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『異世界狂騒録』~兄妹揃って異界に飛ばされたので好き勝手に生きる~  作者: 御星海星
幕間劇

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サヰドヱピソード:海2

ナマコうめぇ昆布うめぇ海藻うめぇサンゴうめぇ

 砂浜に突き立てられた、一本の旗。

 謎の既視感(デジャヴュ)を感じる。

 錫杖でガリガリと砂浜に線を引いていくアヤメに、何故か準備体操を始めるギンカ。

 嫌な予感がする。


「お兄ちゃん!ビーチフラッグやろ!!」

「何でそうなった?」


 というか、もう既に他の三人もスタートラインに立っていた。

 ………………………それに。


「俺は兎も角、お前らは休むべきだろ」


 不死者ですらない生身の人間に、徹夜での戦闘は少々堪える。


「それだと面白くないじゃん」

「なるほどな」


 アヤメらしい。

 ………………めんどくさいが、俺も参加した方が良さそうだ。

 夜戦に備えたかったが仕方ない。

 諦めて線の前に立つ。


「あ、負けた人は全員にご飯奢るように」

「ふざけるな」


 ライン際に立つオネットさん。

 クラウチングスタートの構えをとり───────────────


「よ~い、ドンッ!!」

「シャオルラァアァァアアァァァ!!」


 合図と同時に両足を変異させ、砂を吹き飛ばしながら全力で駆ける。

 輸血パックに最近やたら嵩む食費とで金に余裕が無い。

 悪いがこのまま勝ちを取りに行かせてもら。


「【御手を拝借】」

「よい、しょおぉぉっ!!」


 両脇から不可視の衝撃波に叩き潰された。

 更に後方から放たれた炎弾に撃ち抜かれる。

 直後、爆炎が俺の頭上を飛び越えた。

 やりよったなコイツラ。

 だがしかし。


「まだ甘いなァ!」


 血塗れのまま前方へ突き出した右腕を高速で膨張させ、甲殻の蛇で絡めとり、引き寄せる。

 逃がしてたまるかよ。


「っ、離せ!」

「うわぁあぁぁ?!」


 アヤメが墜落し、ギンカが殴りかかってきた。

 繰り出された拳を寸前で避け、その場に縛り付けて走り出す。

 後ろからの怒号。

 俺のすぐ横を前傾姿勢で通り過ぎるギンカ。

 再び爆炎が吹き上がり、砂が赤熱する。

 一足分出遅れたがまだ間に合う。

 全力で突っ走りそして………………………


「………あの~、レンさん?これって私の勝ち………になるんですか?」


 若干煤けた両手で旗を持つリリアナ。

 一体何が起こった。


「レン君たちがワチャワチャしてる間にリリアナちゃんが普通に旗をとってたよ。ギョフノリ?って言うんだったかな?」


 ギョフノリ………漁夫の利か。

 俺の目の前で膝をつくアヤメとギンカ。

 ………………目の前?


「お兄ちゃん?ご飯お願いね?」


 財布が冷たくなりそうだ。

























 夕暮れの海岸線に、軍から支給された篝火台を突き刺していく。

 視界の確保、大事。

 鎖鋸(チェーンソー)の整備をするオネットさんと、黒い腕を布で乾拭きするギンカ。

 何やら真剣な表情で魔道祈禱書(ネクロノミコン)を読み込むアヤメ。

 そして覚悟を決めた様な眼差しで弩弓を構えるリリアナ。……ってオイオイ。


「なんでリリアナまで武装しているんだ?」

「人手が足りないから、かな?」

「何やってんだよ」


 溜め息を吐き、長槍を構えた直後─────────────場を青緑色の淡光が埋め尽くした。 

 巨大な生物の心音の様に、大気が規則正しく脈を刻む。

 遠方の海面が膨れ上がり爆発し─────────海が裂けた。

 猛然と飛び出してくる無数の魚介類。

 身体強化と喰剣を使い、太刀を構えた。























 先陣を切って上陸してきた蟹を、甲殻ごと斬り捨てる。

 背中から剛腕を生やし、地中から強襲を仕掛けてきたマテ貝モドキを握り潰す。

 曳光弾のように飛んできたアサリを弾き、やたらデカいゴカイを貫いて、体側に沿って腹を裂く。  

 なおも蠢く蟲の頭部を噛み千切り、吐き捨てる。

 殺気を感知、華麗に回避。

 真横から捻り潰された。ミンチになる海産物。

 汚いな。

 そして砂浜を溶融させながら突っ込んでくる豪炎。

 一斉に退避する魔物。見事な連携。逃がしてたまるか。

 全身に力を入れて骨格を延長し───────────────伸ばした骨で突き殺す。

 脇腹を引き裂いて飛び出た肋骨を束ねて捻じ曲げて壁にし、火球を防ぐ。

 庇いきれずに焼かれたが、直撃よりかはマシだと割り切る。

 それにしても、腹が減った。

 掌が肥大化し、爪が変形し、関節が拡張される。

 表皮を裏返しながら肉が生え、頭骨が歪み、口端から乱杭歯が覗く。

 変異したせいで上手く掴めなくなった太刀を口で咥えて保持する。

 メキメキと異音を立てて背骨が増え、脚がケダモノのソレ状に生まれ変わる。

 肉体を軋ませながら力を溜め────────跳躍した。

 ドンッ、と音がして砂浜が爆ぜ、地上が遠くなる。

 風圧に目を細めながら手頃な獲物の姿を探して─────────見つけた。

 5メートル近いサイズの烏賊だか蛸だかよく分からないバケモノ。

 丁度良いな。

 脚に意識を集中させて更に肥大化させる。

 猛禽の様に変化した鉤爪を振り上げて、全力で蹴り潰す。

 2,3度大きく痙攣して動かなくなる烏賊。

 その胴に腕を突き立て引き抜き、血を啜る。

 高速で海面を滑走して突撃してきた巨大鮫を叩き落とし、咥えた刃で切り裂く。

 右腕に甲殻蛇を纏い、周囲を薙ぐ。

 何故か逃げ出す魔物達。

 待ちやがれ。

 腹から肋骨を抉り出し。


「オッ、ルアァァアアァァァァ!!」


 雄叫びを上げて全力で投擲。

 空飛ぶ穴子を撃墜して、海中に飛び込む。

 途端に群がってくる尋常じゃない量の海産物。

 上等だ。

 敵を喰い破るべく、牙を剝いた。



腹減った。

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