、私がおかしいのかと目を疑う人物がおった。


「ソール君、それ女の子用の水着やないか……?」


 銀髪をツインお団子ヘアにして、ヒラヒラの白いセーラー水着を着用している男の娘をみて、私は感嘆の声を漏らす。


「はい。どうです? 」


 ピラッと水着のスカート部分をたくし上げて、笑顔で自慢してくるソール君。

 わりと限界を攻めに来ている少年に、私は同じチャレンジャーとしての心意気を感じた。


「ありえんほど似合ってるなぁ! うちのスタッフは世界一可愛いぞ~!」


 わ~い、と彼を持ち上げて私はクルクル回す。

 私の華奢な腕でも彼の体はヒョイと持ち上げられるぐらい軽かった。


「わぁ~! アハハハハッ!」


 ソール君は持ち上げられて楽しそうや。

 せやけど、そんな子供に恨めしそうな視線を向ける大人の視線があった。


「なんやフロスト、うちのソール君を持ちあげたいんか?」


「「「いやいやそっちじゃないでしょ」」」


 なぜか周囲から一斉にツッコミが入った。

 フロストは照れたような笑みを浮かべて、私に手を差し出してくる。

 えっ、コレはまさか私が持ちあげられる側なんか。


「えっ……高い高いしたい派なんかアンタ……?」


「許されるなら」


 フロストは謎に照れてるから、私から両手を広げてTポーズをとった。


「へい! ばっちこい!」


 フロストはガチガチに緊張しながら私の脇に手を通す。近くで見たらほんまに丸太みたいな腕やな。


「アンタ腕太いな。片手で持ちあげられるんちゃう?」


 私は冗談めかして、フロストの太い片腕にしがみついた。

 ……が、持ち上げるどころか、フロストは石像のように固まってしまった。


「……サーシャ、その……それだと当たり過ぎていて───少し気まずい」


「はぁ? なに言うてんねん。密着せな持ち上がらんやろ」


「いや、その胸が……」


 フロストの視線が、自分の腕と私の胸の間を泳いでいる。

 あ、なるほど。パレオスタイルの水着で少し油断しとったけど、胸がフロストの腕に当たってしもうてるんか。


「それがどうしたんや」


 フロストの腕は今や、私の胸に挟み込まれて見えない状態になってる。

 けど、まさか北軍総大将がこんな乙女の柔肌如きで負けたりせえへんよな?

 フロストは熱中症にも負けへん最強の男や。まさかまさか、ありえへん。


「持ち方変えないか」


「こんなん気にしたら負けやぞ?」


 持ち上げるならどのみち通らなければならない過程であって、その行為を目的としてないならノーカウントや。せやけど根性ナシは、


「じゃあ負けにしてくれ……」


 といって、私に持たれた腕を残して膝をつきおった。

 フロスト私兵団曰く、初めて彼が膝をついているところを見たとか。

 おっぱいスゲーと思う今日この頃やった。


「アカン、ちょっと刺激が強すぎたか? おーい、ムッツリお兄さん? 船乗りまっせ」


 次々とスタッフたちが波止場の先からギャングウェイに足を乗せて乗船していく。

 フロストはというと、呆然としたまま膝をついてしばらく放心状態が続いとった。


 戦争はオラオラ系やのに、こっちはほんまに耐性ないみたいやな。

 ……せや、ちょっと悪戯してみるか。


「お~い、せっかくのお休みなのにそんなところでヘタリ込んでたら、時間が勿体ないでぇー」


 私は嗜虐的な笑みを浮かべて、わざと彼の腕を胸に挟んで船に乗り込んだ。




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ブックマークして、次のお話も読んで下さい(強欲)!

それではまた、次のお話でお会いしましょう。(´・ω・)ノシ

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