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『異世界狂騒録』~兄妹揃って異界に飛ばされたので好き勝手に生きる~  作者: 御星海星
異国と軍と迷宮と

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虫と触手と荒稼ぎと

鶏肉食べたい。

 地龍の迷宮第74階層。

 俺とアヤメは討伐対象と対峙していた。

 全長50メートルを超す環状の巨体。

 ぐるりと円を描くようにして生え揃った鋭い牙。

 日の光が降り注ぐ灼熱の中、砂地を揺らす触手の群れ。


 Bランクモンスター、サンドワーム。


 巨体に似合ったタフネスと虫類らしい生命力を持つ肉食のミミズ。


「しっかし迷宮の中で太陽を拝むことになるとは、なあァアア!!」


 気合一閃。

 雄叫びを上げ、その胴体に一太刀を浴びせるも昨晩の毒(雑炊)がまだ抜けきっていないのか、厚い皮に阻まれ致命傷にはならない。

 めんどくさいな。


「ああっもう!コイツうざすぎる!何とかしてよお兄ちゃん!!」


 無数に伸びてくる触手に邪魔されて、碌に魔法を撃てないアヤメ。

 悪いが、こっちはこっちで割と手一杯なせいでフォローに回れない。


「仕方ねえだろ、触手多すぎて切りきれないんだよ!」


 こちらに殺到する触手を、軒並み切り払っていく。


「だあああ!いい加減死ねよ!【炎弾×36連】!!」


 アヤメの放った炎の弾丸が音を立ててクソ虫に着弾するも体表の砂を爆散させるだけで痛打にならない。

 …………………というか。


「そもそもサンドワームに火が効くのか?」

「うにゃああああ!知るかそんなこと!!!」


 俺の疑問に理不尽にキレるアヤメ。

 飛んできた触手を切り落とす。


「お兄ちゃん!前に使ってた毒渡して!あいつの口にぶち込んでやる!!」


 妙なことを言うアヤメ。

 毒を使った覚えは特にないのだが……………もしかしなくてもミノタウロスに使ったミートボールのことか?


「悪いが在庫切れだ!」


 所持品の整理をしていた時に、リリアナが見つけて涙目になったから捨てたんだった。

 反省も後悔もしないし、寧ろ正解だったと思うが。


「ああいう奥の手は毎回用意しておいてよね!」


 自分が料理だと認識している物の一部を『奥の手』とか言うな。

 心の中でぼやきつつ、サンドワームの突進をアヤメを小脇に抱えて回避。


「……ねぇ、お兄ちゃん。私………重くない?」

「重いな」


 頓珍漢なことを聞いてくるアヤメに、偽らずに真実を伝える。


「酷い!そこは嘘でも軽いって言うべきでしょ!!」


 わざとらしく泣き崩れるアヤメ。

 嘘前提なのか。


「もういいよ。お兄ちゃん、ちょっとソイツ抑えてて」


 いつも通り無茶な『お願い』をしてくるアヤメ。

 勝手に距離を取り詠唱を始める。

 ただの横暴か、それとも信頼の証か。

 どちらにせよ俺の役目は同じと切り捨てる。

 大口を開けて突っ込んでくるサンドワームに対し、刃渡り2メートル半の愛刀を水平に構え、全力で薙ぐ。

 一直線に刻まれた傷口から噴き出る緑色の体液を躱しつつ前進し、切っ先を振り下ろす。

 触手を回避し駆け出しざまに一閃、幾本かの触手を纏めて薙ぎ切る。

 暴れのたうつ胴体の下を潜り抜け跳躍、真下に来た脳天(何処かよくわからん)目掛けて突き刺す。

 はじかれたように振るわれる頭部から、勢いに逆らわず後ろに飛んで離脱し、アヤメのそばまで下がる。

 こっちに向かって口を開け突っ込んでくるサンドワーム。   

 狙い通りだ。


「───────【緋槍:爆轟】!!」


 真正面から放たれた紅い焔の槍がサンドワームの口腔から胴体にかけてを引き裂いて爆ぜ、その半身を粉砕した。














「ふみゃああぁぁ~終わったあぁぁ」


 気の抜けた声を出してへたり込むアヤメに回復薬を差し出す。

 若干むせながら一息に飲み干す砂まみれのアヤメ。


「ぷはあぁ……リポビ〇ンD?」

「言うんじゃねえ」


 最後まで締まらないアヤメに苦笑いしつつ、迷宮を脱出した。




「サンドワーム討伐の達成、確認しました。報酬の大金貨3枚です」


 Aランクにしては安いな。

 死体がバラバラになっていたし、仕方ないのかもしれない。

 不満顔のアヤメを連れて家路についた。

















「お帰りなさい。レンさん、アヤメさん」


 家に帰ると出迎えてくれるリリアナ。

 ………………家に人のいる生活か、日本じゃ考えられなかったな。


「あ、あの、レンさん?」

「うん?」


 何故か困惑するリリアナ。


「いえ、急にお泣きになるのでどうされたのかと」


 言われて目元に手を当ててみれば、確かに涙で濡れていた。

 ……………親が死んで爺ちゃんも死んで、学校に部活に家事にアヤメの将来のこと。

 限界ぎりぎりの毎日で突然異世界に飛ばされて、逃げた先でも戦って………………そうだな。


「二人とも、これは二人が良ければの話なんだが……………」

「なになに?愛の告白?」

「ふえぇぇ!?さっ流石にそれは…………」

「違うから。というか何故そうなる。乙女かよ」

「「乙女です(だよ)!!」


 見事にシンクロする二人。

 お前ら仲いいな。

 ………………いやそうじゃなくて。


「しばらく仕事を休もうと思う」

「「はぁ?」」


「俺は疲れた。かなり疲れた。正直しばらく何もしたくない。だが何も考えずただ金を浪費するには少々心許無い。だから荒稼ぎして2週間ほど何もせず休むぞ」

「お兄ちゃんがそういうなら私はいいけど……………リリアナちゃんは?」

「ちゃんって、私もう18ですよ?……………別に反対もしませんし、そもそも奴隷なので出来ませんけど」


 諦めたように言うリリアナ。

 つまり何も問題はない。

 昼飯(チキンのトマト煮異世界風味)を食べながら計画を練った。



少し短いか?気を付けへんとあかんな。

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