第34話 干渉の干渉
「「我の導に従い、その力を示せ!」」
開幕と同時に、アルフとハルの魔術発動を告げる声が響き渡る。
途端、格闘場は大きく揺れ、フィールドに大きく亀裂が走るハル達の足元にまで及ぶ亀裂の隙間から、突如蔦が発生し、3人を掬い上げ、土台を作り上げた。
(相手の連続魔術を決める為に重要なこと、それは相手の足場を崩すこと! なら俺の魔術で土台さえ作ってやれば、あとは……!)
「ティアナ!!」
地震から解放された3人は、その先にいるであろうアルフを見据える。
ハルはティアナへ振り返り、叫ぶ。
「全知全能の神、ゼウス!!!」
「「我の導に従い、その力を示せ!」」
ティアナがハルの言葉に答えるように魔術を発動した時、アルフ等もまた魔術を発動する。
土煙の舞い、轟音の響き渡る格闘場では、アルフ等の連続詠唱が客席まで聞こえることはなく、故に衝撃だけで対戦相手を全滅させていると思い込ませることができた。
魔術発動に伴い、フィールド全体を透明なシールドが覆う。
アルフの体は鈍く光り、彼の身体には魔力が流れ込む。
幼馴染から魔力を受け取ったアルフは、ギラリ、と眼を光らせ、魔術を発動した。
「我の導に従い、その力を示せ!」
低く、恐ろしい声が響き渡る時、フィールド上の選手を強い圧力が襲った。
アルフの魔術は、対象相手に強制的に船酔いと同じ感覚を味わわせることで、あまりの苦痛に立っていることが困難になり、気絶へ導くものである。
「……ッ!!」
強力な魔術にティアナは顔を歪め、後ろへ倒れ込みそうになる。
ふらつくティアナの体を、後ろからハルとレイがしっかりと支えた。
「アルフ選手の十八番、決まったか!!??」
視界の遮られるフィールドを眺め、司会は叫ぶ。
会場はざわめき、視界が開けるのを待ち望む。
「我の導に従い、その力を示せ! 天舞鳳凰!!」
そこに、レイの魔術を告げる声が響き渡った。
格闘場全体を飛び回る鳳凰は、土煙を舞い上げ、隠されていたフィールドの全容を露わにさせた。
「な、なんと!! 立っています!! 1、2年混合チーム、全員無事です!! 初めて、アルフ選手の十八番を打ち破る選手が現れました!!!」
司会の声に、会場が湧き上がる。
蔦は、静かに3人をフィールドへ戻し、地中へ還った。
(精神干渉なんてもん、防ぐには幾つか手があるが、俺達はティアナに頼るしかねぇ。ティアナの神降ろしを応用すれば、どんな魔術でも完全封殺できる。だが……)
誰もが知る大神の力を借りるということは、それだけ魔力を消耗することに等しい。
ハルはチラリ、とティアナを見るが、彼女は真っ直ぐアルフを睨みつけていた。
その姿を見て、ニヤリ、と口角を上げた後、ハルもまたアルフを睨みつける。
アルフは立ち続ける3人の姿を睨み、そして纏う空気をさらに威圧的なものへと変化させ、妖しく嗤った。
「……面白れぇ」




