第34話 忠誠心
少し距離ができたところで、ガルドが俺の方を見た。
「それとヴァルディ。」
「よくやった。」
その顔は今まで見たことのない、どこか優しい表情だった。
「……ありがとうございます。」
思わず頭を下げる。
その横で、マロンが尻尾に巻き付いた黒い鎖をじっと見つめていた。
「でもさ。」
「本当に大丈夫?」
「剣、飛んでいっちゃったけど……。」
「多分、大丈夫だと思う。」
「《呼応》っていうスキルみたいだから。」
「一回やってみる。」
俺は尻尾に巻き付いた黒い鎖をそっと握る。
ゆっくりと引いてみる。
その瞬間
ジャラジャラジャラッ
鎖がものすごい音を立てた。
そのまま森の奥へ向かって伸びていく。
ガルドもマロンも、その先を黙って見つめていた。
数秒後――
ゴォォォォォッ!!
森の奥から轟音が響く。
木々を揺らしながら、小さくなったタイタンブレイカーが一直線に飛んできた。
「わっ!」
思わず手を伸ばす。
ガシッ。
吸い付くように柄が手へ収まる。
「……すごい。」
思わず声が漏れた。
「すごーい!」
マロンが目を輝かせる。
「本当に戻ってきた!」
「これなら安心だね!」
「そうだね。」
「無くす心配はなさそう。」
俺が苦笑すると、ガルドが腕を組んだまま小さく頷く。
「便利な武器だな。」
「さて。」
ガルドは背を向け、大きく伸びをした。
「腹も減った。」
「村に戻るぞ。」
「はい!」
「うん!」
俺たちは森を後にした。
夕日が木々の隙間から差し込み、長かった森の主との戦いが終わったことを静かに告げていた。




