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作戦会議②

「では作戦会議をはじめます」

ティ―チの話は、以前から聞いていたバルデ城総攻撃の作戦とは大きくかけ離れたものだった。

その話を聞いたマル―シャがランドにたずねた。


「ねえ、どうして考えが変わったの? フィスノダ国の戦力は後はもうバルデ城のみなんでしょ。当初の予定だと、ラールシア軍の兵をここに集めて一気にバルデ城を総攻撃するって話じゃなかったの?」


「そのつもりだったんだがな、最近のフィスノダ国内の偵察部隊の報告を聞いても、どうやら、総攻撃に備えてかなりの兵がバルデ城周辺に集められている様子なんだ」


「そうなることはわかってて、攻撃を仕掛ける作戦だったでしょ」

マル―シャがたずねると、今度はアルが説明しだした。


「だけどね、マル―シャ、そうなるとかなりの負傷者が出ることになるだろ? 君も知ってるだろうけどバルデ城は知っての通り城の後ろは岸壁で城の前方は深い城の堀に沿うように流れる川がある鉄壁の要塞の城だろ。正面突破を目指しても城の城門をぶち破るのは至難の業だろ。城に侵入するのはかなり困難だ。それなら、山側にあるらしい秘密ルートから攻めた方がいいんじゃないかってなったんだよ」


「確かに…無駄な血が流れない方がいいわよね」


マル―シャは頷きながらいうと、ふとシアフィスの森の出口で遭遇したあの黒に身を包んだ連中の一人が言った言葉を思い出した。


「もしかして、あの時の言葉で気が変わったの?」

「考えなおすきっかけにはなったな」


「どうして、あんなどこの誰かわからない盗賊のような連中の言った言葉に耳を傾けるの? ランド、やっぱり知り合いだったの?」


マル―シャの言葉に顔色一つ変えなかったが、ランドはその言葉に対して何も答えなかった。


「まっまあ、きっかけはなんでもいいじゃないか、要はラールシアが勝利すればいいんだからな。なるべく負傷者がなくさっ、その為に俺この10日行ったり来たりしたんだからよ。おかげで激やせしちまったよ。出発前に体型を戻さないとな」


ルカはそう言いながら手に持っていた肉にかぶりついた。

「それで、情報は掴んだのか?」


食べ始めたルカに向かってランドがたずねた。ルカは口に肉をため込みながらポケットにしまっていた紙きれをランドに向かって投げた。


「それに書いてあるバルデ城の南側のルノーベ山脈沿いのサランの村から地下通路を通って城の地下に入れるルートがあるみたいだぜ、ドンバの港の商人で昔あそこに住んでいてバルデ城に商品を納入していたっていう爺さんに聞いてきたんだから間違いないと思うぜ。お前がいう特徴の爺さんを探すのに苦労したんだぜ、だいたい、どこで知り合うんだ。あんな爺さんによ。まっよろしくて言っていたな」


「ああ、昔の知り合いだ」

ルカの質問にそれだけ答えたランドだったが、ルカがあきれて言い返した。


「昔ってお前まだ19になったばかりじゃなかったか、いくつの時の話をしてんだよ」


そう言ったルカだったがランドからは答えが返ってこなかった。ランドは真剣に地図を睨みつけていた。

ルカは軽くため息をついて追加情報を言った。


「今フィスノダ国はどこも物資不足でラールシアから、商人たちがシマモ湾を船で東に進んでフィスノダ国に入って、山岳地帯を歩いて村々を周ってブツブツ交換しに行っているらしいぜ」

ルカが言うとマル―シャがルカに聞き返した。


「その情報あっているの? 戦争中の他国の人間が行ってフィスノダ国の兵士に捕まったり引き渡されたりしないの? 仮にも戦争中なんだし」


「ああ、ラールシアだったらそんな怪しい人間がいたら兵士に引き渡す輩がいるかもしれねえけど、フィスノダ国の今の現状だと、どこの誰だろうと、食料や物資を家の何かと交換してくれるっていう連中は神様なんじゃねえのか、まあ、ぼったくって法外な値段をいう輩もいるらしいけど、ほとんどの連中は良心的な交渉をしているらしいぜ」


