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story No.2

次の日。

「梨子ー!大変!」

『何よ、もう』

同僚で私の妹的な存在の金井愛美がやってきた。

「なんとっ!kiss-jのコンサートチケット当たったの!!東京ドーム。ねぇ、一緒に行こっ。一生のおねがーい!優さまと恭ピーに会えるの!!」

Kiss-jとは、今人気No.1のアイドルグループだ。

愛美はkiss-jの優さまって人の猛烈なファンだ。二番目に恭ピーのファンらしい。

「しかもっ、アリーナなの!これって運命!優さまに接近出来るっ」

まだ、行くとも返事してないのに、とても嬉しそうだ。

こんな感じだから、断ることも出来ず、行く約束をした。

コンサートは1ヵ月後の7月にあるようだ。


愛美はコンサートまでに kiss-jを知ってもらいたいとCDアルバム2枚とDVDを貸し付けてきた。


家に帰ると、玄関に紙が挟んであった。

「今日は仕事なので、晩ごはんはいりません。」

何か夫婦みたい…

一人で食べる晩ごはんは寂しかった。


ピンポーン

実家から大量のたけのこが送られてきた。

こんなに食べきれない…

それに、私はたけのこがそんなに好きではない。それは母も知っているはずなのに。

藤崎君が好物ならいいけど。

そんなことを考えながら今日が終わった。




次の日

ピンポーン

朝早くインターホンがなった。

藤崎くんだった。

「昨日はごめんね。仕事忙しくて…」

『いいの。今日は大丈夫?』

「うん。昨日は晩ごはん抜きだったから、早く梨子ちゃんの料理食べたい」

『分かった。早めに帰ってくるね。ところで、たけのこって好き?』

「たけのこ?好き、大好き!なんで?今日たけのこなの?」

『うん。良かった、実家からたけのこ届いたの』

「やったー。楽しみにしとく」

『うん、じゃ、会社言ってきます』

「いってら」


なんか恋人同士みたい…




「わー、ほんとにたけのこづくしだね。」

『ごめんね。たくさんあって。』

「うーわ、超うまい!」

『よかったー。たけのこご飯持って帰って。明日の朝でも食べて』

「ありがとう」


食べ終わり食器を片付けてる時だった。

「梨子ちゃん、これ…」

『あー、それ友達の愛美に借りたの』

それはkiss-jのDVDだった。

「こういうの興味あるんだ」

『全くないよ。まだ見てないし。藤崎君は興味あるの?』

「知ってるだけ。kiss-jだろ?」

『そうそう。今度コンサート行くんだ』

「へぇー、愛美って子と?」

『うん。無理やりつれてかれるの。優さまファンなの』

「あー。優さまカッコいいね」

『私は見たこともないんだけどね』



それから1ヵ月が経った。

こんな関係がずっと続くと思ってた…



「梨子ー!早くー!」

『待ってよー。だいたい、なんで始まる2時間前なんかに来るのよ!』

「グッズが売り切れちゃうじゃない。絶対に買わないと」

今日はkiss-jのコンサートに来ていた。

すごい人で、すでに帰りたい…

『うちわ500円。タオル1500円!?高っ。どうしてこんなものが欲しいのよ』

「キャー優さまー!」

愛美は話を聞いてなかった。

それどころかうちわの優さまを見て興奮しているのだからしょうがない。


ドームへ入ると、想像以上にセットがすごい。

『あっ、メガネ忘れた』

「うそっ。バカねー。もったいない。あたしなら死ぬわ」

『そんな大げさな』

その時、曲が流れ始めた。

コンサートが始まったのだ。

そのとたん全員総立ち。私も無理やり立たされた。

メガネがないからぼやけて顔が見えなかった。だけど、ハイタッチした。


「帰りたくないよー」

泣きながら愚図る愛美を連れて、ドームをあとにした。

『ハイタッチしたし、いいじゃない』

「そう!珍しいわー。梨子は運がいいわ。kiss-jはあんまりボディータッチしないのに」

愛美はもう泣き止んでいた。





              つづく




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