story No.5
2日後
愛美が引っ越してきた。
「わー、広ーい!あたしの前の部屋6畳しかなかったから」
まだ隣はバレていないようだ。
このまま黙っておくか…
でも、いつかはバレるし…
どーしよー!
二人で職場へ向かった。
愛美は同僚や上司に引っ越したことを嬉しそうに伝えていた。
『愛美、一緒に帰る?』
「あたし、寄るとこあるから、先帰ってて」
『分かった』
藤崎君に告白されてから、ごはんを食べることはなくなった。
エレベーター以来会ってすらない。
今も私の返答を待っているのだろうか。
気がつくと藤崎君の部屋の前だった。
思いきってインターホンを鳴らした。
優さまだった。
「おー、酔っぱらい!」
『そのあだ名やめてください。藤崎君は?』
「いるよ。何、返事しにきたの?」
『えっ、いや』
「ちがうの?早くしてやんないと、恭平待ってるよ」
『そうですか…』
「おーい、誰か来たのかー?」
奥から藤崎君の声が聞こえた。
それだけで胸がドキドキした。
やっぱり好きなんだ。
改めて分かった。
「酔っぱらいが来たー」
「梨子ちゃん!?」
ガサガサ音が聞こえて、走って藤崎君が現れた。
「奥、入ってよ」
『お邪魔します』
「どうしたの?」
わざとらしく藤崎君は言った。
内心、返事しに来たと思っているくせに。
『あのね、返事はまだ出せないの。ごめんね、優柔不断で。』
藤崎君は残念そうな顔をした。
『でも、話があるの。あのね…愛美とルームシェアすることになったの』
「えっ?愛美ってkiss-jの大ファンじゃ?」
『そうなの。とくに優さま。』
「俺っ!?」
『うん…断ったんだけど、どうしてもって。だから、二人のことがバレたら…』
「おいおい、どうしてそんなやつとルームシェアなんかすんだよ?」
「そんな言い方すんなよ。梨子ちゃんだって困ってるじゃん」
『すみません。愛美は私の親友なもんで』
「ふんっ、親友ねぇー。バカらしい。コンビニ行ってくる」
乱暴にドアを閉めていってしまった。
「ごめんな。優、あんな言い方しか出来なくて…」
『いいの。私が悪いし。今日はこれを伝えに来ただけ。もう帰るね』
「うん」
『じゃっ』
部屋に戻ると愛美は帰っていた。
「もうー、どこ行ってたの?晩ごはん冷めちゃうよー」
愛美はカレーを作っていた。
『ごめん。わー、おいしそー!』
「あたしのワガママで住まわせてもらってるわけだし、料理くらいしないとね。あっ、明日から1週間ゴミ当番だって。ポストに紙入ってた。7:30~8:00までだって」
『ふーん。すごいおいしい!』
「ほんと?良かった」
藤崎君としばらくごはんを食べていなかったので、一緒にごはんを食べれる人がいて嬉しかった。
「梨子?」
『何?』
「今日、一緒に帰らなかったでしょ?」
『うん』
「あのあとね、これ買いにいったの」
それは部屋のドアに飾るネームプレートだった。
可愛い字体で白石&金井と書いてある淡いピンク色のネームプレートだった。
『わー、可愛い』
「でしょ?二人の家だもんね」
愛美とルームシェアして良かったと思った。
一つのベッドに二人で寝た。
ぎゅうぎゅうづめだったけど、まるで修学旅行のようだった。
ガールズトークが続き、気がつくと眠りに落ちていた。
つづく




