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作戦会議①

ランドがラミド城から戻ってから10日が過ぎたが何も変化がなかった。

フィスノダ国から砦を奪い返しに襲撃されることもなく平和な日常が続いていた。


マル―シャはというと、何をするでもなく砦の中の広場などで訓練に明け暮れている兵士たちを眺めたり、食堂に顔を出して兵士たちの食事管理がきちんとされているかチェックしたりしていたが暇を持て余していた。


というのも、ここに来てから何も作戦に進展がないからだ。というよりどうなっているのかまったくマル―シャに聞かされていないからだ。


「まったく、どうなっているのよ」


マル―シャはここ数日ランドやアルをずっと探していた。

この要塞の建物の内部はどういうわけか秘密の隠し部屋が多いらしく、マル―シャが一日中探しまわっても中々どこにいるのか見つけることができなかった。


そしてどういうわけかマル―シャが要塞にいるどの兵士にたずねてもランドたちがいる場所は知らないの一転張りだった。


「もう! ルカはずっとどこかに行っていて戻ってきていないようだし、ランドとアルはどういうわけか寝室にも昼夜とわずのぞきに行ってもいないし、ぜ~ったい何か隠しているに決まってるわ。どうして私には何も知らせてくれないのよ。今日という今日は絶対見つけてやるんだから!」


マル―シャはそう言うと、要塞の一階から部屋という部屋の扉を片っ端から開け、みて回り始めた。

「マル―シャス様、そのようなことはどうかおやめくださいませ!」

「そうです。そのようなことをされてもランシェルド殿はいらっしゃいません」


後ろをついてくる護衛の兵士二人はオロオロしながらなんとかマル―シャの行動を止めさせようとするがマル―シャは頑として止めようとはしなかった。


「いない? あら、じゃあどこにいるっていうのよ! あなた知っているなら言いなさい!」

マル―シャは護衛兵士の一人を睨みつけながら言った。


「しっ知りません。我々でも会議の場所は知らさせていません」

「ほっ本当です。この要塞は隠し部屋があちこちにあるようで、今日どの部屋にいるかまでは」


二人の兵士は大きく首をふりながら言った。

マル―シャは二人の兵士の顔をじっと睨みつけたが、嘘は言っていないようだと解釈すると、再びくるりとむきを変えてまた走りだして扉を開けながら移動し始めた。


ちょうど三階の階への階段をのぼって視界に三階の階の廊下が目に入った瞬間だった。

視界に書類を抱えたアルが歩いている姿が目に飛び込んできた。


「みっ見つけたわよ!」


そう言ったかと思うと猛ダッシュで廊下を駆けてアルの背中の服を掴んだ。


「アル! ランドの所に行くんでしょ! 私も連れて行きなさい」


突然背後からアルーシャの声が聞こえたかと思うと、自分の背中の服をわしづかみしながら睨みつけてくるアルーシャにアルは困ったなというような顔をしながら引きつり笑を浮かべて返事を返した。


「マッマル―シャ、久しぶりだね」


「ええそうね、確か九日ぶりかしら。アル~薄情しなさい。私をのけ者にして何をしているの? どうせ今からランドの所に行くんでしょ。私も行くわ!」


「えっと、俺はその…今からこの資料を書庫に戻しに行く所だから、ランドねえ、今日はどこにいたっけなあ…最近作戦会議で忙しそうだからな」


そう言いながら顔を背けようとするアルにマル―シャは睨みつけながらアルに言った。


「あなたとは長い付き合いだから私知っているのよ。あなたが嘘をつく時は眉をピクピク動かすってこと」


ギクリとした表情をしたアルがマル―シャの後ろの護衛兵士二人を睨みつけた。

二人の兵士たちはずっと下を向いたままだった。


「さあ、早く案内しなさい。ずっと私を会議に参加させないで何を話していたのか、ランドに問い詰めてやるんだから」


相変わらず睨み続けるマル―シャにアルはお手上げ状態で困った顔をして言った。


「はあ…マル―シャにはかなわないな。すぐそこの部屋にいるよ」


アルはそう言うと再び廊下を歩き始めた。

マル―シャもアルの背中の服の端を掴んだまま後に続いて歩いた。


アルが言ったようにアルはすぐに立ち止まり、一番近い部屋の扉の前で立ち止まった。

アルが部屋の扉を開け中に入るとマルーシャもその後に続いた。

マル―シャがアルの背中の後ろから顔をのぞかせたがその部屋は何もないがらんとした部屋だった。


「あら何もないじゃないこの部屋」


マル―シャは下の階と同じような作りで何もない部屋を見渡して言うと、アルが入って右側の壁に歩いて行くと慣れた手つきで壁に手をかざすと壁の一部が扉のように内側へ開いた。


