第58話 救出作戦
武装した男達に両手を縛られ、ハル達3人は、店員や他の客と共に店内の隅へ追いやられていた。
「怪しい動きをしたら容赦なく撃つからな!」
「ひぃっ!」
一般市民に容赦なく銃口を向けながら、武装した男達は店内に飾られている装飾品を奪い取っていく。
「……どうする」
あくまでも目立たないように、3人は作戦会議を始める。
店内を歩き回る下っ端は5人、奥の部屋へ入ったのはリーダー格の男含め4人。
狭い店内で、9人もの男を相手しなければならない状況に、ハルは歯噛みする。
「ゴーレムでぶん殴るか」
「アホ。そんな事したら店が崩れる」
アルフの極端な結論に、ドレットが冷静に指摘する。
舌打ちをしながら、ドレットの指摘を飲み込んだアルフを見て、ハルは提案する。
「お前、精神操作使えるだろ」
「あ? 俺以外の全員がダウンするが、いいのか?」
アルフの精神操作は無差別攻撃であり、下手に打ち出せば奥の部屋にいるティアナ達にも被害が出る。
その上、敵がどのような対策を取っているか分からない以上、無駄撃ちになる可能性が高い。
「却下」
「だよな」
アルフを横目で見ながら、ドレットは冷静に否定する。
分かり切った返しに、アルフは大きく溜め息を吐く。
「なら、どうする」
三人はあくまで冷静に、それでいて迅速に行動へ移る為、己の知恵を振り絞る。
ふと、ハルはドレットへ視線を送る。
「瞬間移動は?」
「……あんまり目立った行動すると減給なんだよ」
「生徒と給料を天秤にかけてんじゃねぇ」
顔を背けながら答えるドレットを、ハルとアルフはギロリ、と睨みつける。
「話を聞けバカ共」
2人の視線に肩を竦めながら、ドレットは言葉を紡ぐ。
「移動したとしても、そこからどうする。3人同時にいなくなれば、途端に騒ぎになる」
チラリ、とアルフを見ながら尋ねるドレットに、2人は口を閉ざす。
予想通りの反応に、ドレットはもう一度口を開く。
「アルフ、お前のゴーレムは、上半身だけ出せないのか?」
敵の行動を観察しながら、ドレットはアルフに問う。
その言葉に、アルフは当然のように返した。
「できるが?」
「じゃあなんでさっき納得したんだ」
アルフの生成するゴーレムは、全身で3メートル。
上半身、もしくは下半身だけなら1,5メートルほどになる。
半身だけで動かせるのなら、なんら問題の無い事柄に、一度納得して切り札を仕舞い込んだアルフにドレットは呆れる。
「あ゛? あー……、まぁ、使えるんだが」
「なんだよ」
言葉を途切れさせるアルフに、ハルは不審そうに顔を歪める。
「上半身しかねぇから、その場から動けねぇぞ?」
「まぁ、予想はしてた」
ハルを見下ろして告げるアルフの言葉に、ドレットはもう一度、大きく溜め息を吐く。
ガクリ、と落ち込む2人を不思議そうに眺めた後、アルフは改めてハルを見下ろす。
「お前の蔦で、アイツらの動きとめれねぇのかよ」
「……あ」




