あとがきがわりに
前話「逢魔が時の化身」と連続投稿しています。
前話を読まれていない方はそちらからお願いいたします。
国ではじめての女性将軍がパレードを行く。
年若き英雄と名高いだけじゃなく、その高潔さも人々から讃えられ、聖人と称されるほどだった。
彼女の声援に応える手、その指には茜色に輝く古ぼけた、飾りも何もない、みすぼらしいとすら思える指輪がある。
それを1体のスケルトンがじっと見ていた。
何の色も映さない、空洞の眼窩で。
やがてスケルトンはその場を離れて歩き出す。
1体のスケルトンは街を歩く。
真っ白なただのスケルトン。
骨身の魔物。
街の中にありながら、その姿に不審を抱く人間はいない。
未だこの国では奴隷制度は廃止されていない。
だが、人間の奴隷というのはひとりもいなかった。
「骨身のスケルトン、それのみを奴隷とする」条文にはそう記されている。
今ではこのスケルトンを誰が創造したのか、誰も気に留めてなどいないだろう。
かつて英雄がいた。
英雄は死んだが、今もスケルトンは街を歩いている。
かつて英雄が守った街、そして守った人が暮らす街の中を。
今もその暮らしを守っている。
スケルトンは人と出会うとおおげさに敬礼をする。
芝居がかったように。
そんな様を人はくすりと笑う。
笑われたスケルトンはおどけたように身を振り、また歩き出した。
太陽が地平線へと届き、スケルトンの眼窩の奥を茜色に染め上げる。
それに何を思ったのか、不意にスケルトンは立ち止まった。
夕陽が全身を照らしている。
その茜色の光を全身に浴びて。
スケルトンは両の手を空へと掲げた。
その茜色の輝きは自ら発しているようで。
いつまでも見ていた。
世界を。
いつまでも。
これにて完結です。
最後までお読み頂きまして、本当にありがとうございました。




