鬼人達の宴朱 第八章 九尾の狐
今回は第八章です。始めはDエンドと一緒です。
もうそれだけです。以上。
誤字、脱字があったらすみません。
翼は夜に眠るといつもの夢とは違う感じしていた。
護や勇吹がいて、闇の中で九尾の狐に逢う。 九尾の狐の姿は赤色の髪と赤色の目をした翼と似た顔だった。
彼女は無秩序な世界を望んでいた。人間が欲望で道を外して生きる姿がゴミの様で楽しいと言った。
人が苦しむ姿を喜ぶのだ。
だが、大切な人がいる。翼は負けられなかった。
「流石に九尾の狐のいろんな悪事を聞いた事があるけど、私は普通に暮らしたいの。私から溢れる黒いオーラ、いいえ、あなたを退ける。」
「はははっ!流石に半身!威勢は良いのっ!やってみるが良い!」
九尾の尻尾が大きくなる。護と勇吹は刀を握った。
「尻尾をどうにかしないとね。隙が出来たら尻尾を狙って。」
「分かった!」
九尾の狐が尻尾で攻撃してくる。それを避けて刀を振るが全く効いていない。
「護!勇吹!善鬼化させる!二人で狙いなさい!」
「オォオオオッ!」
護、勇吹が体の筋肉を膨張させながら善鬼化した。 そして二人で九尾の狐の尻尾を攻撃した。だが、やはり無傷である。
「…攻撃が…効いていない。」
「…当たり前だろう。お前より長く生きておる。その鬼達よりな。」
護と勇吹に黒い波動を放つと二人は体を包み込まれて動けなくなった。
「ウァアアアッ!」
護と勇吹が苦しそうにした。
「終わりだな。市村翼。闇に飲まれると良い。」
翼の体は黒いオーラに包まれてしまった。
「…嘘。何も聞こえない。…私、負けた?」
翼は膝を付いた。
「…翼。負けたの?」
不意に結花の声が聞こえた。
結花がぼんやりといる気がした。
「…結花?」
「…ねぇ、翼が負けたら、護と勇吹はどうなるの?」
うっすらと護と勇吹が黒いオーラに飲まれるのが見えた。
「護と勇吹が!死んじゃう!…お願い!どうしたらいいの!」
「翼。今、翼には鬼の力があるの。どうしたらいいか、鬼の石に聞いたら?」
翼は鬼の石を取り出して、必死に願った。
「…お願いします!護と勇吹を助ける力を下さい!」
石が輝くと結花の姿が変わる。それは九尾の尻尾を持つ椿だった。
「…私は椿。昔、亡くなり、長い年月が経って、私は九尾の狐になった。あの黒いオーラの狐と反対の狐。あなたは、私では無い。でも、あなたが旭日や岩愧の生まれ変わりである勇吹や護を大切にする気持ちは受け取った。だから、私の力を託しましょう。闇の石。黒きものに立ち向かう力。」
「…分かりました。あなたの力を頂きます。ありがとう。椿。」
翼は椿から闇の石を受け取った。
翼を覆う黒いオーラが勢いよく動いた。そして、護や勇吹を覆う黒い波動も翼の方に向かった。
「な…何が起こった!私の闇が吸収される!」
闇の力が全て吸い込まれると九尾の尻尾を持つ翼が現れた。
「…つ…翼!」
「お前っ!その姿っ!」
「…私ね。薄々気がついていた。椿の記憶を見たけど、私が椿とは感じていなかった。…でも、護や勇吹が好き。大切な二人を守りたい気持ちが私を九尾の狐にした。…だから、私がお前から二人を守る!」
翼が勢いよく衝撃波を黒い九尾の狐に向かって放つ。なんとか相手は防ぐが、後ろに退けられた。
「…くっ!…っ!…こ…この気はっ!」
黒い九尾の狐の上に雷が落ちた。
「おーい!翼!」
「市村さん!」
そこには黒鬼の達弥に抱えられた結花と紫織がいて、遠くには天津が見えた。
