第47話 出番
「……っ!!」
テレサは元の顔色を取り戻し、むしろ頬を赤く染め上げ、涙を瞳に溜め言葉を詰まらせる。
ドレットはフィールド上で喜び合い、会場中の歓声を受ける3人を眺め、大きく溜め息を吐いた。
「先生……!」
「あぁ、あいつら、やりやがったな」
温かい涙を流し、自分の袖を引っ張るテレサに、ドレットは優しく微笑む。
そんな笑顔と言葉に、テレサは更に涙を溢れさせた。
「……ここからは、先生の出番、ですね」
溢れる涙を拭いながら、テレサはドレットに微笑みかける。
それを見てもう一度溜め息を吐くドレットは、困った様に笑う。
「あいつら、絶対驚くぞ」
「それが狙いじゃないですか」
面白がるように笑うテレサに、ドレットは頭を掻きながら、フィールドへ向け歩き出した。
フィールド上で勝利の喜びに浸っていた3人は、東ゲートから突然現れたドレットに困惑する。
「……なんでいんの?」
「お前らの、対戦相手だからだ」
ニヤリ、と口角を上げて嗤うドレットに、3人は唖然とする。
そこへすかさず司会が声を上げた。
「おぉ~っと!! ここで、魔術格闘祭実行委員会総括であるドレット先生の乱入だー!! ここで1、2年混合チームがドレット先生に勝利できなければ、優勝は取り消しになります!!」
「……は?」
司会の言葉に、3人は混乱しながらドレットを見る。
事実だ、と頷く実行委員会総括に、3人眼を見開いて驚愕した。
「「「はあぁぁああ!!??」」」
「というかあんた、総括だったの!?」
腹の底から不満を込めた声を吐き出す3人は、ドレットに抗議する様に言葉を投げ続ける。
「そうだぞー。じゃなけりゃ、ルール変更に反則無視なんてできるわけないだろ」
「理不尽過ぎません!?」
「俺がルールだ」
いつもの力ない声に、少しだけ楽しそうに抑揚をつけ、ドレットが言い切った。
それでもまだ納得のできない3人に、司会は現実を突きつける。
「特別試合は今から5分間で行います!! 制限時間内でドレット先生から1人でも逃げ切ることができれば優勝となります!! しかし、全員捕まり、場外へ放り出されれば、優勝は取り消しとなります!!!」
「拒否権は!!!!」
「ありません!!!!」
理不尽なルールを押し付ける司会に、ハルは大声で問うが、返ってきた答えもまた、理不尽なものであった。
「まぁ、そういうことだ。諦めろー」
「できるか!!」
逃げ場をなくされても尚抗議し続ける3人に、ドレットは大きく溜め息を吐き、指を3本立てて見せる。
「制限時間を3分にしてやる。お前らは1人につき1分以上逃げ回ればいい。簡単だろ?」
嘲るように笑うドレットに、3人の頭に血が上る。
こんなこともできないのか?、とでも言いたいかのように3人を見下すドレットの目を睨みつけ、吠えた。
「「「やってやる!!!」」」
食いついた3人にニヤリ、と嗤うドレットは、肩の力を抜き、深呼吸を1つする。
「それでは!!制限時間を3分に変更し、特別試合スタートです!!!!」




