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シアフィスの森④

シアフィスの森で明け方まで仮眠をとった二人は再び森の中をペルトウ平原方面の出口を目指して愛馬を走らせていた。


この森には迷いの森の名があるほどかなり不快な森になっており、

最短ルートの整備された道を通過するにも馬車で半日はかかるほどの森が広がっていた。

その森の中央部分には北の東西に連なるイレド山脈から湧き出る水が北から南へと流れている。

このネルーミ川から枝分かれしてラールシア国やフィスノダ国双方に豊かな実りをもたらしていた。


しかし、この森には昔から不思議な力があるとされ恐れられているには理由があった。

この森は整備された道をそのまま通過する分には何も問題はないのだが、一度道をそれて森の中に侵入してしまうと、中々森を出ることができず命を落とす者までいるという噂が囁かれているのだ。


それはこの森は遥か昔、今はいがみ合っているラールシア国とフィスノダ国の両国がまだ一つの国だった頃、都があったのがこの森だという言い伝えが残っている。


だが、城があった場所はおろか都の後すらも発見できず、迷いの森として人々に恐れられて今に至っている。


戦争が始まって五年この森周辺に互いにいくつかの砦を築きそこを中心に互いの砦を奪い奪われしていたが、一年前からラールシア軍の第一部隊の指揮官に任命されたランシェ―ドたちの活躍で、フィスノダ国最大の砦だったモビレの砦を陥落させ、一月が過ぎた頃、ラミド城襲撃とスーリア王妃暗殺の早馬が第一部隊に届いたのだ。


それが無ければ、すぐにでも第一部隊の一部の兵士でバルデ城襲撃の計画が水面下で計画されていた為、密かに全ての部隊から剣術の優秀な兵士たちがモビレの砦に集結し始めていた。


ランドが戻り次第実行に移されることになっていた。

ランドは早る気持ちを押さえつつ、慎重に森の中を進んでいた。

なぜなら、昼過ぎから人につけられている気配を感じていたからだ。


ペルトウ平原に抜ける道はいくつかあるが、そう数があるわけでもなく、シアフィスの森の中で合流もしない、道は全て平行に東西に真っ直ぐ森を突き抜けているだけだったからだ。

だが、後ろを振り向いても人も馬も見えないのだが嫌な気配だけがずっと付きまとうかのように感じるのだ。


「マル―シャ、少し飛ばすぞ」


ランドがそういうなり、先にマル―シャの愛馬を走らせた。

急に猛スピードで走り出した愛馬のレアに振り落とされまいとマル―シャは必死でたずなを握りレアにしがみついた。


そのすぐ後ろをランドも同じスピードで猛スピードで駆け出した。

どれだけ走っただろうかようやく森の出口が見えてきたと思った瞬間、目の前に数頭の真っ黒な馬が横から飛び出してきた。


驚いたレアが驚き、急に止まった拍子にマル―シャが空中に投げ出されてレアから落馬しそうになった。

その瞬間、横を走っていたランドが愛馬に跨りながらマル―シャを抱え込んだ。

そしてダノンを止め、マル―シャを抱えたまま地面に着地した。そして自分の後ろにマル―シャを押しやると腰につけた剣のさやから剣を抜き構えた。


目の前には全身黒を身にまとった集団が完全に道をふさいでいた。

「マル―シャ大丈夫か」

「ええ大丈夫よ、フィスノダの兵士かしら」

「いや、どうやら別の連中のようだな」


ランドは目の前の黒ずくめの男たちを睨みつけながらここを突破する方法がないか模索していた。

するとそこにリーダーらしき男が馬から降り二人に近づいてきた。

ランドは剣をその男に向け睨みつけた。


「何の真似だ、今お前の相手をしている暇などないんだがな」


「ふん、同感だな、俺も目的の物が手に入って、それどころではないのだが、一言忠告しておいてやろうと思って待たせて貰ったんだよ。ラールシアの聖母が死んでラールシアの幸運も消えかかろうとしているラールシア軍に戻って待ち伏せ覚悟でバルデ城正面突破して自殺しに行くのを高みの見物といくつもりだったんだが、お前が負けてフツがこのまましぶとくあの城にいられても都合が悪いんでな」


ランドが睨みつけているリーダーらしき人物が言うとその隣にいた男が不適な笑みを浮かべ言った。

「あの王妃も馬鹿だよな、自分から突っ込んでくるとは」

「黙れバズ!」

「すっすいやせん」


何を言おうしたのか、そのバズと呼ばれた男の言葉を遮った男はマル―シャをじっと見つめて言った。


「自分からって…もしかしてラミド城を襲撃してお母様を殺害したのはあなたたちなの?」

マル―シャが飛び出そうとするのをランドが押さえた。


それをみたリーダーらしき男がマル―シャを見て言った。

「相変わらず、胸糞悪くなるほど真っ直ぐだな」


「なんですって、あなた私の質問に答えなさい」

マル―シャが目の前の集団のリーダーらしき人物を睨みながら言うのだが、視線はランドを睨みつけた。


「このまま城に突き進めば必ず返り討ちにあうぞ」

それだけ言うと、何もしないで馬に乗って去ろうとした男にランドが叫んだ。


「貴様! どうしてそれを」


「そうだな、借りを返す為だとでも言っておこう。お前にではないがな。忘れるな、お前が倒すべきは、フィスノダ国のフツ王ただ一人だ。余計な血が流れたら、お前たちを地獄にぶち込んでやるからな」


不適な笑みを浮かべてはいるが鋭い眼光が鋭く光っていた。

その後、男たちはランドたちに背を向けて去って行った。

ランドは追うのを止めて剣をさやに戻した。


「一体どうなってるんだ。あいつがやったんじゃなねえのか。くそっ! わからねえことばかりだ」

「ランド何か言った? ねえ今の誰? どうして私たちの作戦を知っているの?」

「お前は知る必要はない」

それ以上はランドは何も答えようとはしなかった。

その後少し離れた所にいた馬たちを口笛で呼び寄せた。




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