ルアボ村①
険しい山脈が連なるルーノベ山脈、どの峰々もまるで刃物でも突き刺したかのような鋭い山頂の山々が連なり白いベールを既に被っていた。
バルジ国に無事入国したランドたちは、バルジ国側に事前に通達していたこともあり、何事もなく無事入国し、直ちにフィスノダ国との国境に向かった。
だが、ルアボ村に向かうには険しい山岳地帯を抜けてから下山する必要があり、雪深い山岳道はかなりの危険が伴った。
「おーい気を付けろ! 油断していると谷へまっ逆さまだぞ!」
先頭を行くランドが後ろに続く兵士達に注意を促している。
それもそのはず、道幅は人と馬がやっと並んで通れるかどうかというほどの道幅しかなく、けっして広くはない道に加え、片方は草木も生えていないむき出しの山肌、もう片方は落ちれば命はないであろう深い谷がずっと下まで続いているのである。
商人を装い普通の格好をしているとはいえ、道は滑りやすく、武器や食料などを運びながらの移動は想像以上に困難を極めていた。
「ねえ、ランド、こんな道、本当に人が通っているの?」
「そうだな、ここを通れば船に乗る代金を支払わずにバルバ国に入国できるからな。ここは雪が降れば危険な道だがメリットは大きいからな。船を使うとかなりの金額が要求されるからな。しかも今、フィスノダ国内では食料難で大変らしいからな、山越えをしてバルバ国で食料を仕入れてこようとするフィスノダ国の人間もかなり利用しているようだ。まあ、ここ以外でも別のルートがあるようだがな」
ランドはマルーシャの足場に視線を移しつつ、マルーシャが追いつくのを待ちながら答えた。
マルーシャも下に視線を向けたままランドに話し続けた。
「私も幼い頃何度かバルデ城には公式の訪問で行った事あったけど、こんな道があったなんて聞いたことなかったわ。よく知っていたわね」
「戦っている相手の国のことを詳しく調べておくのは常識だ。しゃべってばかりいると谷に落ちるぞ」
おしゃべりはそれまでだといわんばかりに、ランドは谷の底を指差しまた無愛想に前を向いて進み始めてしまった。
(何よ!こんな地図にも載っていなさそうなルートを調べるなんて、フィスノダ国の人じゃない限り無理じゃない! まったくランドったら、いつもこんな情報どこで掴んでくるのかしら?)
マルーシャはなんだかまた馬鹿にされた気がして面白くなかったが、道が道だけにマルーシャもそれっきり何も言わず無言でランドの後を進み続けた。一行は暫くしゃべる者もなく進み続け、やがて少し木々が増え道が広く平地が広がる場所に到着した。
「おーいランド、まだルアボ村につかないのか? こんな所で夜を明かすなんてやばいんじゃないのか」
一番後ろにいたルカがランドに追いつき前方に続く細い道を見ながら言った。
「後少しだ、もうすぐルアボ村のはずだ。陸から向かった仲間も既に到着しているだろう。そこで全ての仲間が到着次第、サランに向けて出発するからもうひと頑張りだ」
ランドの言葉で既に疲労困憊の兵士たちも、もうひと頑張りだと重い足を動かし始めた