「…結花!紫織さん!なんでここに!」
「翼が頑張ったから悪い九尾の狐の結界!壊れたよ!」
「ふふっ。一人で無理させません。…さてと、弱点は尻尾ね。
相手は警戒しているから尻尾を一本ずつしか壊せない。私と結花さん、達弥で攻撃して尻尾を一本ずつ出させるから、市村さんは闇の力で尻尾の闇のオーラを吸収して、光の術で切断して。達弥!気持ちが高まってるでしょ!善鬼化しなさい!」
「オォオオオッ!」
達弥は善鬼化して掌を黒い九尾の狐に向けた。
「おのれっ!おのれっ!人間と鬼共めっ!」
達弥が立ち向かうと黒い九尾の狐は尻尾を放った。そこを紫織と結花が輝く石を持って尻尾に波動を放つ。結花も天津から輝く石を貰ったのだろう。
「流石に尻尾を痺れさせる位しか出来ないか!市村さん!今よ!」
翼が掌を向けると尻尾が一本切れた。
「勇吹!いけるか!俺達も行くぞ!」
「おうっ!」
「…私も力を貸そう!…オォオオオッ!」
天津も善鬼化して黒い九尾の狐に立ち向かった。
ただ、天津の力でも黒い九尾の狐の尻尾が無傷なので余程強いのだろう。
それでも少しずつ尻尾が減り、全て切れた。
「…っ!うぁああああっ!」
黒い九尾の狐は最後の力を振り絞って黒い塊になった。
「…っ!流石に何も出来ないなっ!…だが逃がさぬぞっ!」
天津が光の術で黒い九尾の狐を縛った。
「市村さん!後少しだ!俺と五十嵐さんと火爪さんに闇に立ち向かう力と光の力を送ってくれ!」
「はい!」
「…うぉおおおおっ!」
三人が黒い塊に突っ込むと塊は破裂した。黒い九尾の狐は三人の拳を受けると体が崩れていった。
「…くっ!…ち…違う。…消滅するのは…お…ま…え…」
「…私は、皆の為に死ねない。さようなら。」
黒い九尾の狐は翼に腕を伸ばして塵になった。
「…終わった?」
「やったね!翼!悪い狐倒したよ!」
結花が翼に抱きついて言った。
「…おっと。九尾を倒したからこの空間が崩れそうだ。続きは現実世界でしよう。」
「天津さん!じゃあ約束!結花に逢って!」
「…あー。ははっ。人間の町は苦手なんだが、まあ約束は守ろう。」
結花、紫織、達弥は天津の力で消えた。元の世界に戻ったのだろう。
四人になった所でまた椿が現れた。
「あっ…。」
「…椿。」
護と勇吹が言った。
「…岩愧、旭日。…今は護、勇吹ね。九尾の狐がいなくなり、私の魂もやっと天に帰れます。私が亡くなった後に二人が亡くなった事が心残りだった。私がいなくなると悲しくなるでしょう。それでも、私の分も生きて欲しい。それを伝えたかった。忘れないで下さい。」
「…はい。椿。」
「…忘れないよ。椿。」
護と勇吹の頬を涙が流れた。椿はそう言うと頭を下げて、光になって空に登っていった。
「…さあ、元の世界に帰ろう。」
目覚ましの音で紫織は目を覚ました。隣には達弥がいて、目を覚ました。
「…おはよう。紫織。」
「…おはよう。達弥。…何だか夢を見ていた気分。」
「ははっ。確かにな。だが、紫織が泣いている中村さんを慰める未来が少し見えたが、良い未来になりそうだ。」
「…。そうね。人が亡くなるのは、慣れない。…緑茶でも飲む?」
「あー。俺が煎れる。しかし、天津様も今度は大変だぞ。中村さんと逢う約束したからな。」
「ふふっ。半分照れていた。鬼が好きな人間大好きだから。」
翼は目を覚ました。いつもの部屋。違うのは闇の石がある事。椿が渡した石だから大切にしなければ。
グループチャットが来た。
