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玉の主
「慶鈴、次が選ばれた」
そう、水辺に座っていたところに声をかけてきた稜威葉をちらりと振り返って水面に手を滑らせた。
水面に楽し気な二人の少女が映し出される。
「……まだ、幼いわ」
身を乗り出すと、帯から下がった色のない二色の玉がぶつかってリンと透き通った音を立てた。
「慶鈴は、うれしくない?」
稜威葉は訳が分からないという顔をしている。
私は少し首を振る。
水の中にそっと手を入れて、いつくしむように撫でた。
「うれしいわ。ええ、とても」
それだけをつぶやくと、立ち上がって水辺から離れた。
稜威葉は追いかけてこない。
一人になって、深く息を吐いた。
「わたくしの番なのね」
もう何年ここにいるのかわからない。
それを望んだわけではないけれど、後悔はしていない。
「ようやくよ。
ようやく、あなたのもとに行くことができるわ」
昔を思い返して微笑む。
扉の向こうで稜威葉はうつむいた。
「たとえ忘れてしまっても、世界はきちんと覚えている」
だから、決して逃げられない。
次を選ぶのは、稜威葉ではないから。
そうして、また少女が選ばれる。




