光の子の誕生
いつか時が来たならば
聖なる光のその先を
我らは再び目指そうぞ
遥か古の片隅に残る記憶を頼りに
我らは再び集おうぞ
生命の誕生を生み出した青の海の記憶と
生きる力の源である大地と共にある緑の力
その二つを包み込む全ての場所に光を放つ赤の輝き
三つの光が1つのハーモニーを奏でる時 天への扉が開かれる
時は流れドノーエ大陸の北部の東西に連なるイレド山脈を隔てて南方に一つの王国が栄えていた。
その王国の名をラールノダ王国といった。
イレド山脈から流れ出る豊富な水はそのほぼ中央を分断するような形で巨大なネルーミ川が南のスーハ海に流れこみ、幾重にも枝分かれして、ラールノダ王国全土に豊富な水が行き渡って他のどの国よりも土地が肥え、温暖な気候と広大な土地を利用して、人々の生活は大いに潤っていた。
しかしドノーエ大陸の南東に位置するルーノベ山脈の周辺では積雪が多く、生活の上では厳しい地域もあったが人々はその季節を利用して織物が盛んに行われていた。
そしてドノーエ大陸の中央を流れるネルーミ川の周辺にはラールノダ王国の中心都市キューラ城と同じ名前の都が栄えていた。
その中心部にはルーラ湖と呼ばれる湖があり、水面は青く澄んで、晴れた日には湖底が見えるほど透明度が高い美しい湖があり、その湖のほとりには,この土地を長年に渡り支配してきた一族が住む城が建っていた。
このキューラ城は神の子孫が住む城として、まるで神を崇めるかのように、この城に住む一族を崇拝していた。
この地を治める王家には偉大なる宝が残されていて、その宝はラールノダの繁栄の象徴とされていた。
このキューラ城は、周辺国の城のように高い城壁に守られた城ではなく、横に大きく、一説には地下要塞があるのではないかといわれたほど、地下に数多くの部屋が存在しており、長い間他国からの侵略からものがれ繁栄を極めていた。
だが、その繁栄もある時を境にまたたくまに崩壊し、世界一繁栄していたといわれていたラールノダ王国は突然滅亡し、世界中からその存在が消えてしまった。
ラールノダ王国に住んでいた人々は、その時を境に、今まで共通語として人々の間で話されていたラールノダ語を話すのをやめ、時が流れるにつれ、美しかったキューラの都も城も人々の記憶から消え、今ではシアフィスの森と呼ばれる巨大な森がドノーエ大陸の中央を南北にわたって木々が生い茂り、まるで大陸を分断するかのように東西に木々が今なお増え続け、シアフィスの森は広がり続けていた。
この森は、別名迷宮の森として、森の中に入った者が道を逸れてしまうと、生きては戻れないと信じられ、人々に恐れられる恐怖の場所として変わってしまっていた。
いつしかラールノダ王国が実在していたという事実さえも人々の記憶から忘れ去られようとしていた。
そして再び時が流れ、ドノーエ大陸のラールノダ王国があった場所には新しく国が二つ誕生した。
一つはネルーミ川から東の方角にフィスノダ王国が誕生し、
西の方角にはラールシア王国が新たに誕生した。
この二つの国は誕生してから暫くの間は友好関係を築いていたが、中央に流れるネルーミ川の周辺の木々が広がり続け、広大な広さのシアフィスの森が誕生するにしたがって、両国の関係も冷え切っていき、いつしか幾度となく争いを繰り返すようになって行った。
時は流れ、人々の記憶からラールノダ王国が存在していたという事実が薄れゆき、ただのおとぎ話になりはじめてきた頃、ラールシア王国に王の孫娘として黄金色の髪と赤い瞳を持つ美しい王女が誕生した。
その王女の名はマル―シャス・ロウェン・ラールシアと名付けられた。
彼女の祖父であるキースリード国王が若くして即位したのち、隣国のフィスノダ国の王ジーサスレイン国王と直接の協議が設けられ休戦協定が結ばれ、人々の間でも様々な物資の行き来きが盛んに行われるようになり両国は互いに繁栄していた。
それにともない、キースリード王の長い統治時代は、両国の争いは数十年の間は終息し、両国の王族の間でも交流が盛んに行われ平和な時が流れていた。
マル―シャスが誕生した頃もまだ、有効関係は継続しており、互いの王族も交流を深めていた。
それは彼女が誕生してからも数年は穏やかな時が過ぎていた。




