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第1話 限界ギリギリ
「終わった……。」
小さく呟き、会社の椅子にもたれかかる。時計を見ると午前二時を回っていた。
今日も終電はとっくに過ぎている。
「また会社に泊まりか……。」
ここ数か月、まともに家へ帰れた日なんて数えるほどしかない。
朝から晩まで仕事。
休日も仕事。
食事はコンビニ。
睡眠時間は三時間あればいい方。
「三十歳になってまで、何やってんだろ。」
苦笑しながらデスクの上に置かれた栄養ドリンクを飲み干す。書類を一枚片付ける。
もう一枚。
その時だった。
ズキッ――。
胸に鋭い痛みが走る。
「っ……。」
息が苦しい。
立ち上がろうとしても、足に力が入らない。
視界がぼやける。
「お、おい……。」
助けを呼ぼうと口を開く。しかし声は出なかった。そのまま身体は床へ倒れ込む。
遠くで誰かが叫んでいる。
駆け寄る足音が聞こえる。
「救急車!」
そんな声も、だんだん遠ざかっていく。
(……寝たい。)
最後に浮かんだのは、それだけだった。
ゆっくりと意識は闇に沈んでいった。
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