表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
中身はナニワの男子ですけど、婚約破棄されたので北国の氷を全部「金」に変えてやりますわ! 〜絶世の美女、商売魂で極寒の地を制す〜  作者: 星島新吾
Around the World in Ice 編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

106/115

エルフからの手紙───ナニワの令嬢はエルフの秘境に向かうようです。

「お金を貸す借りる、という話自体が結構難しい話や。ましてや利息の話なんか森の奥に住むエルフに理解できるかどうか怪しい。大金を集めさせて預けたら、それが微々たる利息になって帰ってくる───なんて、メリットを理解してないと到底耐えられへん苦痛や」


「集めた大金は返ってこない想定ですもんね」


ヴィーダルの言う通り、お金を貸してその利息を得ると言うことは、しばらくそのお金は貸し続けるということ。納得するかどうか。


「ていうか、私はなんでアンタが理解出来てんのか、逆に不思議なぐらいやけど。なんや、勉強でもしてたん?」


「村長の息子であればこのぐらいは。───もしかすると、内陸のエルフの村長であれば、同じぐらい話が通じるかも知れません。ですが……」


「エルフの村には入られへん、か。門番エルフに掛け合ってみるか?」


「……族長はその村の代表です。仮にお目通り出来たところで、話を納得して、乗ってもらえるかどうか……」


要するにとても面倒な手続きを踏む必要があると言うことか。

うん……面倒くさいかも。


「よし、この話は止めよか。時間の無駄やわ。村長が頭下げてくるみたいな天変地異でも起こらん限り、この話を掘り起こすのは無し。みんな今のままで、幸せなわけやし。ここが引き際やろう」


「ですが、恩を売ることが出来れば銀楼果もあるいは……」


「それこそ絵空事や。書面に書いてないこと、口約束、どれも信用に値せえへん。信用できる人間はいつも誠意で示す。彼らにはそれがない。ない以上、深入りは必要ない」


私はそうして話を無理やり切り上げた。私は少し仮定の話にこだわり過ぎた。

木材調達は、商業ギルド経由で取り寄せよう。ニマーヌ様のご機嫌を取って、わざわざ王家を経由する必要もない。そっちの方が今後のためにもなると思ってたけど、もうええわ。


銀楼果の話も無し。費用対効果が割に合わん。


「さぁー、もう寝よう。どの道エルフには最低限の施しはしてやったんや。これ以上の干渉は相手が望んできたらにしよう」


損切りが重要なことを教えてくれたのは、他でもないあのエルフたちや。

助ける用意と方法があっても、それはあくまで助かりたいと思って、手を伸ばしてきた相手がいる場合に限る。余計なお節介と言われる前に、眠るに限るわ。


そうして二週間後。


私の下に一通の感謝状が届いた。内容は、冷風大鞴により多くのエルフが太陽の呪いを退けることに成功したとかなんとか。


「んで? お礼を言いたいから、エルフの村まで来いって。……コイツまじか」


エルフの族長から、直接話がしたいと手紙に書かれていた。


「……エルフの村、入れるようになったじゃん」


手紙を隣で盗み見していたウルスラが言う。


「いや……お礼言いたいなら、先方が出向くのが普通やないか? なんで私が行かなあかんの?」


菓子折り持ってそっちが出向くのが筋やろ。って思っちゃうよねぇ……。

うん、私の方が商人やから村長さんにお目通り叶うって体裁が大事なんやろうな。

非常によく分かる。分かるからこそ、平手打ちしたくなった。


「いや~。でも、ずっと待ってたじゃん。行ってきなよ、エルフの村。もしかしたら販路拡大のチャンスかもしんないぜー」


そんなことは百も承知や。こんなもん、百利あって一害なし。行くだけ得するボーナスステージや。

……ただし精神的苦痛は考慮しないものとする。


「うわぁ……行きたくないわぁ……。私、追い返された奴らに頭下げなあかんの? 嫌やぁ」


「正念場じゃーん。頑張ってねー」


ウルスラはヒラヒラと手を振って私を邸から追い出そうとしてくる。もはや彼女の方が、私よりこの邸に長く居ついているような気がした。


「うぅ……。こうなったら絶対この商談成功させたる……」


もちろん付き添いにはヴィーダルをつける。本人は二週間の間にある程度、仲が悪いなりに話が出来るぐらいにはなったそうやから、ここじゃ彼が頼みの綱や。


「ヴィーダル」


「なんでしょう姉様」


「私がエルフの長にビンタしそうになったら止めてや」


「承知しました。ですが心配していません。姉様はそのあたりの分別はできる方かと」


「私もそのつもりやけど、もしも向こうに行って煽られるようなことがあったら、あるいは……」


───ゴクリ、とヴィーダルは唾を飲んだ。


私がエルフの族長を殴るというのは、ある意味国際問題に発展する案件。下手をすれば、キャスパリーグ王とフロストまで引っ張ってきて、戦争の発端になる可能性すらある。


「こんなところで、他の人に迷惑かけることもできん。……せやから、行くなら覚悟決めて行かんとな」


あっちもむやみに煽ってくることはないと思うけど。ヴィーダルもまだ冷風大鞴の金を半分しかエルフの村から集められてへん言うてるし。


金も払ってないのに、大柄な態度を取ってくることもないと思うけど。


「感謝の後に値切り交渉とかされたら……キレてまうかもな。───そん時は、冷風大鞴を持ってとっとと帰ろう。そんで二度とエルフとは交渉せえへん。ええか?」


「……そうならないために、私も最善を尽くす所存です」


冷や汗を掻くヴィーダルは、祈るように小さく頷いた。


───翌日。


手紙を受け取ってから、色々とエルフの村に持っていく商品を選んだあと、翌日の早朝に私は出発の馬車に乗り込んだ。


目指すは因縁深いエルフの村。

何度頼み込んでも入れさせてもらえへんかった秘境の奥地や。




高評価・ブックマークが執筆の燃料になります。

ブックマークして、次のお話も読んで下さい(強欲)!

それではまた、次のお話でお会いしましょう。(´・ω・)ノシ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