story No.4
次の日の朝、エレベーターの前で藤崎君を見かけた。
同じエレベーターに乗ったら気まずいので、一旦引き換えそうとした時
「梨子ちゃん?」
見つかった。
『あっ、おはよう』
「エレベーター来たよ?」
『あっ、うん』
断れず乗ってしまった。
無言の空間が続いた。
「昨日のことだけど…」
『あの、まだ時間がほしいの。やっぱり整理出来なくて…』
「分かった。待ってる」
「うん」
そこで、一階に着いた。
ロータリーで別れて仕事へ向かった。
「梨子ー!恭ピーって品川区のマンション住んでるんだって!梨子最近引っ越したでしょ?品川のマンション。恭ピーいなかった?」
『えっ?いっ、いるわけないじゃん。』
「だよねー。あー、優さまが隣に住んでたらどーしよーっ。死んでもいいわーっ」
『また、愛美ったら』
内心、焦った。
まさかバレたのかと思った。
もし愛美にこれがバレたら…
優さまも出入りしてるし…
「ねぇ、梨子…」
甘ったるい声を出した。
この声は…
「お願いがあるの」
やっぱり。頼みごとがあるといつもこの声だ。
「あたしのアパート取り壊しになったのー(泣)」
『えっ?じゃ、どうするの?』
「家がなくなるー」
『じゃなくて、新しい家は?』
「お金ない…それでね、梨子、小林君と別れたじゃない?」
愛美には小林君のこと話した。
泣きながら話す私を夜中まで慰めてくれた。
『うん。』
「引っ越して、広い部屋になったんでしょ?一人じゃ広すぎるって言ってたよね?」
『そっそんなことないよ。案外住むと良い感じっ』
ヤバイ…
「えー、お願い。ルームシェアさせてー」
ヤバーイ!
もちろん、普通なら受け入れる。
むしろ、一緒に住みたい。
未だに部屋は広いし。
だけど…隣が。。。
「ねぇ?梨子。あたし親友だよね?」
もー、こういうところがズルい。
『ダメったらダメ!』
「……」
うつむいたままの愛美。
『愛美?』
一粒の雫がこぼれた。
愛美は泣いていた。
『ちょっと、何で泣くのよ?』
「あたしはただでさえ梨子の1/5しか給料ないのよ。今のおんぼろアパートだって、生活費ギリギリなのに。だいたい、梨子は昔からそう。スタート地点は一緒なのに、どうして梨子だけ昇進していくのよ。頭だって、要領だって、何でも梨子の方が良くて…あたしの苦労も知らないくせに、一人で広い部屋に住んで…」
『愛美…』
「それでも、あたしを見捨てるの?」
下から見つめてくる瞳に負けました。
『分かったわよ。分かったから、泣くんじゃないの!ほら』
ハンカチを手渡した。
「ほんとに?いいの?」
『そんなこと言われたらしょーがないでしょ?』
「ほんとっ!?ありがとー、梨子っ!」
だけど、藤崎君のことは言い出せなかった。
また今度でいっか。
そう思ったのが間違いだった。
つづく




