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シアフィスの森⑤

「駄目だ今日はここまでだな」


ランドは空を見上げながら呟いた。マル―シャはそんなランドに抗議した。


「えっどうして、モビレの砦まではもうすぐでしょ。どうして?」


「あの雲がみえないのか? この寒さだ、じきに吹雪になる。ここからモビレの方角は平原が続いていて、吹雪にでもなったら方角を見失って避難する場所もなしじゃ凍死しかねない。それなら森の中の方が安全だ森の中にいる分には風は森の木々がある程度防いでくれるだろうし、密集しているあの木の下なら平原よりましだろうからな」


「えっ、でもまた敵が襲ってきたらどうするの? 食事だって何も食べてないし」

マル―シャは自分のお腹を押さえながら膨れた。


「このまま進んでも視界ゼロになって凍死するのがおちだ。少し引き返せば吹雪をしのげる場所があるはずだ」


そういいながらランドは先に馬にまたがった。

マル―シャはいいたいことや聞きたいことは山ほどあったがこんな時のランドは絶対何も言わないことを知っていたので、あえて喉からでかかった言葉を飲み込んだ。


そうしているうちに空から本当に雪が舞い降りて、冷たい冷気が辺りを包み込んでいった。



二人がシアフィスの森の中に再び引き返してしばらくしてすぐに森の中にも雪が舞い降りてきた。

マル―シャはランドが準備していた毛布を肩からはおり、雪除けに頭からランドのマントを覆うような形で大きな木の下に二人並んで腰をおろしていた。


かなり温かい防寒具を着ていたが夜が近づいてくるにつれてかなり冷え込んできた。

その時、遠くの方で人の声にような音が微かに聞こえてきた。

ランドも気が付いたようだ。

ランドは立ち上がると剣に手を添えた。その時、聞き覚えのある声が聞こえてきた。



「おい、サミュ~、本当にもうすぐなんだろうな、もう道のど真ん中でもいいからここでテントを張ろうぜ、雪が降って来ちまったしよ~森を抜けたって吹雪になってたらどうしようもないぜ」


「そうだけど、森の外の状況を確認してから引き返してもいいだろ、だいたいサムが言ったんだろ、シアフィスの森で野宿は嫌だって」


「だってよタール、魂を抜かれるっていうじゃねえか、だから嫌だったんだよ。だいたい、昼前にロゴンドの砦を出れば暗くなる前にはギリ森を抜けられるってお前がいうから」


「うるさいよ、仕方ないだろ、運搬用の荷台の車輪が壊れて修理に手間取ったんだから」


「もうみんなもうひと頑張りだよ。それに僕達は馬に乗っているだけだけど一番大変なのは馬たちなんだよ。中には重い荷物がたくさん積んであるんだから」

「そうだけどよ」


ランドはそんな声がすぐ目の前の道を大きな荷馬車を操りながら話している声で、味方だと確信して歩きだそうとした瞬間、それより早くマル―シャが立ち上がり声を出して道を通過しようとしている荷馬車に向かってかけ出した。


「おい、マル―シャ待て!」

「ちょっと~あなたたちラールシア軍でしょ?」

「うわ~でた~!」


突然暗い森の中から何かが飛び出してきたのだ。

荷馬車にのっていた15歳ぐらいの若い兵士三人は恐怖の叫び声をあげた。





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