「そっそんなしかけ扉があったなんて」


マル―シャは感心した様子で顔だけアルの後ろから覗かせて開いた壁の扉を眺めた。


「アルか? 誰かいるのか?」


隠し部屋らしき部屋からランドの声が聞こえてきた。

その声を聞いた瞬間マル―シャはアルの服を離しアルの後ろから前に出て、勢いよく部屋に入った。


中には長方形の机と六脚の椅子があり、その長方形のテーブルの上には資料らしき紙が散乱していた。

部屋の中にはランドの他にもう一人、指揮官補佐でランドたちと同期で軍に入ったティ―チがいた。


「ティ―チじゃない。あら、あなたは確か、ロゴンドの砦に赴任していたんじゃなかったかしら?」


マル―シャの顔をみたティ―チはすぐに立ち上がると一礼して答えた。


「これは王女様、こちらにいらしているのを知りながらご挨拶もせず失礼いたしました」

「あらいいのよ、ところで…」


「どうしてお前がここにいるんだ!」


マル―シャがそこまで言いかけたところでランドが入ってきたマル―シャを睨みつけながらマル―シャの言葉を遮った。


「あら、王女様にたいしてその言い方無礼じゃないのランド。どうして? ええ、説明してあげましょうか! ここに来てから十日、ずっと私を放置していたでしょ。何か作戦があるなら私も聞かせてくれたっていいじゃない」


「はあああっ、まったくっ! お前が作戦の途中経過を聞いていたところで退屈だってぼやくだけだろうが、だいたいいつもお前が会議に参加すると、退屈だとか言って話を脱線させて会議が進まないだろうが」

「そっそんなことないわよ」


アルーシャがズバリ指摘されて言葉に詰まっていると、背後からルカの声が聞こえた。


「あれ、マル―シャにみつかっちまったのか?」


「ルカ! どうしてあなたがいるの? いつ戻ったのよ。私ずっと砦の門も監視してたのに」


マル―シャは振り向いて手に骨付きの大きな肉と大きなコップをそれぞれの手に持ったルカが立っていた。

「俺? 昨日戻ったんだ。まあ夜中だったからな」

「ちょっとルカ、あなたどこに行っていたの?」

「俺か俺は」

そこまで言いかけてランドの睨みに気が付いてルカが言葉を遮った。


「仕方ない、サミュ、返事をもらってこれたのか?」

マル―シャが驚いて再び振り向くと、部屋の入り口にサミュが立っていた。


「ええ? サミュ、あなたもどこかへ行っていたの?」

驚いているマル―シャにサミュは頭をかきながら笑顔で言った。


「はい、僕はラミド城に戻っていました」


「ラミド城に? ねえどういうこと? 作戦はどうなっているのよ。こんなにのんびりしていていいの?」

急き立てるようにいうマル―シャにランドは目の前の机に積まれた書類の中からフィスノダ国の地図を探し出した。


「サミュ、お前が持ち帰った陛下からの伝書を渡せ」


「はい、こちらがそうです。それと、こちらの方がロゴンドの砦のカールトン殿からの伝言です。すぐに数名合流するとのことです」

「そうか分かった」


ランドは陛下からの伝書に目を通すと、机に広げてあった。大きな地図を後ろの真っ白な壁に貼り付けた。


「作戦変更の許可がおりた。説明するからお前らも座われ、そこの二人はもういいぞ下がっていろ、サミュお前は残れ」

「はっ」


マル―シャの護衛をしていた二人の兵士は頭をさげるとすぐに部屋をでていってしまった。

マル―シャが茫然と立っているとランドから再び声が飛んできた。


「マル―シャさっさと席につけ、お前の聞きたがっている作戦会議を始めるぞ」


マル―シャははっとして目の前の椅子に座ると、既にアルとルカも席に腰かけていて、最後にサミュが席についたのをみた。

ティ―チが立ち上がって地図の前に立つとランドに視線を向け説明を始めた。





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