「おはよう!昨日はビックリしたけど、私も輝く石を持ってるよ!元気になったら皆でご飯食べに行こう!」
「おはよう。昨日はお疲れ様。…結花がいないと寂しいから早めに戻って来て欲しいな。」
「護は淋しがり屋だな。でも、皆無事で良かった。…翼は起きているかな?」
「…おはよう。私は生きてるよ。皆、ありがとう。今日は帰りに結花の所に皆で行こうね。」
翼はメールすると朝御飯を食べて、大学に向かった。
その日の夕方、結花が病院の前に待っていると鬼の姿の護と勇吹が飛んで現れた。
「…あれ?翼がいない?バス?歩き?」
「…いや、あそこ。」
勇吹が指差す場所に何か茶色の塊が見えた。九尾の狐の姿の翼だった。
「ヤバい!飛んでる!凄い!」
「気を付けないと電線に当たりそうになるみたいでさ。使いにくいって言ってたよ。」
翼が結花の前に降りるが、あまり機嫌が良くない。
「…これ、電車代どうにかなると思ったけど、広い所しか使えないし、少しお尻出ちゃう。結花。元気?狐よ。」
翼は尻尾を結花に振りながら言った。
「ヤバい!尻尾フサフサ!」
「…マダニやノミに気を付けないとね。」
四人の結界に紫織や達弥が入って来た。
「…へぇ。市村さん、九尾デビューしたのね。でも、人間に見つからないようにね。」
「中村さんは明日の朝に帰宅予定だ。ご両親は喜んでいたけど、火爪さんのお父さんは驚いていたよ。ちょっとストレスになるから暗示かけた。すまん。」
「…いえ、って言うか!結花!お前天津さんの石使いまくってるだろ!光ってるぞ!」
「…ばれた?光の回復の術最高!」
結花はどうやら光の術を自分に使っているようだ。まあ、使うよね。
「…達弥さん、紫織さん。昨日はありがとうございます。結花もありがとう。」
「いいのよ。あなたがいないと皆悲しむから。…自分を大切にしなさい。」
「…君がいないと紫織も悲しむからな。また何かあれば頼ってくれ。」
「…そろそろ、皆帰る時間かな?明日も少し大学は休む。また今度ね!護は明日まで我慢してね!」
「うん。我慢する。またね。」
少し暗くなる中、紫織、達弥、結花は帰った。
翼は護、勇吹と自宅前の駅の広場にいた。
「…ここから始まったんだよね。いろいろあって。…今なら心残りが無くせる気がしてさ。」
「…え?何?翼?」
「…あ、もしかして美佳っ子?」
「…うん。まあ失敗したらいけないから、付き合って。暗示、かける。」
今なら神隠しにあった美佳を戻せそうだった。時空の狭間に黒いものを感じる。これだろう。目の前に美佳がいきなり現れた。
「…久しぶり。美佳。あなたは口が悪いから話さないで聞いて。あなたは神隠しにあったから、助けた。但し、助けた代償を貰う。私や護、勇吹、結花に近づかない。手を出す人間を退ける。これを守る。理解したら、返事をしなさい。」
「…分かりました。」
美佳はふらふらと歩きながら帰った。
「…っ!あー!疲れた!これで普通に生活出来る!」
「…翼は気にしていたからな。」
「…うん。…そういえばさ、翼は俺と勇吹、どっちが好きなの?」
護が言って、翼はハッとする。勇吹も翼を見た。
(言ってた。そんな事。)
「あっ、あははっ。二人共、好きだよ。」
「…翼、たぶん、護はその意味で聞いてないんじゃない?」
勇吹も刺さる言葉を言った。
二人は翼に近づく。
「…えー。…」
翼の答えは…。
たぶん、最後は「あー…」となる最後です。予定はエンド二つは未来に移り、一つは鬼人達の宴蒼に繋がります。
次回に続け。




