第15話
はいは~い、一週間ぶりの作者です。
調子はいかがでしょうか?
作者は‥まぁまぁ元気です。
「さてさて、結構な数スライムコアが集まったからそろそろ街に戻っても良い頃合いね。」
「どのくらいお金貰えるんですかね~‥」
どうだろう‥宿屋の宿泊代が何日分かもらえれば助かるのだけれど。
初期の初期の依頼だからあんまり報酬は期待しないほうがよさそうね。
「あとギルドに戻ったらスラちゃんの使い魔登録もしないといけないわね。」
「服従契約でも使い魔登録って必要なんですか?」
「そりゃあ一応この子だってれっきとした魔物だもの登録してあげないと、街のいろんなお店に一緒に入れなくなっちゃうわよ?」
使い魔登録されていない魔物は街のいろいろな施設やお店に入るときに制限がかかってしまう。
確か宿屋にも一緒に入れないはず。
「ゴシュジン、イッショジャナイ、ボクコマル。」
と、ミラの腕に抱かれているスラちゃんがしゃべった。
ゴブリンを吸収したおかげかある程度の知性も身につけているらしい。
「私も困りますっ!!絶対使い魔登録しましょうねっ」
ぎゅ~っとまん丸スラちゃんボディーの形が変わるくらいミラは強くスラちゃんを抱きしめる。
抱きしめられているスラちゃんも心なしか嬉しそう。
もうレベルも99になって進化もしてステータスが圧倒的に高くなっているから、ミラに全力で抱きしめられても全然余裕そうだ。
「さっ‥ってじゃあ帰りましょっか。」
「はいっ!!」
「カエルッ!!」
そして私たちは依頼の官僚の報告と、スラちゃんの使い魔登録をするために街への帰路についた。
その途中‥
「けっへっへ‥よくねぇなぁ~こんなとこを護衛もなしに姉ちゃんたち二人で歩いてたらよぉ~」
「お頭ぁ~売る前に俺らで遊んじまいましょ~よ」
私達は5人の野盗に囲まれていた。
運悪く彼らの目に留まってしまったらしい。
まぁ武器も装備してなかったしね‥ただの旅人だと思ってやれると思ったんでしょ。
あいにくこっちはちゃんとすぐに武装もできるのだけれど‥
「お、お姉様‥ど、どうするんですか?」
ふるふると震えながらミラが私に問いかけてくる。
「そんなの決まってるじゃない‥」
私はにっこりとミラに笑いかけながらアイテムボックスから剣を取り出した。
「っな!!この女武装してやがったのか!!」
「なぁにビビるこたぁねぇよ。ただのコケ脅しだ。それによーくあの剣を見てみやがれ、どうだ?高く売れそうじゃねぇか?」
驚く野盗の肩にポンと手を乗せ、下卑た笑みで鼓舞をするリーダー格らしき男‥
無駄についた筋肉を見るに恐らくパワータイプ、あの体じゃ動体視力はあっても体がついてこないわね。
なら‥油断している今が好機。
私は気取られないように左手の親指で軽く剣を鞘から抜いた。そして一つ息を吐きだし全身の力を脱力する。
「ふぅ~‥‥音斬りッ!!」
以前この技を使った時の数倍の速さで剣が鞘から抜かれ、目でとらえられないほどのスピードで野盗のリーダー格らしき男の首を通り抜けて鞘へと再び収まった。
「あ?」
ぽかんとした表情を浮かべる野盗のリーダー。
その首に一本の赤い筋が入りそこから徐々に血があふれ始める。
そして、ずるりと音をたてて首が地面に落下し切断面から大量の血しぶきが上がった。
「お、おかし‥」
「よそ見かしら?ずいぶん余裕ね。」
「っな!!」
リーダー格の隣にいた男の首も私は躊躇なく剣ではねた。
返り血を浴びないようにすぐに私は一歩飛びのき剣に付着した血を払う。
これで残るは三人。
集中を切らさぬまま残った三人の方へと目を向けると‥
「ふぇ~‥スラちゃんその人たち美味しいんですか?」
「オイ‥シクナイ‥デモ、ゴシュジンノヤクニタチタイカラガマン。」
