息子
アレン・ウィリアム12歳。
一週間前に成人の儀を終えて、生まれた時からいつも一緒にいた幼馴染み二人と冒険者になるため村を出るところだ。
「アレン、準備はできたか?」
声をかけてきたのは身長が180cm筋肉隆々な僕の父さん、ガレス・ウィリアム。
「忘れ物はない?寂しくなってきたらいつでも帰ってきて良いからね。」
穏やかな表情で話しかけてきてくれたのは綺麗な銀髪の母親、リリス・ウィリアム。
「母さん、アレンも成人し立派な男子だ、もうそろそろ俺たちも子離れの時期だろう」
「あなたは黙って、成人してようが世界で唯一の可愛い息子なのは変わらないのよ、大事に決まっているじゃない」
「それはそうだが、、、」
父さんと母さんがいつもどうり仲良く夫婦喧嘩みたいな恒例行事をしている様子を見て、少し、いやかなり外に出るのが寂しくなりもう少し居たいなという思いがふつふつと心の中に出てきてしまった。小さい頃からの三人の夢だというのに。
「アレン聞いているの!?」「聞いているのか、アレン!!!」
「聞いているよ、父さん母さん、心配してくれてありがとうでも大丈夫だよ、一人で村を出るわけじゃないしね!!」
「それもそうだな」
「父さんから言うことは特にないが母さんから言うことは何かあるか?」
「そうね、出発前の息子にくどくどあまり言いたくないから一つだけ言うわね」
「ご飯は好き嫌いなく食べること、早寝早起きをすること、お金の管理はきちんとすること、嘘はつかない事、変な女の人に騙されない事、人の話をすぐ鵜呑みにしない事、、、、、、」
一個と言っていたので正直油断していた。一個だけ言わせてね。と言い母さんが一個だけで止まったことなんてあっただろうか、少し後悔してきた、そんなことを思っていた矢先に母さんがいきなり抱きついてきた。
「最後に一つ、あなたの家はここなのだからいつでも帰ってきて良いのよ。」
その一言で今まで我慢していたものが決壊しそうになり、涙が少し出てきてしまった。
「母さんありがとう、でも残念なことに当分帰る予定はないよ!!」
そう言い抱きつかれている状態が少し恥ずかしくなってきたので離れ
「じゃあ行ってくるね。二人も待っているし、父さん母さんまたね!!!!」
そう言い残し玄関から飛び出そうとしたときに
「待つんだ、アレン。」
珍しく父さんから呼びかけられ、何事だと思い父さんの方を見たら神妙な顔をして右手に包装された小さな手紙を持っていた。
「これを持って行きなさい。次の街で必ず必要になるだろう。」
一瞬これはなんだろうと思ったが今から冒険に出ると言う高揚感が湧き出てすぐに気にならなくなり、鞄の奥底にしまい旅立ちの挨拶をした。
「わかったよ、ありがとう。じゃあ今度こそ行ってくるね。」
そう言い家を出た後に振り向くと、両親がこちらを見ていたので心配させない様に笑顔で手を振った。それに気づいた母さんが手を振り替えしながら
「気をつけるのよーーー!!!!!」
とそんな声が風に乗って聞こえてきた。ありがとうと心の中で返し、前を見て待ち合わせ場に向かって脱兎の如く走り出した。
アレンが見えなくなり、アレンの母リリスが難しい顔をして独り言のように
「何事もないと良いのだけど。」
と空に向かい呟いた。それを聞いていた父ガレスが少し黙り込み家の中に入ると同時に
「母さん、アレンは俺たちの子供だ、大丈夫だろう。」
心配をほぐすようにそう言うと少しだが険しかった顔の表情が緩和された。
「あなたもたまには良いこと言うじゃない、そうね私たちの子供だもの、大丈夫に決まっているわ。そうと分かれば朝ごはんにしましょう。お父さん何が良い?」
そう安堵した表情で言うリリスに対して、ガレスはこう答えた。
「いつもと同じ、パンの上に軽く焼いたベーコンを載せるやつで頼む!」
「わかったわ、椅子に座って待っていてね。」




