自己紹介
夏のホラー2024で投稿した「顔のない怨念」
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に登場する、義兄弟とその周辺の人々の話です。
小鳥遊陽充(はるちゃん、僕)
生真面目で面倒見が良く、お人好し。また好奇心旺盛で様々なことに首を突っ込んで痛い目にあっては義兄さかえに助けられている。
新卒で入った企業で人付き合いに悩み、うつ病になって退職した経緯を持ち、悩みを抱えやすい。お話における「ワトソン役」
烏丸さかえ(さかえ義兄さん)
極めて自堕落な自称作家。陽充の姉で故人の烏丸れおなの夫で、現在は義弟陽充と共に生活している。義弟陽充の前では彼をはるちゃんと呼び、ヘラヘラしている胡散臭いおっさん。お話における「ホームズ役」
僕の名前は、小鳥遊陽充という。変わった名前だとよく言われる。読みは「はるみち」だ。
職業はフリーのライター。実は2年くらい前までかなり頻繁に作品を出していた新進気鋭のホラー作家「鏡直方」さんにあこがれて、いつか自分も文章を書く仕事をしてみたいと思っていた。仕事を始めてすぐの時はあまり売れてもいなかったが、最近では義兄が謎の人脈でもって僕に仕事を紹介してくれることもあり、少しずつ活動や実績が認められるようになってきた。
そして、僕とさきほどからコントのようなやり取りをしているこの人は、烏丸さかえさんという。身長はごくごく平均的であるはずの僕が並んで立つと、逆に僕がちびに見えるくらいの長身。中肉中背であるはずの僕が並んで立つと、むしろ僕ががっしり系に見えるくらいの痩躯。それを、着崩した黒の上下で包んでいる。見た目は……黒いステッキ? みたいな人。
職業は作家……らしいのだが、この人こそ僕には仕事してないように見える。大丈夫だろうか。姉さんは大丈夫だったんだろうか、生活とか。
僕の姉はれおなといって、3年前にさかえ義兄さんと結婚し、烏丸れおなとなった。が、今はもういない。2年前に事故で他界した。
僕も母も落ち込んだし、特に母は涙も枯れるほど泣いていたけれど、それにも増して当時のさかえ義兄さんの落ち込みようといったらそれはもうひどいものだった。そのとき僕自身も色々あって、うつ病になって会社を退職した直後だったというのに、そんな僕にさえ放っておけないと思わせるほどの顔色だった。
食事もとらず、眠らず、夫婦二人でよく話をしたというダイニングで、姉の遺影を抱きしめてうつむいていた。
姉に心配をかけて、新婚の新居に転がり込んでしまった僕を、さかえ義兄さんは暖かく迎え入れてくれた。本当だったら血のつながらない弟なんて、結婚したばかりの愛妻と一緒の新居にいてほしくないだろうに。
だからかもしれない。せめて義兄さんが元気になるまで、義兄さんの迷惑にならない程度に居候させてもらい、家事をやらせてほしいと、なぜか僕は気づいたらそう、義兄さんに頼み込んでいた。
このままでいたら、さかえ義兄さんは本当に消えてなくなってしまう。
でも、そんなことを、姉が絶対に許すはずがない。
母も、義兄を心配していたようだったから、この申し出には賛同してくれた。
そして、義兄も。
「うん……うん、迷惑とか、邪魔とか考えないでいいから、好きなだけ、ここにおいで」
それが、さかえ義兄さんがようやく笑ってくれた、瞬間だった。
以来僕は、姉の夫であるさかえ義兄さんと生活しながら、SNSで記事を書いたり、義兄に紹介してもらった仕事をこなしたりして、あこがれの作家を目指している。