残った三人の野盗は体積が大きくなったスラちゃんの体内でもがき苦しんでいた。
それもそのはずで、体がじわじわと溶かされているのだ。
正直目を覆いたくなるような光景だ。
そしてスラちゃんの体内に捕らわれていた野盗たちは数分すると完全に溶けて無くなり、スラちゃんも元の大きさに戻った。
「こう‥すっごくグロテスクな光景だったわね。」
「スラちゃん‥お腹壊したりしてませんか?」
ミラはスラちゃんを抱き上げてそう問いかけた。
「だいじょうぶっ!!」
すると少し流暢な私たちの言葉で言った。
さっきの野盗達を吸収して更に知性が上がったから言葉も流暢になったのだろう。
「こっちの二人も食べる?」
「もうじゅうぶんっ。いらない」
「そう、ならこの二人は首をギルドに持っていこうかしら。」
「うえっ‥お姉様それをギルドまで持っていくんですか?」
とても嫌な顔をしながらミラが私に問いかける。
「お金になるかもしれないからね。もしギルドとかで手配書が出てればの話だけど‥」
そんなに強くなかったし、それほどお金がもらえるとは思えないけど‥少しでも生活の足しになれば助かるわね。
私は手袋をはめて、首を切り落とした野盗の首をアイテムボックスへと仕舞った。
「これでよしっと、さてそれじゃ気を取り直して帰りましょ?」
「はいっ!!」
野盗に襲われるという思わぬハプニングはあったけれど‥まぁまぁ何事も無くてよかったわ。
今度は襲われないように私は腰に剣を差しながら街へと続く街道を進むのだった。
そしてそれからは何事もなく、無事ギルドに到着することができた。
私はスラちゃんを抱えたミラと依頼の報告等々をするために受け付けに向かう。すると、私達の冒険者登録の時に担当してくれた人が再び私達を担当してくれるらしい。
「あの、依頼の完了報告と使い魔登録をしたいのだけど‥」
「えっ?つ、使い魔登録‥ですか?アリシアさんとミラさんは‥テイマーじゃないですよね?」
テイマーじゃない人間の使い魔登録の申請に戸惑っている様子だ。まぁ‥これが普通の反応よね。
「いろいろあってこのスライムと服従契約を結んじゃったのよ。」
「ふ、服従契約ですか!?これはまた‥珍しいですね‥わ、わかりました。えっと‥そちらのスライムの種族はブルースライムであってますよね?」
「えぇ、大丈夫よ。」
本当はオリジンスライムとかいう種族らしいけど‥ここではブルースライムで通しておく。
面倒事を避けるためだ。
「それでは‥え~、こちらの水晶に契約を交わしたスライムと一緒に触れていただけますか?」
「わかったわ。」
私は差し出された水晶にスラちゃんと共に触れた。
すると水晶が赤く光り始める。
「はい、もう大丈夫ですよ。しっかりと服従契約が結ばれているのを確認しました。では、次にこちらの紙の上に手を置いて魔力を込めていただけますか?」
私は受付嬢に促されるがまま変な紋様が描いてある紙の上に手を置き、魔力を込めた。
すると、何かが私の手に流れ込んできたのを感じる。
「何か流れ込んできたのがわかりましたか?」
「えぇ、感じるわ。」
「ではその手をスライムにくっつけてください。」
そしてスラちゃんの体に触れると‥スラちゃんの体に小さく先程の紙に描いてあった紋様が浮かび上がる。
「はいっ、これで使い魔登録はおしまいです。お疲れさまでした。」
「ありがとう、じゃあ次は受けた依頼の報告なんだけど‥」
「スライムコアの納品依頼ですね?では、数を確認いたしますので一度スライムコアを見せていただけますか?」
「あ‥ここに?」
「はいっ。」
「‥‥ここの台の上にはとてもじゃないけど乗りきらないわ。」
だってとんでもない量あるんだもの‥
次回スライムコアの査定と野盗討伐報酬‥
お楽しみに
それでは来週のこの時間にまた、お会いしましょ~




