表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『異世界狂騒録』~兄妹揃って異界に飛ばされたので好き勝手に生きる~  作者: 御星海星
異国と軍と迷宮と

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/173

地龍と火力と決着と

久々長い。

「いやしかし………………こうして見るとクソデカいなコイツ」


 抜刀した愛刀をだらりとぶら下げ、正面から地龍を見据える。

 全長が1キロ近くありそうなその巨体が右足を振り上げ。


「あっぶねえぇ?!」


 勢いよく叩きつけられた足を、後ろに大きく跳んで回避。

 着地と同時に突っ込んで足の上を駆け上る。

 肩の上からその首めがけて跳躍、片手でしがみつき鱗の隙間を狙って………………


「【芍薬】!!」


 渾身の突きを叩き込む。

 直後爆ぜる刺突はしかし……………


「………痛手にならないと思ってはいたが、血が流れるだけとはな」


 結果は血が出ただけ。

 流石にコレはへこむ。

 そんな落胆をよそに、首をふるい俺を振り落とそうとする地龍。

 敢えて逆らわずに跳躍、【天歩】で宙を蹴って胸殻に張り付く。

 岩盤のような鱗の隙間にブーツの先をねじ込んで踏ん張る。

 黒鱗を手で掴み、こじ開けた隙間めがけ─────


「【牡丹】」


 渾身の一撃を叩き込む。

 鱗が剥がれ落ち、鮮血が流れるが、肉を裂くには至らない。

 だからどうした。

 一撃で足りないなら。


「【螺鈿蓮彫り】」


 二撃目をぶち込むだけだ。

 眼を見開き、上体を捻り、鱗の隙間を狙って正確に刃を走らせる。

 一拍遅れて爆ぜる裂傷。

 間欠泉のように噴き出す血を浴びながら、刃を引き抜く。

 さすがに痛かったのか地龍が身震いし─────転がった。


「痛ってぇなぁっ………」


 寸前で飛び降り、間一髪挽き肉になるのは避けたが、地べたに叩きつけられたせいで全身がクソ痛い。

 ミンチに生まれ変わるよりかはマシか。

 ポーション瓶を手に取り立ち上が。


「っ?!」


 響く轟音。

 再び地面にダイブする俺。

 地面との熱烈なキス。

 真横に突き刺さる巨石。

 あぁ、うん。


「ふっざけんなよオイ」


 正面には上体を起こし大きく息を吸う地龍の姿。

 …………龍の代名詞と言えば


「くそったれがああぁぁッ!!!」


 吐き出された瓦礫交じりの息吹(ブレス)を、ぎりぎりで回避。

 思いっ切り跳躍し、左手の握力のみで胸部にしがみつく。

 手の皮が切れ血が流れるが無視。

 そのまま刀を右手で保持、肩に担いで脱力する。

 ブシュッと音がして、更に血が滴るが構うべき場面じゃない。

 全身の筋肉を脈動させ──────


「【乱れ牡丹:翔牙】ッ!」


 全力で上に駆け抜ける。

 胸殻の隙間めがけて斬撃を振るい、振るい、振るい。

 じくじくと痛む左の掌を柄頭に叩きつけ、無理矢理切っ先を根元まで突き込み走り抜け、思いっ切り薙ぎ払う。

 赤く血に濡れた刃から朱が走り、刀身からピキリと嫌な音。

 幾重にも刻まれた斬撃が爆ぜ、爆発音から一拍遅れて胸殻が剥がれ落ちた。

 地龍が大きく身震いし、空中に放り出される俺。

 ゴウッ、と唸りを上げて繰り出された前足が振るわれ。





 衝撃。

 鈍痛。

 衝撃。 



 視界がぼやけ、赤く染まる。

 全身がひりつくように痛み、喉の奥からせり上がった、赤く鉄錆臭いモノが、口から零れた。


「っ……………あぁっ…………………」


 とっさに刀を盾代わりにして防いだが、そうじゃなかったら今頃死んでるな。

 根性で手放さなかった愛刀を手に立ち上がろうとした俺の視界に、半分以下の長さになった愛刀が映った。

 ……………そうか。お前イメチェンしたのか………………折れたな。

 折れた。

 折れた?

 嘘だろ?

 嘘だといってよバー〇ー。

 眼の前には迫りくる地龍。

 どうやらかなりご立腹のご様子。

 ……………本来ならば絶望的な状況なのだろうが、()()()()

 なぜなら。


「──────『我は先達の遺せし道標を拾う者』≪始原の種火、その片鱗を望むもの≫『いまだ未熟なれど』≪いずれ破壊と焦熱の根底に至る者≫≪故に≫≪その熾火の群れを≫『螺旋の欠片を欲する』────火炎系上位魔法【陽炎の雫×16連】+撃滅魔法LV1【破砲】─────」


