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魔法剣士ガイア  作者: ふぉるて
第1章「真言」
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1─XI

 アスナがアズライト鉱石を切り出す為に下へと降り、ガイアはその様子を上から見守る。

 やがて、アスナが地に足を付けた事を確認すると、ガイアは警戒を強める。

 アスナが結晶の切り出しを開始し、のこぎりの擦れる音が静かに響き渡る。

 そんな中、ガイアは静かにアストリッドとの会話を思い出していた。



『……アスナは、"もう一度だけでいいから、師匠に会いたい"と言っていました』


『そうかい……。まあ……、出来ないことは無いよ』


『え……、本当ですか?』


『ああ。……ただし、どうしても足りない物がある。

明日の昼前には依頼として出せるだろうから、アンタはアスナと二人でそれを採ってきてくれるかい?』


『……分かりました』



 その会話は、一見すると特に変なところは見受けられない。

 依頼主の研究者と、それを引き受ける冒険者の構図だ。

 しかし、ガイアは何かが引っ掛かっているような気がしてならなかった。

 だが、それが何なのかは見当も付かない。

 ただの気のせいという可能性も捨てきれなかった為、結局ガイアはそれについて考える事を止め、尚も切り出しを続けているアスナの方へと視線を向ける。

 そして、なんとなくアズライト鉱石の必要性がどこにあるのか気になったガイアは、再び鉱石のステータス情報を表示する。

 しかし、そこに書かれていたのは、驚きの内容であった。



◎アズライト鉱石

別名:蒼天石

平均価格:1g/5700G

青空のような深い水色の輝きを放つ鉱石。

とある魔物が特定の条件を満たすと、その場所に生成される。



「くぁwせdrftgyふじこlp!?」


 その表記を見たガイアは、空の上に浮かぶ島の雷神の驚き顔にも引けを取らないレベルの顔芸を晒しながら、意味の無い言葉の悲鳴を上げてしまっていた。


「え!? ちょ、何!? どうしたの!?」


 そして、ガイアの変な悲鳴を聞いてしまったアスナもそれに驚き、即座に背中の槍へと手を伸ばす。

 しかし、ガイアが変な声を上げてしまったのは無理もない話である。

 何せ、アズライト鉱石の価値はガイアが元いた世界の金の倍近くあったのだから、そうなってしまうのも分からなくは無い。


「ごっ、ごめん! 何でも無い! ちょっと驚いただけだから!!」


「そ、そう……?」


 ガイアのその言葉を聞いて、アスナは切り出しを再開する。

 ガイアは手のひらに「人」と三回書いて飲み込み、深呼吸を繰り返すことでどうにか無理矢理にでも落ち着こうとする。


 そして──完全に落ち着くのと同時に、ガイアの耳は坑道の奥から聞こえてくる羽音を捉えていた。

 ガイアはすぐに気持ちを切り替え、背中の鞘から得物を抜き放つ。

 柄を両手で握って正面に構え、臨戦態勢を取ったガイア。

 そして、暗がりに怪しく光る目が二つ、照明に照らされてその姿を露わにする。


(っ!? デカい……!)


 それは、先程までの個体よりも倍近い全長を持った、シロバットの上位種──ホワイトバットであった。

 恐らく、この坑道に住み着いている群れのリーダー格なのだろう。

 片手半剣に微かに残った仲間の血の臭いを察知したからだろうか。ホワイトバットは耳障りな鳴き声を上げ、一気にガイアに肉薄する。

 ガイアは身体を捻って突進を避け、その足の爪が髪の毛を掠めるだけに留まる。

 ガイアは振り向きざまに「火球(プロミー)」を発動し、拳銃を模した右手の人差し指と中指の先から炎の球体が生成され、それがホワイトバット目掛けて発射される。

 しかし、ホワイトバットは僅かに身体の角度を変えただけで火球をかわし、その鋭い牙をちらつかせながら再び突進する。

 ガイアは剣を横一文字に振って斬り払うが、ホワイトバットはその身を(ひるがえ)し、その攻撃をスレスレで回避する。


(くそ、速い……!)


 そんな事が何度も続き、苛立ちが募ったガイアは(たま)らず「疾走(ブースト)」を発動した。

 ガイアは一瞬でホワイトバットに肉薄すると、剣の腹をその身体へと打ちつける。

 すると、その衝撃で地面に叩きつけられたホワイトバットは息こそしていたものの、完全に伸びて気を失ってしまっていた。


(……ごめん)


 心の中で合掌し、目を瞑ったガイアはその身体に剣を突き立てる。

 手に若干の生々しい感覚が伝わり、潰れるような声と共に、ホワイトバットは絶命した。

 ガイアは剣に付着した血を拭い、その遺体を埋めるべくシャベルを手に取ろうとする。


 しかしそこで、ガイアはあることに気が付く。

 自分ではない者の足が、大地を蹴る音が聞こえてくることに。


 その音の主が誰なのかということをすぐに悟ったガイアは、切り出しの作業をしていたはずのアスナの方へと視線を向ける。

 そこには、槍を構えたアスナと、それに対峙する全身銀色の大トカゲの姿があった。

─魔物データ─


◎シロバット

弱点属性:炎

討伐難度:G


夜行性のコウモリ型モンスター。白い体毛に赤色の瞳を持つ。

苔や血液を主食としており、昼間は洞窟や廃坑などでじっとしている。

侵入者を察知すると猛然と襲い掛かってくるが、余程群れの規模が大きくない限りは、冷静に対処すればどうということはない。



◎ホワイトバット

弱点属性:炎

討伐難度:F


シロバットの上位種であり、群れのリーダー。

シロバットの倍近い体躯を持っているにも関わらず、その身軽な身のこなしは支援魔法無しでは手を焼くこと請け合い。

一方で耐久力はシロバット同様低いので、一撃当てれば途端に有利になることが殆どである。

体内に栄養を蓄えておける器官があり、夜中の食料探しの成果が芳しくなかった部下にはその栄養を分け与えるナイスコウモリである。

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