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戦場からスタート
悪役の下っ端。
漫画やアニメでは、だいたい最初にやられる存在だ。
主人公の強さを見せるために吹き飛ばされる。
敵の恐ろしさを演出するために倒される。
名前すら呼ばれないことも珍しくない。
……でも。
あれって、本当に死んでるのか?
「帰りたい……」
怪物の咆哮。
爆発音。
仲間たちの怒号。
そんな騒音が飛び交う戦場の中で、俺は心の底からそう思っていた。
帰りたい。
今すぐ帰りたい。
でも。
帰る場所なんて、もう存在しない。
逃げ場もない。
というか、正直に言えば――
帰りたいを通り越して、泣きたい。
少し前まで、俺は日本で普通に暮らしていた。
戦いなんて無縁の、平和な国で。
大学に通って。
友達とくだらない話をして。
特別なことなんて何もない、普通の日常を送っていた。
……それなのに。
気がつけば俺は、怪物が徘徊する世界の戦場に立っていた。
理由?
知らない。
俺にも分からない。
ただ、一つだけ分かっていることがある。
俺は――
大人気ファンタジーBL漫画『リターン』の世界に転生していた。
しかも。
主人公でもない。
重要キャラでもない。
ましてや、人気キャラでもない。
俺が転生したのは――
物語の序盤であっさり倒される。
悪役の下っ端だった。