 粛々と、朗々と、世界に宣言するように唱えられる呪文。

 それはきっと、真に力をもって理を書き換え、捻じ伏せるための祝詞。

 アヤメの術に合わせて切り札を使う。


「【白鯨式:戦歌】」


 自身の消耗を糧に他者を強化する技。

 明滅する視界の中、銀色の輝きがアヤメを包むのを確認。

 俺の役目はもう果たした。

 チェックメイトだ。


「……………というわけで、後は任せた。バ火力ガール」

「襤褸雑巾は黙ってろ!≪我が意を以て万象を書き換え給え≫──────【緋色の衝動】!!!」


 揺れる世界の中、白く輝いていた火の玉。

 紅く揺らめきながら急速に膨張したソレが弾けた。

 幾重にも螺旋を描く極光の砲撃が、胸殻の剥がれ落ちていた地龍の胴を穿つ。

 筋骨を消し飛ばし、焼き切り、蒸発させ───────────────────その腹に風穴を開け撃ち抜いた。




















「………ぁぁ~つっかれたあぁ~」


 アヤメの呻き声をBGMにポーションを1瓶。

 苦い、もう一本。

 腹の奥に流し込み、何とか動ける程度に回復する。

 ポーションの手持ちがもうないけど。

 というか吹き飛ばされた時に殆ど割れてしまった。


「うっぷ、流石にしんどオエェ……………」


 グロッキーなアヤメ。

 見れば周りに散乱した大量のポーション瓶。

 恐らく、無理矢理魔力を回復させながら撃ったのだろう。

 そりゃこうなるわ。


「レンさんアヤメさん、無事ですか?!無事じゃなさそうですね?!」


 汗だくで駆け寄ってくる、ヒョロメガネの職員さん。

 むさ苦しい。

 出来ればリリアナが見たかった。


「しかし地龍を討伐されるとは………恐らく特別報酬が出ます。期待していてください。ご自分で起き上がれますか?」

「いや悪い。両手と左足の骨が潰れてるんだわ」


 出来るだけ心がけて軽い口調で言う俺。

 それすらできずにへたり込むアヤメ。


「取り敢えず、俺よりアヤメを優せ」


 轟音。

 揺れる視界。

 浮遊感と衝撃。

 一瞬遅れてきた激痛。

 軋む体をこき使い、上体を起こす。

 生温かいナニカが手に触れた。

 びちゃっという聴きたくなかった音。

 ゆっくりと持ち上げた手についていた赤い染み。

 上半身を岩に潰され、色々飛び出ているそれのズボンは中央の制服。


「なにが………何があった………………ッアヤメ、アヤメは!」


 現状を理解できないまま、混乱した頭でアヤメを探す。

 少し離れたところで土埃にまみれて転がっていた。

 外傷は見当たらず、生死は不明。

 土煙の奥から聞こえてくる、割れ鐘のような咆哮。

 それすらも引き裂いて現れる地龍。

 奴の腹に空いた風穴が、急速に塞がっていく。

 ありえない。

 あっていいはずがない。

 否定したいができない現実。

 奴と目が合う。

 嘲笑うような、悪意を帯びた視線。

 地龍が目線を俺の後ろに向けた。

 地面に付したままのアヤメ。

 どうやらアヤメを優先して殺す算段のようだ。

 いやに冷静な頭でぼんやりと考える。

 腕を振りかぶる地龍。

 立ち塞がる俺も限界がきている。

 俺を後から潰すつもりか、一緒に潰すつもりか。

 出来れば後者がいいが、どちらにしろ俺にできることはもう──────









──────白鯨式LV2【顎盾】──────









 ふと脳裏に浮かぶ、例の奇跡。

 あるいはこいつの攻撃ならという、打算と諦めの入り混じった心情で。


「【顎盾】」


 轟然と振り下ろされた巨爪に対し、呟かれた一つの言葉。

 余りにも無力なソレに、必殺の一撃が喰い千切られた。

 洪水の様にぶちまけられる血液。

 唖然とする俺。

 もんどりうって倒れる地龍。

 その横っ腹めがけて、虚空から現れた白い鯨の顎が飛び──────一撃で喰い破り、両断した。


























 真っ二つになって地に堕ちる地龍。

 地響きと再びの土煙。


「今度こそ、死んだ、よな?」


 頭を折れた刀でツンツンする。

 ピクリともしない。

 痛む体を堪えて蹴りを入れる。

 動かない。

 死亡確認、ヨシ。


「ウッシャ、今日は帰って熱い風呂にはいっ…………て?」


 ぞぶり、と、自分の肉が裂かれる音がした。

 喉の奥から溢れてくる、鉄錆のような臭い。

 腹がスースーする。

 視線を下に向けると、下腹部が抉れていた。

 ごぽりと音を立てて、内腑がぶち撒けられる。

 力が入らない。

 世界がチラつく。

 足がふらつき、立って入られなくなり仰向けに倒れ込む。

 あぁ、うん。


 …………ダメ、だな、こりゃ。


 間違いなく死んだ。

 なのに、なんでだろう。

 意外に悪くない、むしろいい気分だ。

 こんな状況だというのに苦笑が零れ、自身の血溜まりの中に伏して目を閉じる。


「ふわぁ……よく寝たぁ~」


 この状況で寝てやがった。

 ………まぁ、アヤメらしいか。


「寝てないで起きてお兄ちゃん?!ちょっと!しっかりしておに………ゃ………」


 暗転する視界と薄れる意識の中誰かの声がして………………………





 俺は意識を失った。













クソみたいに中途半端だが第2章完!失踪はしないから安心召されよ!つうわけで!明日も書いていくz「あんた~課題終わらしたんか~?」










あと、気に入っていただけたのなら高評価、ブクマ登録などよろしくおねがいします。モチベーションに直結するので。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