「でも危険を冒して敵国に商売しに行くメリットがあるの? ラールシアででも普通に商売できるでしょ」


マル―シャは理解できないという顔でルカにたずねた。ルカはもう一かぶり肉を口に入れると、サラリと言った。


「ああ、あれだ。山岳地帯の村にはあれが大量に眠っているらしいぜ」

「あれ?」


「え~っと昔の置物とかあそこは織物の産地だからな、昔の物がたくさんあるらしいぜ、いわゆる骨董屋が行くらしいな」

「昔って、もしかして、ラールノダの遺産か何か?」


「あっそうそう、そんな事言ってたな、骨董品として古い物を欲しがる連中が多いみたいだな」

「私も欲しいわ。ねえ、ドンバの港に行けば骨董品屋がたくさんあるの?」

目をキラキラさせながらルカを見たマル―シャにランドがさえぎった。


「今は余計なことは考えるな。行きたいんだったら除隊してからにしろ」


「何よ、行ってみたいって思っただけじゃない。何も今すぐに行きたいなんて言ってないでしょ」

マル―シャはランドに舌をだしてそっぽを向いた。

やれやれと様子のランドにアルが言った。


「それで、総合するとランド、結局ルートはできたのか?」


「ああ、ここから南下して湾岸沿いの林を侵攻して、ルーノベ山脈のふもとのバルジ王国の国境に近い廃村のルアボまで行って、そこから山道をサランの村に向かうことにした。細い山道が続くようだから、食料などを運んできた商人を装っていくことになりそうだから、人選は選んでいくことになりそうだな。あまり集団で向かうと怪しいからな。何人かのグループに別れて時間差で進むことになりそうだ」


「なんだかまた痩せそうだな。これからフィスノダは寒気で雪深いって聞いたぜ、まあその分、ラールシアからの商人は喜ばれるって聞いたけどよ」


ペロリと大きかった肉を食べてしまったルカが言うと、マル―シャがまた聞いた。


「ねえルカ、フィスノダ国ってそんなに食料事情が良くないの?」


「そうだな、税の徴収がひどいらしいな。若い連中は兵士にさせられていて働き手がいない上に、城の周辺は特に雪が深いらしいからな」


「どうしてそんな状況で戦争なんか…他にしなきゃいけないことたくさんあるのに」


「そうだな、フツ王が異常なのかもしれないな。うわさじゃあ人間の皮をかぶった悪魔って噂もあるからな」


「悪魔…でも…たとえ悪魔でも倒さなきゃいけないんだもんね。俄然やる気になってきたわ。正面突破だと、バルデ城下の関係ない人達まで巻き添えになりかねないもんね。密かに侵入してフツ王を倒せば何とかなるんじゃないの?」


「マルーシャのいう通りだ、この戦争を続行させているのはフツ王だという噂だからな。あいつを倒せばこの戦いの終止符が打てるはずだ」


ランドは力強く言うと、そこにいたメンバー全員頷いた。

その後詳細なメンバーの選出や、出発の日の打つ合わせなど、さまざまな打つ合わせをして、気が付けばかなり遅い時間帯になっていた。

マル―シャも大きなあくびを何度も繰り返した。


「もう後は俺達でしておくからお前は部屋に戻って寝ろ。ここで無理をする必要がないからな。ここで留守番しているつもりなら起きていてもいいがな」


ランドの言葉でマル―シャが首を横に振った。

その夜も遅くまで作戦会議は続行していた様子だったがマル―シャは言われたとり素直に甘えて眠りについたのだった。


「ぜったい早く戦いを終わらせなきゃ。なるべく人々が傷つかない方法がいいな。戦いは悲しみしか生まないもの」


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