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『異世界狂騒録』~兄妹揃って異界に飛ばされたので好き勝手に生きる~  作者: 御星海星
幕間劇

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サヰドヱピソード:海戦1

肉喰いたい

 やたら重い体を引き摺り、上陸する。

 腐った肉が剝がれ落ち、立っていられずに倒れ伏す。

 少しばかり暴れ過ぎた。

 バラバラの肉片が漂う、所々紅く染まった海。

 白み始めた空が、朝の訪れを告げている。

 …………うん。

 やり過ぎた。

 気付いたら周りの魔物が全滅していた。

 反省も後悔も無いが。

 俺の顔を覗き込むギンカ。

 何がしたいのか分からない。


「レン、何処に行っていたの?」

「海に潜っていたな」

「……………遊ぶな、バカ」


 叩かれた。

 平手で。


















「お兄ちゃん、大丈夫だった?」

「多分な?」


 アヤメから受け取った輸血パックを飲み干し、一息つく。

 安定と信頼の美味しさ。

 そして何故か隅の方で蹲るリリアナ。


「……………なぁ、リリアナ?どうかしたのか?」

「……………………」


 返事が無い。

 原因も分からない。

 どうしよう。


「あぁ~………レン君のアレ(形状変化)が怖かったみたいでね?僕もアレはあんまり使わない方がいいと思うし………………」


 オネットさんが理由を話してくれた。

 使わない方がいいとは言われたが…………


「便利なものを使いたくなるのが人間の性なんですよ」


 デカブツを叩き潰す時は特に。

 刀や槍で致命的な一撃を撃ちこめない奴や、そもそも急所が何処かよく分からない奴を引き裂いてミンチにするには都合がいい。

 消耗が大きいのが辟易ものだが、相手を喰いながら戦えば問題も無い。

 そう思っていたのだが…………………………


「レン君。あまり人間離れした事はやめた方がいいよ。………………僕の旧友の不死者が、それで発狂死したから」

「マジですか」


 発狂とか字面だけでヤバいモンがあるのか。

 ………………帰ったら調べよう。

 何かわかるかもしれない。

 発狂死なんぞ御免被る。


「お兄ちゃんは大丈夫だよね?」

「安心して、レン。いざという時は、ちゃんと殺してあげるから」

「いや、お前らじゃ無理だろ?」


 冷え切った目で俺を睨む女性陣。

 めっさ怖いんですがそれは。


「試してみる?」

「レン君?流石に僕を舐め過ぎじゃないかな?」

「お兄ちゃん?久し振りに死んでみる?」

「レンさん?私だって、やる時はやるんですよ?」


 ドストレートな殺気を叩きつけてくる3人組。

 ………………フッハ。


「イヤじゃあぁ!まだ死にとうない!!」

「「「シネ」」」

「うっぎゃあぁあああぁぁ?!」


 …………………ギンカの攻撃が一番痛かった。

 文字通り死ぬほど。























 夕暮れの砂浜に篝火台を突き立てていく。

 前日と全く同じ作業。

 ついでに肋骨を急成長させたものを複数本生産して転がしておく。

 いつもの太刀…………ではなく大弓を構える。

 下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる。

 きっと。

 多分。

 メイビー。

 そして物騒すぎるチェーンソーの駆動音を響かせるオネットさんと、黒い腕を携えたギンカ。

 死んだ魚の目で弩弓に矢を番えるリリアナと、なにやら不敵な笑みを浮かべるアヤメ。

 嫌な予感がするが、どうしようもない。

 昨日のソレと似て異なる青緑色の淡光が辺り一帯を埋め尽くし、海が割れるように広がる。

 暗闇の向こうからナニカが飛んできて。


「ッ、ギンカ!!」

「ウグッ?!」


 咄嗟の判断でギンカを突き飛ばし、ギリギリで庇う。

 背中にぶっ刺さった正体不明の何かを掴み、引き抜いて………………………


「………ダツ?」


 ビチビチと暴れる細長い魚。

 体長およそ一メートルと、俺の記憶にある物より幾分か大きいこいつの名前は…………ダツ。

 漁師が恐れる魚ナンバー1にして、光源に突っ込んでいくタイプの生体魚雷。

 冗談抜きで人間を殺せる魚類。

 それが、俺の手の内にいた。

 鮮度抜群のヤツが。

 そのまま刺身にして喰えそうなくらいイキのいいヤツが。

 直売センターじゃないと買えないようなヤツが。

 ヒュ、と空気を切る音がして、俺の後頭部にダツが突き刺さる。

 右手で引き抜く。

 振り向いた瞬間、額からサクッ、といい音がした。

 左手で引き抜く。

 無音で飛んできたダツが、腹に刺さった………………


「フヒッ」

「お兄ちゃん?!」

「お前ら全員ぶっ殺してやる!!」


 衝動に任せてダツを握り潰す。

 砂浜に突き刺していた骨を5,6本纏めて引っ掴み、大弓に番えて全力で引き絞り……………


「オッ、ルラアァアアァァッ!!」


 渾身の一撃を放つ。

 直後、矢の軌道上に割り込んできた、虹色の輝きの尾を引いて空飛ぶシャコガイに防がれた……


「フヒッ」

「お兄ちゃん?!」

「しゃらくせえぇぇえぇぇぇあぁあああぁぁぁ!!」


 頭の辺りで何かが切れた様な音がしたが気にしない。

 獣のソレ状に変化した四肢を撓ませ、骨を軋ませ、躰を唸らせ、足元が抉れるほど深く踏み込んで。


「ァアァアァァアアァァ!!!」


 全力の跳躍。

 空中で【空歩】を使い、更に加速する。

 右腕を集中的に肥大化させて甲殻蛇を纏わせ、限界まで振り翳して─────────


「ガアァアアァアアァァァアァァッ!!」


 シャコガイの表面に叩きつけ、一瞬の拮抗の後に打ち砕く。

 渦を巻き、見事な空中機動で襲い掛かってくるダツの群れ。

 ありったけの殺意を鉤爪に込めて突っ込み───────────────



ダツ〇ーツ(休載×休載)

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